SEOとリスティング広告の違いとは?使い分けと併用法を解説

Web集客において、SEOとリスティング広告のどちらに予算を割くべきか悩む担当者は少なくありません。両者の違いは、自然検索枠で中長期的に資産化するか、広告枠を買い取り短期で顕在層を集客するかにあります。

この記事で分かること

  • SEOとリスティング広告の表示場所・費用・期間の違い
  • 自社の目的や予算に応じた施策の選び方
  • 検索結果の露出を高める併用方法

本記事では、費用対効果を高める判断基準と、広告データをSEOのキーワード選定に活かす併用法を提示します。自社の目標達成に直結する施策選びにお役立てください。

SEOとリスティング広告の比較

SEOとリスティング広告の比較

SEO(検索エンジン最適化)とリスティング広告(検索連動型広告)の最大の違いは、検索結果ページにおける掲載枠の獲得方法と費用発生の仕組みにあります。SEOは検索エンジンの評価基準に沿ってWebページを改善し自然検索枠での上位表示を目指す施策である一方、リスティング広告は広告費を入札して検索結果の広告枠を直接買い取る施策です。

両者は検索エンジンに入力されたキーワードを通じてユーザーにアプローチする点では共通していますが、運用ルールや成果の性質は大きく異なります。具体的な違いは下表のとおりです。

比較項目 SEO(自然検索) リスティング広告(検索連動型広告)
表示される場所 広告枠の下部に続く自然検索結果エリア 検索結果の最上部および最下部の広告枠
表示の仕組み 検索エンジンのアルゴリズムによる自動評価 入札単価と広告の品質などによるオークション
クリック時の媒体費用 無料(0円) 有料(1クリックごとに課金)
主なコスト内訳 コンテンツ制作費・サイト改修費・人件費 広告掲載費・運用代行手数料・LP制作費
成果が出るまでの期間 数ヶ月〜1年程度 配信開始の即日〜数日
効果の持続性 上位を維持できれば中長期的に流入が継続する 予算が消化されるか出稿を停止した時点で流入が止まる
掲載内容のコントロール タイトルや説明文が検索エンジン側に書き換えられる場合がある 指定した広告文やリンク先ページを意図通りに反映できる

表示される場所と仕組み

検索結果画面において、リスティング広告は自然検索枠の上下に配置され、SEOは広告枠の直下に続くエリアに表示されます。GoogleやYahoo!などの検索エンジンが、有料の広告枠と独自の基準で順位付けする自然検索枠を明確に分離して画面を構成しているためです。

それぞれの表示位置と順位が決まる仕組みは以下のとおりです。

  • リスティング広告:検索結果の最上部(または最下部)に「スポンサー」や「広告」というラベル付きで表示されます。掲載順位は、広告主が設定した上限クリック単価(入札額)と、広告文・LP(ランディングページ:訪問者が最初に着地するWebページ)の関連性などを評価した広告の品質を組み合わせた「広告ランク」によって、検索が行われるたびにリアルタイムで決定されます。
  • SEO:広告枠の下部に位置する自然検索(オーガニック検索)エリアに表示されます。検索エンジンのクローラー(Web上の情報を自動巡回して収集するプログラム)がページを読み取り、検索意図との合致度、情報の専門性・信頼性、サイトの使いやすさなどをアルゴリズム(順位決定の計算ルール)が総合的に採点して掲載順を決めます。

また、リスティング広告では設定した見出しや説明文、遷移先のURLを広告主の意図通りに表示でき、地域や時間帯、デバイスを絞った配信も可能です。対してSEOでは、どのページを何位に表示するか、検索結果にどのような要約文(スニペット)を出すかの最終決定権は検索エンジン側にあり、サイト運営者が完全に制御することはできません。

費用構造

費用構造における決定的な違いは、ユーザーが検索結果をクリックした際に検索エンジンへ支払う直接的な課金の有無です。SEOは自然検索枠からの流入であるためクリック単位の費用は発生しませんが、リスティング広告はクリックされるたびに広告費が差し引かれるPPC(Pay Per Click:クリック課金型)モデルを採用しています。

