【Jiro会長のフラり対談】伊藤忠テクノソリューションズ株式会社

このコーナーは、弊社会長の小林が「トップランナー」であり「変革者」であり「インフルエンサー」でもあるゲストの方々をフラりとご訪問し、目指していることや苦労話等を気負わないトークでお聞きした内容をご紹介します。読者の皆さまも是非気負わずお楽しみください。

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顧客のDXをどう先導し、伴走していくか― オウンドメディア「 デジタル ビジネス シェルパ 」に込める思い

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社

「明日を変えるITの可能性に挑み、夢のある豊かな社会の実現に貢献する」ことを使命に掲げ、常に顧客に最適なテクノロジーと活用法を提案し続けてきた伊藤忠テクノソリューションズ(略称:CTC)。現在はその活動の一環として、デジタルトランスフォーメーション(DX)に挑む顧客を業務改革と事業変革の両面で支援するオウンドメディア「デジタルビジネスシェルパ(Digital Business Sherpa)」を弊社リードプラスと共に二人三脚で展開しています。本日は同サイト提供の狙いと今後の展望について、CTC エンタープライズビジネス企画室 室長 田中匡憲様(向かって写真右側)にリードプラス 取締役会長の小林治郎(写真左側)がお話をお聞きしました。(※)


創業50年を迎え、独自の強みを武器に顧客のDXを支援

リードプラス会長 小林治郎(以下、小林):CTCは昨年、創立50周年を迎えられました。改めてお祝い申し上げます。

田中匡憲 氏
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
エンタープライズビジネス企画室
室長 田中 匡憲 氏

CTC エンタープライズビジネス企画室 室長 田中 匡憲 氏(以下、田中氏):ありがとうございます。当社は伊藤忠商事のIT事業会社として1972年に創立しました。現在はトータルソリューションプロバイダーとして「コンサルテーション」「システムインテグレーション」「アウトソーシング」を事業の柱とし、お客様に常に最も信頼していただける「トラステッドパートナー」であり続けるための研鑽を続けています。

小林:CTCと言えば、長年にわたるシステム構築やソリュ-ション開発によって培ってきた業務ノウハウや技術力、そして最先端のITを活用する先進性を強みに「お客様とのビジネスの共創」ができる企業だと思っております。

田中氏:現在は、国内外300社以上のIT先進企業とのグローバルなパートナーシップを締結しており、幅広い製品群を繋ぎ組み合わせる事で、お客様に最適なサービスをご提案しています。R&D領域でもシリコンバレーで30年以上のベンダー開拓の実績を有し、グループ全体で7,000名を超えるITエンジニアを擁していること、約1万社のお客様と強固な信頼関係を築いていること(※)なども強みだと言えます。

 また、私どもエンタープライズ事業グループは、主に製造やサービス、運輸、科学・工学、ライフサイエンスといった業界のお客様を担当しており、その一組織であるエンタープライズビジネス企画室がDXを推進するソリューションの企画や開発を主導しています。現在は2021年から2023年のグループ中期経営計画の中で「DX推進 」を重要なテーマの一つに掲げて取り組みを進めています。

デジタルで業務と事業を変革。データ活用支援にも注力

小林:お客様のDX推進に関するCTCさんの特長やお考えをお聞かせいただけますか?

CTC 田中匡憲 氏01

田中氏:DXは対象が幅広いため、しばしば「何がDXなのか、どう取り組めばよいのかわからない」といった声をお聞きします。そこで、当社ではお客様の理解や取り組みを促進する目的から、デジタル化によって業務を改革する「DIGITAL SHIFT」と、デジタルの力を駆使して事業そのものを変革する「MODEL SHIFT」から成るDXのフレームワークを作り、それに基づいて多様なソリューションをご提供しています。

小林:DXの取り組みを通じて鍵となる要素の1つは「データ」だと思います。実際にさまざまな業界の顧客を支援される中で、データの活用状況をどう見ていらっしゃいますか?

田中氏:データが大事だということは全てのお客様が認識されていますが、実際に使いこなしていくためには、まだ多くの超えるべきハードルが残っていると感じます。そこで、DX推進の中でも「データファースト」としてデータ活用に高い優先順位を置き、あらゆる情報のデータ化、データによるプロセスや組織の変革、データを用いた新たな価値創出などのご支援に力を入れているところです。

コロナ禍で営業スタイルに変化。デジタルで新たな方法の確立を

リードプラス会長 小林治郎02小林:データ活用も含めて、これまでのIT活用では情報システム部門が主な推進役を果たしてきました。DXには、この推進役が変わるという側面もあります。

田中氏:私たちの営業スタイルやお客様との関係作りも変わってきました。DXでは「デジタルでビジネスをいかに変えていくか」が主なテーマとなり、LOB(Line Of Business)と呼ばれる事業部門が主役となります。したがって、これらの部門のキーパーソンやエグゼクティブの方々にDIGITAL SHIFTやMODEL SHIFTのメッセージをどうお伝えしていくかが重要となります。

