Webサイトとは?ビジネスにおける役割を改めて考えてみる

コーポレートサイト、ECサイト、企業ブログなど、一口に“Webサイト”と言ってもその種類は様々です。

ECサイトは商取引を行うという明確な役割があるため、本稿では自社の製品やサービスをコンテンツを通じて訴求するためのWebサイトを対象にしたいと思います。いわゆるコンテンツマーケティングを実践するためのWebサイトであり、実際の形式はコーポレートサイトであったり、オウンドメディアであったりするかもしれません。いずれにせよ、このようなサイトをここでは"Webサイト"と呼ぶことにします。

皆さんは、Webサイトのビジネス的役割についてどのようにお考えでしょうか?いまはどのような企業や組織でもWebサイトを運営しているのが当たり前なので、とりあえず自社のことや製品、サービスについて公開していればよいと考えてはいないでしょうか?もしそのように位置付けているのであれば、非常にもったいないことをしているかもしれません。

ここではあらためてWebサイトが持つ役割について整理しつつ、Webサイトの運用も含めて価値あるWebサイト作りに関してお伝えしたいと思います。

皆さんが運用している、あるいはこれから運用するWebサイトでしっかりと成果を出すためにも、ぜひ参考にしてください。

Webサイトが持ついくつかの役割

ブランディングによるロイヤリティの向上

ブランドとは単なるイメージアップというわけではなく、ブランドとしての“世界観を固めていく”作業でもあります。その上でWebサイトというのは効果的なプラットフォームです。

自社ブランドの世界観を全面に出していくことができれば、ユーザーから見たイメージを確立し、他社と差別化された地位を得ることができるでしょう。

ブランド向上によるロイヤリティは様々なビジネス効果を発揮してくれるでしょう。

コンテンツSEOによる検索結果での上位表示による存在感

コンテンツSEOというのは、検索エンジンに高く評価されるコンテンツ作り、あるいはWebサイト作りを行うことで、検索結果で上位に表示されることを狙うマーケティング手法です。

現在ではBtoCに限らず、BtoBの世界でも顧客は製品情報などを"検索"しながら情報収集をします。そのため、顧客の検索キーワードで上位に表示されなければ、極端に言うと世の中に存在していないのと同じになのです。いくら良い記事を掲載しても、だれにもたどり着いてもらえないのでは意味がありません。

逆に言えば、SEOをしっかり行うことで市場での存在感を中長期的にアピールすることができるのです。そのためには、顧客の視点で"価値のある"コンテンツを提供してゆくしかありません。もちろんSEOのテクニカルな手法も大事ですが、集客だけしても有意義なコンテンツがなければ顧客はすぐに離脱してしまうでしょう。市場の中のプレイヤーとして認知されるための重要な役割がWebサイトにはあると言えるでしょう。

リード生成のためのプラットフォーム

有意義なコンテンツとSEO対策によってWebサイトを継続的に成長させていくことができれば、課題を持っている潜在顧客が自然と集まってくるでしょう。これまでは広告などによってなかば”強引に”Webサイトに集客していたのが、自らの課題解決のプロセスの中で”自発的に”サイトを訪問するようになるからです。

これこそが"インバウンドマーケティング"のコンセプトであり、Webサイト自体を“心強いセールスマン”に育て上げることも可能なのです。

Webサイトにおけるコンテンツマーケティングで成功している企業というのは、アウトバウンドなマーケティング活動からインバウンドマーケティングに軸足が移ってきます。Webサイトは単なる情報提供の場ではなく、顧客を育てる場になり、その過程でリードが生成されるのです。

サイト流入/見込み客/売上向上のための 25のWebサイト必須項目
インバウンドマーケティング完全ガイド

ECサイトへ誘導するための導線

ECサイトはオンラインの店舗のような位置づけなので、集客は広告で行うのが当然だと考えていませんか?当然商材によっては広告によってECサイトに誘導するのは効果的な方法になるでしょう。しかし、商材によっては広告によってECサイトに集客しても、なかなか顧客化につながらないという悩みを持っているケースも多くみられます。

ECサイトへの入り口としてコンテンツ中心のWebサイトを位置付けることにより、顧客はWebサイトで自分の課題や解決策を整理しており、自然にECサイトに流入しやすくなります。この場合には、顧客はECサイトで扱われている商品が自分の課題を解決するものであるという理解をすでに持っているため、ECサイトを訪問した際の顧客化の確率はぐんと上がるでしょう。

このように、WebサイトとECサイトを別で考えるのではなく、WebサイトをECサイトへの入り口とすることでより大きな効果を得ることができるでしょう。

ユーザーとのタッチポイントと作り出す

自社サービスや商品を知ってもらうためには、まずユーザーとの“タッチポイント”を作り出すことが非常に効果的です。

そのためには、自社の製品やサービスを認知していない人にも流入してもらうことが重要です。会社名や商品名で検索してたどり着く人はすでに自社製品は高い確率で候補になっているといっていいでしょう。しかし、Webサイトをより活用するためには、「自社製品が役に立つはずだがまだ自社のことを知らない人」に気づいてもらうことが重要です。そのためにも、Webサイトは顧客の視点でコンテンツを作成し、顧客が使うキーワードに対してSEOを行うことが重要です。