ただし、SEOも完全に無料で実施できるわけではなく、双方で発生するコストの性質が異なります。

  • SEOのコスト構造:検索エンジンへの掲載料やクリック課金は0円です。その代わり、質の高い記事を作成するライティング費用、Webサイトの内部構造を最適化するエンジニアの改修費、外部の専門会社へ支払うコンサルティング費用などの「制作・運用コスト」が先行して発生します。一度上位表示を実現すれば、アクセス数が何倍に増えても検索エンジンへの支払いは増えないため、集客が軌道に乗るほど1件あたりの獲得単価(CPA)が低下していく構造を持っています。
  • リスティング広告のコスト構造:広告が検索結果に表示されただけでは費用はかからず、ユーザーが広告をクリックして初めて課金されます。1クリックあたりの単価(CPC)は競合他社の入札状況によって変動し、獲得したいアクセス数に応じて広告予算の追加が必要です。社内運用であれば広告実費のみですが、広告代理店に委託する場合は広告費の一定割合が運用手数料として加算されます。

効果が出るまでの期間と持続性

集客効果の立ち上がり速度ではリスティング広告が優れ、施策停止後の持続性ではSEOが優れています。広告は審査を通過すれば即座にオークションへ参加できるのに対し、SEOは検索エンジンによるページの発見・評価・順位反映までに一定の待機期間を要するためです。

時間軸における両者の挙動には以下の違いがあります。

  • リスティング広告の期間と持続性:アカウントを開設し、キーワードと広告文、予算を設定して審査に通れば、最短即日から検索結果の上位に広告を表示できます。しかし、月間の予算上限に達するか、広告の配信設定をオフにした瞬間に検索結果から消えるため、トラフィックを維持するには広告費を継続的に投じ続ける必要があります。
  • SEOの期間と持続性:新規に公開したWebページや改修した記事がクローラーに認識され、競合ページと比較されて上位に定着するまでには、通常数ヶ月から1年程度の期間がかかります。その反面、検索上位に定着したコンテンツは自社のWeb資産として機能し、競合の台頭やアルゴリズムの大幅な変更がない限り、追加の広告費なしで昼夜を問わず安定した見込み客の流入を生み出し続けます。

Webサイトのリニューアル時に 絶対おさえておきたい SEO対策10のポイント

SEOが向いているケース

SEOが向いているケース

SEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)は、広告費に依存せず継続的に見込み客を集めたい場合や、購買前の潜在層と接点を持ちたい場合に向いています。第1章で比較したとおり、SEOはクリックごとの課金が発生せず、検索結果の上位に表示されている限り流入が続く仕組みだからです。マーケティング担当者が自社の状況と照らし合わせて判断できるよう、SEOが適している具体的な条件を下表のとおり整理しました。

判断軸 SEOが適している条件 期待できる変化
目標とする期間 半年から1年以上の中長期で集客基盤を構築したい 公開した記事が資産として蓄積され、顧客獲得単価が徐々に低下する
狙いたい顧客層 課題の解決方法を探している情報収集段階の層 競合他社と比較される前に自社の認知を獲得し、検討候補に入りやすくなる
商材の特性 BtoBのシステムや高額商材など、導入までの検討期間が長い 解説記事や事例を通じて専門性を伝え、問い合わせ前の信頼を形成できる
社内体制 専門知識を持つ担当者がおり、継続的な記事作成や改修ができる 外注費を抑えながら、検索意図に沿った質の高いコンテンツを量産できる

中長期でリードを獲得したい

半年から1年以上の期間をかけて、安定したリード(見込み客の情報)の獲得基盤を作りたい企業にはSEOが適しています。検索結果の上位に定着したページは、広告出稿を止めても24時間365日ユーザーを集め続ける集客資産として機能するためです。

初期段階では、検索ニーズの調査や記事の執筆、サイト構造の改善にコストと工数がかかります。しかし、上位表示を実現した後は追加のクリック費用なしで自然検索からの流入が続くため、運用期間が長くなるほど1件あたりのCPA(顧客獲得単価:成果1件あたりにかかった費用)は低下します。