 また、当社の営業部隊では、これまで直接訪問して、お客様の各部門の方々にアプローチしてきました。それがコロナ禍の影響でやりづらくなったのに加えて、すでにお付き合いのあるお客様もオンラインミーティングに限定されるケースが増えています。

 これらを踏まえて、私たち自身もデジタルを活用して業務を変革し、従来の営業スタイルに加えて、新しいやり方を確立する必要があると危機感を強めてきました。

顧客のDXジャーニーの伴走役、道案内として

小林:その営業変革の施策の1つが、当社がお手伝いさせていただいているデジタルビジネスシェルパですね。このメディアを開始された理由をお聞かせください。

ビジネスシェルパサイトイメージ
デジタルビジネスシェルパ(https://www.dx-digital-business-sherpa.jp/)

CTCとリードプラスが運営するIT情報総合ポータル。企業が推進するDXを「業務改革(DIGITAL SHIFT)」と「事業変革(MODEL SHIFT)」の側面で捉え、業界トレンドや導入事例などをご紹介しています。

田中氏:一つは従来のようなフェイス トゥ フェイスの営業活動がやりにくくなってきたこと、もう一つはお客様の情報の集め方が従来と変わってきたことです。

 これまで、お客様が何か調べたいことがある場合は、当社のようなSIerにご連絡いただくことが多かったと思います。しかし、デジタルネイティブな方が増えた昨今は、まずインターネットで情報を集めて、それを自分で整理してフィルターをかけ、必要なことだけをSIerに相談するという形に変わってきました。そうすると、昔の御用聞きスタイルの営業だけでは頼りにしていただけません。お客様が「自分たちの課題はこれで、その解決策のヒントはここにある」という段階まで進んだときに、ちゃんとお声掛けいただける存在にならなければいけないのです。これがデジタルビジネスシェルパを始めた動機の一つです。

 さらに言えば、お客様が最初に情報を探す段階を私たちがうまくご支援できれば、これまでと違う関係性を作れるのではないかと考えました。企業のオウンドメディアにはさまざまな目的がありますが、デジタルビジネスシェルパに関しては当社のブランドマーケティングツールであるのは言うまでもなく、 “営業活動のデジタル版”としてリード獲得を主目的に据えていることが大きなポイントと言えるかもしれません。

小林:もちろん御社のブランド力向上にも貢献していると思いますが、それを前面に出しすぎないよう配慮されていると感じます。サイト名に「シェルパ」を冠された思いをお聞かせください。

田中氏:どのお客様もチャレンジとしてDXに取り組まれており、最適解は常に同じではありません。今までにない変革を成し遂げようとしている中、私たちも一緒にジャーニー(旅路)とも称されるDXのステップを歩んでいくわけです。そこが一番お伝えしたいところであり、このことを最も的確に表現した言葉は何かをメンバー全員でアイデアを出し合いして「シェルパ」を選びました。シェルパとは、ヒマラヤ登山者の荷物持ちや道案内、ナビゲーションをする人たちを指します。この言葉に、僭越ながらお客様がデジタルの世界でビジネスを変革していく際の伴走役、道案内、荷物持ちをさせていただきたいという思いを込めています。

リードプラスを壁打ち相手にマーケティングDXを推進

リードプラス会長 小林治郎03

小林:CTCや田中さんの思いや役割を的確に表した名前だと思います。少し私どもの話をさせていただくと、弊社はマーケティングサービスをご提供していますが、これまでデジタルマーケティングに積極的に取り組んでこなかったお客様のマーケティングDXをご支援することも多く、その際には伴走者としてお客様と一緒に走り、データも見ながら先導させていただくことが大切だと思っています。

 単に「全てお任せください」としてしまったのではお客様の変革が進みませんので、やはり常に寄り添いながら一緒に歩むことが大切です。CTCのデジタルビジネスシェルパには、私たちと同じ思いを感じており、そのジャーニーをご一緒させていただいていることを大変光栄に思っています。

CTC 田中匡憲 氏04

田中氏:リードプラスさんには、まさに当社のマーケティングDXに伴走していただいていますね。私たちはDXにおけるお客様との取り組みを、よく“壁打ち”と表現します。お客様も私たちも明確な答えが見えないとき、一緒に悩むだけでは前に進めません。

そこで、あたかもテニスの壁打ちのように、互いに意見を出し合いながらトライ&エラーを繰り返す相手をさせていただくことがDXの伴走者の醍醐味だからです。

 単に言われたことをやる御用聞きではなく、ボールを打ち合いながら少しずつレベルを上げていける相手になりたいと常に思っています。デジタルビジネスシェルパも開始から1年半が経つ中、御社と壁打ちをさせていただきながらページビューやコンバージョンを少しずつ増やし、今や胸を張ってお客様にご紹介できるサイトに育ちました。

LOBが関心を持つビジネス課題、事例中心にコンテンツを構成

小林:デジタルビジネスシェルパはLOBの方々を対象にしているため、テクノロジー一辺倒ではない、幅広いコンテンツを取り揃えていますね。

田中氏:コンテンツには相当こだわっており、御社にもご支援いただきながら、当社のメンバーが智慧を絞って企画・制作しています。

 心掛けていることはいくつかあります。当社はテクノロジーがメインの会社であるため、ややもすると技術指向のコンテンツになりがちですが、LOBの方々にきちんと届けるために、やはり入り口はビジネスとし、なおかつ課題から入ることが必要です。わかりやすいのはビジネス課題や他社事例ですね。