実際に弊社の顧客事例では、このような視点でWebサイトを運用したところ、1ヵ月後からリード獲得率が1000%改善したケースがあります。

ユーザーの悩みを解決する

ユーザーとはコンテンツに何を求めているのか?それは"いまある課題を解決したい”と考え、そのための解決策を求めてWebサイトで情報を得ようとしているのです。

そのため、上記のように顧客の課題の観点でSEOを行い、コンテンツを用意したら、すぐに自社製品やサービスの宣伝をするのではなく、顧客の課題を解決に導くコンテンツを用意しましょう。そしてそれを実現するためのソリューションとして自社製品やサービスを位置付けて紹介しましょう。

これにより、顧客は自分の悩みを理解してくれる会社であると信頼し、より自社製品に対して魅力を感じてくれるでしょう。このようにして、顧客との接点を作り、悩みを解決するための手段を提供する場としてWebサイトを位置付けて運用することで、自社の市場での存在感は非常に大きなものになるのです。

もちろん、ユーザーにとって有益かつ良質なコンテンツを配信しているということが前提ですが、信頼性が向上すれば結果として売上げも上がってゆきます。

Webサイト運用とは“更新作業”ではない

コンテンツマーケティングを展開している企業の中には、“Webサイト運用=古いコンテンツの更新”だと認識しているケースが少なくありません。

しかし、Webサイト運用とは単なる更新作業ではなく、もっと広範囲なマーケティング施策そのものだと言えます。

ターゲットから目を離さない

Webサイトは顧客との接点としての機能を持ちます。そのため運用しなければいけない理由は自社の製品やサービスの変化だけではなく、顧客の変化への対応も重要です。特に“ペルソナ”を活用したターゲットの絞り込みは非常に重要ですが、社会情勢の変化や競合環境の変化などによってペルソナ自体も常に変化してゆきます。

常にターゲットから目を離さず、その変化を取り入れることも運用の重要なポイントです。

コンテンツ設計も見直す

Webサイトを活用するために重要なコンテンツは、やみくもに投入されるわけではありません。顧客の視点で、顧客が使用するキーワードを起点に設計されるべきものです。しかし、市場の変化や技術革新によって、使用されるキーワードも変化してゆきます。

市場の変化を見ながら定期的にキーワードやコンテンツのパフォーマンスを見直すことが長期的なWebサイトの価値を生みます。

定期的なコンテンツの配信

Webサイトへの流入数はコンテンツの配信頻度に影響される部分があります。常に鮮度の高い情報を継続的に提供し続けるのは大変な労力ですが、これも重要な要素です。

上述のコンテンツ設計に沿いながら、コンテンツの配信や更新を継続的に行いましょう。

機能性の高いデザイン

Webサイトにおいてデザインを重視される方は多いのではないでしょうか。しかしながら、Webサイトの位置づけを明確にすると、“お洒落かどうか”よりも、“機能性に優れているか”という方がはるかに重要です。

たとえばモバイルへの対応などはいい例でしょう。パソコンのブラウザでいかにきれいなデザインであっても、モバイル対応していなければ増え続けているモバイルユーザーはすぐに離脱するでしょう。さらにSEOの観点でもモバイル対応は必須です。

個人のセンスや趣味に依存するデザインではなく、ユーザーの視点でのデザインは重要です。これも技術の進歩により変化してゆくものです。積極的に最新のものを取り入れましょう。

効果検証を繰り返しながらの改善

お気づきのように、Webサイトというのは一回作ったら完成というものではありません。コンテンツも技術も常に鮮度を保ち、ユーザーを惹きつけ続けなければWebサイトの価値はなくなってしまいます。すべての観点で効果を検証を行いつつ、継続的に改善を積み重ねてゆくことで効果の高いWebサイト運用が可能になります。これをグロースドリブンデザインと呼んでいます。

数年に一度大規模に更新して、あとは細々とコンテンツを更新するのではなく、短期的に改善と効果測定を行い、さらに改善をしていくことでよりWebサイトをブラッシュアップしていきます。

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まとめ

いかがでしょうか?今回はWebサイトの位置づけと運用の大切さについて改めて解説してみました。こうした基本的な観点に加え、実際には商材や顧客の性質などによっても調整が必要になります。

Webサイトの位置づけを明確にし、それに応じた設計と運用をぜひ見直してみてください。その際にはインバウンドマーケティングのコンセプトとグロースドリブンデザインの方法論がきっとお役に立つでしょう。あわせて参考にしていただけると幸いです。

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