特にBtoBビジネスや単価の高いBtoC商材では、1件の成約がもたらすLTV(顧客生涯価値:1社の顧客が取引期間全体でもたらす利益)が大きいため、時間をかけてでも初期の制作コストを回収する計画が立てやすくなります。マーケティング担当者が以下の手順で施策を進めることで、継続的なリード獲得の仕組みを構築できます。

  • 自社の商材に関連する検索キーワードを洗い出し、月間の検索数と競合サイトの強さを調査する
  • 検索ユーザーの疑問を解決する記事を作成し、関連する資料請求ページや問い合わせフォームへの導線を設置する
  • GA4(Google アナリティクス 4:Googleが提供するアクセス解析ツール)を用いて、記事ごとの閲覧数や資料ダウンロードへの遷移率を計測し、数値が低いページの文章や導線を改善する

情報収集段階の顧客と接点を持ちたい

具体的な商品やサービスを比較する前の、情報収集段階にある潜在層と接点を持ちたい場合もSEOが有効です。特定の商品名や「導入 費用」といった購入直前のキーワードだけでなく、業務上の悩みや専門用語の意味を調べる「とは」「やり方」「原因」などの幅広い検索キーワードに対して、解説記事でアプローチできるからです。

検索エンジンを利用するユーザーの多くは、最初から購入先を決めているわけではありません。まずは自身の抱える課題を整理し、解決策の選択肢を探すために検索を行います。この段階で、企業の担当者が専門的な知見に基づいた解決策やノウハウを記事として提供すると、ユーザーは「疑問を解決してくれた信頼できる企業」として認知します。

たとえば、営業支援システムを提供する企業であれば、以下のような検索意図に合わせてコンテンツを用意し、段階的に商材への関心を高めていきます。

  • 課題の認識段階:「営業 属人化 解消」と検索するユーザーに対し、属人化が起きる原因と一般的な対策手順を解説した記事を公開する
  • 解決策の調査段階:記事の終盤で、対策を効率化する手段としてシステムの活用方法を提示し、より詳しいノウハウをまとめたホワイトペーパー(お役立ち資料)のダウンロードを促す
  • 育成と商談化段階:ダウンロード時に取得したメールアドレス宛に導入事例やセミナー案内を送付し、購買意欲が高まったタイミングで商談を打診する

このように、今すぐ購入する意思がない層に対しても、検索を通じた情報提供から接点を作り、中長期的な営業DX(デジタルトランスフォーメーション:デジタル技術による業務やビジネスの変革)のプロセスに組み込める点がSEOの強みです。一方で、すでに導入を決めており依頼先を探している層を今すぐ集めたい場合は、次章で解説するリスティング広告が適しています。

リスティング広告が向いているケース

リスティング広告が向いているケース

リスティング広告が向いているのは、出稿直後から検索結果の上位に広告を表示し、購買意欲の高い顕在層(課題や欲しい商品が明確な見込み客)へ直接アプローチしたいケースです。Google広告やYahoo!広告のアカウントを開設し、ターゲットとなるキーワードと入札単価(1クリックあたりに支払う上限金額)を設定すれば、審査完了後すぐに集客を開始できるためです。

具体的な活用場面は、新商品のリリース直後や期間限定キャンペーンの告知、BtoBにおける資料請求の獲得など多岐にわたります。自社の販売スケジュールや顧客の検討フェーズに合わせて配信タイミングや予算を柔軟に調整できる点が、自然検索からの流入を狙うSEOにはない実務上の利点です。

短期で成果が必要

数日から数週間といった短期間でリード(見込み客の情報)や売上を獲得する必要がある場合、リスティング広告が適しています。検索エンジンの評価が蓄積されるまで時間を要するSEOとは異なり、広告審査を通過すれば設定したキーワードの検索結果上部に即座に自社のLP(ランディングページ:広告の遷移先となる縦長の特設ページ)を表示できるからです。

マーケティング担当者が特定の期間内に目標のコンバージョン(商品の購入や問い合わせなどの最終成果)を達成しなければならない場合、以下のような状況でリスティング広告が機能します。