 また、CTCの名前を前面に出すのではなく、どのように問題と向き合い、課題を解消していけば良いかを伝える事を心掛けています。これも、お客様にビジネス課題に集中してコンテンツをご覧いただくためです。

ベンダーパートナーとの協業コンテンツも開始

小林:協業するパートナーベンダー様を積極的に紹介されていることも特徴の1つですね。

田中氏:CTCの強みの1つは、シリコンバレーをはじめとする世界中のテクノロジーベンダーとの強固なパートナーシップです。これまではお客様のビジネス課題や事例をサイトへの入り口にしてきましたが、ここから次のステージに行くために、ベンダー各社との協業関係を生かして、違った角度でお客様にリーチできるようにしていきたいと考えました。そこで、最近はベンダーパートナー様との協業コンテンツにもチャレンジしています。

小林:その狙いは強く感じています。読者が関心を持つ海外の先進ベンダーやサービスについて、日本でどのように展開しているのか、どういうサービスなのか、日本企業の事例はあるかといったことを紹介されており、さすがだと思いました。

田中氏:今日ではデジタルが一般社会に広く浸透し、昔だったらIT業界の人しか知らなかったような社名や製品名がTV CMで流れたりします。当社のベンダーパートナー様の名前やサービスが、DXでお悩みのお客様がデジタルビジネスシェルパへ訪れるきっかけとなるかもしれません。ベンダーパートナー様も同じ認識をお持ちであり、これまでたどり着けなかったLOBの方々との接点を作る良い機会とご理解いただいているようです。

JiroFura対談風景写真05

小林:それは素晴らしい相乗効果です。以前から力を入れてきた事例コンテンツも充実してきており、これもお客様の課題やニーズが顕在化しはじめたアーリーステージ でのリード獲得に大きく貢献しているのではないでしょうか?

田中氏:おかげさまで、昨年からの1年間でページビューとコンバージョンが10倍以上に増えました。もともとの狙いであるリード獲得やお客様の課題解決に向けてかなりの貢献ができるところまで道筋が広がったということだと思っています。

顧客と営業組織の新たな関係作りをリード

小林:顧客の伴走者というテーマについてもう少しお伺いします。DXジャーニーの出発前後から優れたコンテンツで顧客を先導し、獲得したリードに対して営業組織がアクションを起こした後、具体的な成果に結び付くまでには長い道のりがあると思います。その道程において営業組織をどのように支援されているのでしょうか?

田中氏:リード獲得は入口に過ぎません。お客様と相対する担当営業に対して、いかにタイミング良く、お客様が悩んでいるキーワードと紐付けてきちんと共有できるかが重要です。営業がお客様にコンタクトし、その後は継続的な信頼関係を作り、それが最終的にビジネスに結びつくことがゴールとなるのです。

 そのために、私たちはWebサイトを運営するだけではなく、ご登録いただいたお客様がどんなキーワードに関心を持ち、どのような動線で入ってきたのかといった情報を営業と常に共有しています。関心の動向をトラッキングして定期的に営業との間で情報をアップデートするという流れが、発展途上ではありますが徐々に進んでいます。

 担当営業にしてみれば、コロナ禍でなかなかお客様のところに伺えません。それに、当社のお客様の多くは企業規模が数千〜数万人であり、ある会社を担当している営業が全ての部署と常にお会いできているわけではありません。デジタルビジネスシェルパを通じてお客様の側からドアノックしていただけるのなら大変有り難い話であり、この情報流とお客様との関係をいかに絶やさずに継続していくかが、サイトを続けていくうえで最も大切なことなのかもしれませんね。

小林:デジタルビジネスシェルパは今後、お客様との関係作りにおいて、CTCの営業組織を先導する役割も果たしていくのかもしれませんね。CTC社内ではどの程度認知されているのでしょうか?

田中氏:最初は社内に対しても積極的にアピールすることなく、人知れずやっていましたが、ある営業責任者から「コンテンツが充実してページビューやコンバージョンがここまで増えたら、もはやこのサイト自体が営業ツールであり、我々の武器だよね」と言われ、「なるほど」と思いました。そこで、最近は営業組織に対して積極的に「こんなWebサイトをやっていて、こんなコンテンツがある」と紹介しています。また既存のコンテンツの一部を他のWebサイトへ共有し読者の間口を広げると言った活動 も行っております。これらの動きも踏まえてデジタルビジネスシェルパを今後どう進化させていくか、御社のお力も借りながら考えていきたいと思います。

小林:及ばずながら、今後もCTCの方々の壁打ち相手、荷物持ちを全身全霊で務めさせていただきたいと思います。本日はありがとうございました。

田中氏と小林会長

※ 本ページの内容は20233月時点での情報をもとに制作しております。