メディア戦略のためのトリプルメディア活用

コンテンツマーケティングが現代の企業経営を左右する中、その時代の幕開けとなる出来事と言われたら、アメリカのIT情報サイトCNETでトリプルメディア理論について書かれた「マルチメディア2.0」でしょう。あの論文を読んだときの衝撃は今でも忘れないという方も多いのではないでしょうか。今まで独立していたマス広告が、ぺイドメディアという枠組みに位置付けられ新しいメディアのあり方として生まれ変わった瞬間でした。今回はすでに一般化されたトリプルメディアについてご紹介いたします。

トリプルメディアの3要素とは?

アメリカで2009年に発表された「マルチメディア2.0」によれば、下記のメディアがトリプルメディアの3要素と定義されています。

トリプルメディア理論は、メディア戦略における重要なフレームワークとして頻繁に利用されており、各メディアの役割分担を正確に整理する上で非常に大きな功績を残したと言っても良いでしょう。それでは各種メディアの定義や特徴、具体的な事例をご紹介したいと思います。

オウンドメディアの定義

オウンドメディアを英語表記にすると、「Owned Media」となります。和訳すると、「自社が運営するメディア」という意味があります。

そのため、オウンドメディアとは、自社で運営しているホームページに限った話ではなく、InstagramアカウントやYouTubeアカウント、LINEアカウント、Twitterアカウント、Facebookアカウントなど、ありとあらゆる自分で管理しているメディアが定義の中に含まれています。

しかし、オウンドメディアという言葉を使う場合、自社専用のウェブサイトだと定義することが多いため暗黙の了解として知っておきましょう。

オウンドメディアの特徴

オウンドメディアは、他人に管理を委ねずに自分でメディアを管理するため、自由自在に自分の思い通りに操作することができます。

長期的な運用が行いやすく、非常に汎用性に優れており、低コストで個人法人問わず運営しやすいという特徴があります。

オウンドメディアの事例「エンジニアtype」

オウンドメディアの成功事例をひとつご紹介したいと思います。エンジニアの愛読メディアと言われたら、株式会社キャリアデザインセンターが運営する「エンジニアtype」の名を挙げる方も多いでしょう。

月間37万人を集客する、エンジニアtypeに掲載されるコンテンツは、インタビュー形式なので、経営者名で検索されていることが分かります。また、こういったサイトの場合、ソーシャルメディア上での拡散や技術者たちによる口コミ、著名人検索によって、オウンドメディアの存在を知り、毎月リピーターが増加している可能性が高いです。

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アーンドメディアの定義

アーンドメディアを英語表記にすると、「Earned Media」となります。和訳すると、「評判を得るメディア」という意味があります。

そのため、アーンドメディアとは、顧客からの信頼や評判を得るために運営されるメディアのことを表します。例えばFacebookやTwitterなどのソーシャルメディアやブログや口コミサイトなどがアーンドメディアです。

会社の同僚や遠方に住む友人が投稿したFacebookやTwitterのタイムラインに興味をもったことはありませんか?また、転職をしようと思った時、「転職して本当に良かった」というような口コミが数十件、口コミサイト掲載されていると、思わずどんな会社だろう?と深く知りたくなりますよね。このように、ある媒体をきっかけとして、多くの情報をユーザーに届けるメディアこそがアーンドメディアの定義となっています。

アーンドメディアの特徴

ソーシャルメディアを利用する友人から口コミが発信されるため、消費者からすれば情報の信用度が高くなり、自然と拡散が期待できるものの、企業が目的とする口コミが広まるとは限りません。

良い口コミが広まるのは問題ありませんが、何かしら悪い口コミが立つと、インターネット上に一気に拡散されてしまいます。

情報のコントロール性というところに欠点があるものの、リスク管理を徹底して問題発生時の対処法も視野に入れて、アーンドメディアを運営すれば、ソーシャルメディア上でも人気のあるサイト運営ができるでしょう。

アーンドメディアの事例「ダイソン」

吸引力が変わらない、ただひとつの掃除機でもおなじみの「ダイソン」ですが、アーンドメディアの考え方を取り入れメディア戦略を行ったことをご存知でしょうか?ダイソンは、顧客に対して1台の掃除機を準備して、それをバトン代わりに口コミを書いてくれる人を探すキャンペーンを実施しました。

5人で1チームを組んで、全員が口コミを書き終わったら、その掃除機を1台プレゼントするというものです。Facebook上で非常に話題となり、その口コミによって掃除機の売上を一気に伸ばしました。このような施策であれば、どの企業でも実施可能ですので、開発した商品の一定数は、メディア企画用として準備しておくと良いでしょう。

ペイドメディアの定義

ペイドメディアを英語表記にすると、「Paid Media」となります。和訳すると、「商品を宣伝するための広告枠をもつメディア」という意味があります。

そのため、ペイドメディアとは、広告費用を支払って自社の認知を広げるために運営されるメディアのことで、インターネット業界であれば、バナー広告や検索連動型広告、リターゲティング広告などのリスティング広告や新聞や雑誌、ラジオ、テレビなどのマス広告がその代表的な例となっています。GoogleやYahoo!の検索エンジンでキーワードを入力して検索し、気になる広告が上部に表示され、思わずクリックしてその会社の存在を知ったという方は多いでしょう。

広告掲載料金を支払って自社の商品やサービスなどを認知してもらうために利用するメディアが、ペイドメディアの定義となっています。

ペイドメディアの特徴

ペイドメディアは、お金を払って広告を掲載するため、結果が出るのが比較的早いです。上手くいけば費用対効果の高い運用をすることができますが、運用の仕方を誤るとマイナスになってしまいますので広告管理に関する深い知見が必要です。

資金力がある企業は、ペイドメディアを積極的に利用することで、その日から結果を出すことも可能です。

ペイドメディアの事例「某楽譜店」

楽譜販売事業のぺイドメディアの成功事例をご紹介します。その企業は、8万点の楽譜を自社で抱えており、売上拡大のためにリスティング広告を利用していたのですが、戦略に大きな問題を抱えていました。それは、あらゆるキーワードに対して遷移先を全てトップページにしているというものです。

この問題を改善するために、8万リンクの広告を設定し直し、リスティング広告を運用した結果、コンバージョン率が0.7%から8.6%にアップし、大きく売り上げを改善することができました。

トリプルメディアの主軸は、オウンドメディア

メディアを使って売り上げを拡大したいと思うのなら、まずはオウンドメディアを立ち上げてください。オウンドメディアは、インターネット上の会社であり、ビジネスの土台です。オウンドメディアでコンバージョンが出るキーワードは、ペイドメディアでも同様にコンバージョンが得られます。

それぞれの作業は独立しているわけではなく、関連しているため、どれかの作業が無駄になるということはありません。だからこそ、まずはオウンドメディア作りから始められることをお勧めします。正しくコンテンツマーケティングを展開している自社サイトがあるだけで、ソーシャルメディアでも拡散してもらいやすいですよ!

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