  • 新規事業や新サービスの立ち上げ直後で、ドメインパワー(Webサイトの検索エンジンからの信頼度)が低く自然検索からの流入が見込めない時期
  • 展示会やウェビナーの開催日が迫っており、指定期日までに集客数を最大化したい場合
  • 決算期や繁忙期に合わせて、余剰予算を投下して一時的に問い合わせ数を増やしたい局面
  • 新規制作したLPの訴求軸がターゲットに響くか、少額の予算で早期にA/Bテスト(複数のパターンを用意して効果を比較する検証手法)を行いたい段階

配信開始後は、管理画面で表示回数やCTR(クリック率:広告が表示された回数のうちクリックされた割合)、CVR(コンバージョン率:クリック数に対する成果達成の割合)をリアルタイムで計測できます。成果が出ないキーワードの停止や広告文の修正を即座に実行し、短期間でPDCAサイクルを回して投資対効果を改善できるのが特徴です。

検討度の高い顧客を狙いたい

商品やサービスの導入を具体的に検討している顧客をピンポイントで狙いたい場合も、リスティング広告の活用が有効です。ユーザーが検索窓に入力する検索クエリ(実際に検索された語句)には購買意欲の高さが反映されており、購入や契約に直結するキーワードを指定して予算を集中投下できるためです。

さらに、配信地域や時間帯、デバイス(パソコンやスマートフォンなど)を絞り込むターゲティング機能を組み合わせることで、自社の商圏や営業時間に合致した見込み客のみに広告を表示できます。ユーザーの検討度合いと、リスティング広告で優先して狙うべきキーワードの分類は下表のとおりです。

顧客の検討度合い 検索クエリの特徴と具体例 リスティング広告での狙い方
比較・検討段階(準顕在層) 機能や相場を比較する語句
例:「営業支援ツール 比較」「ホームページ制作 費用」
他社に対する自社の強みや価格の優位性を広告文に明記し、比較表を掲載したLPへ誘導する
導入・購買直前段階(顕在層) 具体的な行動や特定の条件を含む語句
例:「勤怠管理システム 無料トライアル」「税理士 相続 相談 東京」
高い入札単価を設定して最上部への露出を強化し、申込フォームや予約画面へ直接誘導する
指名検索段階(既存認知層) 自社の社名や特定の商品名を含む語句
例:「〇〇株式会社」「〇〇(サービス名) ログイン」
他社広告による顧客流出を防ぐため、最小限のクリック単価で確実に1位表示を確保する

一方で、「〇〇とは」といった言葉の意味を調べる情報収集段階のクエリは、クリックされても直近のコンバージョンには結びつきにくい傾向があります。リスティング広告で検討度の高い顧客を効率よく獲得するには、購買意図の低い語句を除外キーワード(広告を表示させないようあらかじめ指定する語句)として登録し、無駄なクリックによる広告費の消化を防ぐ運用が求められます。

SEOとリスティング広告の併用戦略

SEOとリスティング広告の併用戦略

SEOとリスティング広告は二者択一ではなく、両者の強みを組み合わせて相乗効果を狙う併用戦略がWeb集客の成果を最大化します。リスティング広告で得た実データをSEOの施策に反映し、検索結果画面での表示領域を広げながら、事業の進行度合いに応じて予算配分を調整することで、短期的な売上確保と中長期的な資産構築を同時に進められます。

広告データのキーワード選定への活用

リスティング広告の運用で得られた検索語句やコンバージョン(商品の購入や問い合わせなどの最終成果)のデータは、SEOで対策すべきキーワードやタイトルの選定に直接活用できます。

SEOは記事を作成してから検索順位が安定するまでに数か月を要するため、事前の予測だけでキーワードを選ぶと、上位表示を達成しても成果につながらないリスクがあります。一方、リスティング広告は出稿直後から「どの検索語句でクリックされ、どれだけのコンバージョンが発生したか」という実データを収集可能です。

マーケティング担当者が広告の管理画面から成果の出ているデータを抽出し、SEOのコンテンツ制作へ反映する手順は次のとおりです。

  • コンバージョン獲得効率の高い検索語句の抽出:広告管理画面の検索語句レポートを確認し、実際にコンバージョンが発生している語句を特定して、SEOの新規記事作成における最優先キーワードに設定します。
  • 高クリック率の広告文の分析:ユーザーのクリック率(表示回数に対するクリック数の割合)が高い広告の見出しや説明文の訴求軸を分析し、SEO記事のタイトル(titleタグ)や見出し(h2・h3タグ)の文言に組み込みます。
  • ランディングページ(広告をクリックしたユーザーが最初に閲覧する縦長のページ)の行動データ活用:ヒートマップツールやGA4(Googleアナリティクス4:Webサイトのアクセス解析ツール)を用いて、広告経由のユーザーが熟読している箇所や離脱している箇所を特定し、SEO記事の構成案や内部リンクの配置改善に役立てます。

検索結果での露出の最大化

検索結果画面の広告枠と自然検索枠の両方に自社のページを表示させることで、検索ユーザーの視認領域を広げ、サイトへの総流入数を引き上げられます。

ユーザーの検索行動は一様ではなく、画面最上部の広告枠をすぐにクリックする層と、広告を意図的に飛ばして自然検索の上位ページから比較検討を始める層に分かれます。両方の枠に自社サイトを表示させれば、どちらの行動特性を持つユーザーも取りこぼしません。さらに、同一の検索結果画面に企業名やサービス名が複数回表示されることで、ユーザーの記憶に残りやすくなり、競合他社へ流出する機会を物理的に減らせます。

キーワードの性質に応じた具体的な併用アプローチは、下表のとおりです。

キーワードの分類 検索語句の具体例 露出最大化の狙いと運用方法
指名キーワード 自社名、自社サービス名 自然検索で1位を獲得していても、競合他社が自社名で広告を出稿して顧客を奪うケースを防ぐため、少額で広告も併用し画面上部を自社情報で占有します。
顕在層向けキーワード 「システム導入 比較」「ツール名 料金」 コンバージョンに直結しやすい重要語句のため、SEOで上位表示できていても広告出稿を継続し、2枠表示によるクリック率の底上げを図ります。
準顕在・潜在層向けキーワード 「業務効率化 方法」「〇〇 とは」 基本はSEO記事での流入獲得を目指しますが、SEOで1ページ目(10位以内)に入っていない期間のみ広告を出稿し、検索結果での露出空白期間をなくします。

予算配分の考え方

SEOとリスティング広告の予算配分は、事業フェーズや自然検索からの流入状況の推移に合わせて段階的に比率を変更します。

Webサイトを公開したばかりの初期段階ではドメインの評価が低く、SEOに予算を投じてもすぐには集客できません。そのため、初期はリスティング広告へ予算を集中させて早期にリード(見込み客の情報)や売上を獲得し、並行してSEOのコンテンツを蓄積します。その後、SEOの記事が上位表示され、自然検索からのコンバージョンが安定してきた段階で、そのキーワードの広告予算を削減し、未開拓のキーワードや別のマーケティング施策へと資金を再投資します。

事業フェーズごとの具体的な予算配分の移行イメージは、下表のとおりです。

事業フェーズ 予算配分の目安(一例) 実施すべき具体的なアクション
立ち上げ期(1〜3か月目) 広告:8割 / SEO:2割 リスティング広告で顕在層を集客して短期的な売上を作りつつ、獲得効率の良いキーワードを特定します。SEOはサイト内部の土台作りと重要記事の制作に着手します。
成長期(4〜12か月目) 広告:5割 / SEO:5割 広告の検索語句データをもとに、SEOの記事制作本数を増やします。SEOで上位表示された情報収集系キーワードの広告配信を停止し、浮いた予算をコンテンツ制作費やLP(ランディングページ)の改善費に回します。
安定期(1年目以降) 広告:3割 / SEO:7割 自然検索からの安定的な流入を主軸とし、顧客獲得単価(1件のコンバージョンを得るためにかかった費用)を引き下げます。広告は競合性が高くSEOだけでは1位を維持しにくい重要キーワードや、期間限定のキャンペーン訴求に絞って運用します。

このように、毎月のアクセス解析と広告レポートを突き合わせ、SEOの順位上昇に合わせて広告の入札単価や配信キーワードを調整することが、Web集客全体の費用対効果を高める要となります。

まとめ:SEOとリスティング広告を目的に応じて使い分けよう

SEO(検索エンジン最適化)とリスティング広告(検索連動型広告)は、企業の目標達成時期やターゲットの検討段階に応じて使い分けることで集客効果を最大化できます。両者は自然検索枠と広告枠という異なる表示領域を持ち、費用構造や成果発生までの時間軸が対照的であるため、互いの弱点を補完し合う関係にあるからです。

これまでの比較や活用法を踏まえ、自社の状況に合わせた選択基準は下表のとおりです。

重視する条件・目的 推奨される手法 具体的なアクションと期待される変化
短期間での売上・リード獲得 リスティング広告 購入意欲の高い顕在層向けキーワードに入札し、出稿当日からLP(ランディングページ:広告の遷移先となる縦長の専用ページ)へ誘導してCV(コンバージョン:成果)を獲得する
中長期的な顧客獲得単価の抑制 SEO 課題解決型の記事コンテンツを継続的に制作・改善し、自然検索からの安定した流入を増やして広告費への依存度を下げる
検索結果画面での露出最大化とデータ活用 両施策の併用 広告で得たCV率の高い検索語句をSEOの記事制作に反映しつつ、同一キーワードで広告枠と自然検索枠の両方を占有してクリック率を高める

自社のマーケティング施策へ落とし込む際は、現在の予算規模と社内リソースから逆算して優先順位を決定する手順が有効です。Web集客の立ち上げ初期やキャンペーン期間中はリスティング広告で早期の成果と検索データを確保し、並行してSEOのコンテンツ蓄積を進めることで、将来的なCPA(顧客獲得単価)の低減につながります。

施策開始後は、GA4(Google アナリティクス 4:Googleが提供するアクセス解析ツール)やGoogle サーチコンソール(検索順位や流入キーワードを分析するツール)などの解析ツールを用いて、流入経路ごとの行動データを定点観測します。例えば、BtoB企業がリード獲得を目指す場合、リスティング広告のクリック単価が高騰したキーワードから優先的にSEO記事を作成し、上位表示を達成した段階で広告予算を別の未開拓キーワードへ再配分するといった運用改善を実施します。自社の事業フェーズと照らし合わせ、まずはどちらの施策にどの程度のリソースを投下するか計画を策定することから着手してください。

広告で得た検索語句のデータをSEOのキーワード選定に活かし、事業フェーズに合わせて予算配分を見直す。本記事で紹介した併用戦略は、広告運用とコンテンツ制作を別々の担当者や外注先に任せていると、データが分かれてしまい回りにくくなります。
リードプラスは、自社開発の広告運用プラットフォームを使ったリスティング広告の運用と、キーワード・コンテンツ設計を中心としたSEO支援の両方を手がけており、2つの施策を同じデータでつなげる運用をご一緒できます。どちらから始めるか迷っている段階でも、現在の予算と社内リソースの整理からお気軽にご相談ください。

リードプラスへのご相談はこちら

よくある質問(FAQ)

SEOとリスティング広告の導入や運用にあたり、企業のマーケティング担当者から寄せられる代表的な3つの疑問に回答します。

Q1. 広告を出すとSEOの順位は上がりますか?

リスティング広告を出稿しても、SEO(自然検索)の検索順位が直接上がることはありません。検索エンジンの広告配信システムと自然検索の順位決定アルゴリズムは、完全に独立して稼働しているためです。

Googleなどの検索エンジンは、広告枠と自然検索枠を明確に区別して評価しています。広告費を多く投じたからといって、検索アルゴリズムが自社のWebサイトを優遇することはありません。ただし、リスティング広告を通じて多くのユーザーがサイトを訪問した結果、以下のような間接的な経路でSEOに好影響が及ぶ可能性はあります。

  • 広告経由でサービスやブランドの認知度が向上し、社名や商品名での指名検索(特定のブランド名を指定した検索)が増加する
  • 広告から流入したユーザーがコンテンツの価値を評価し、自身のブログやSNSで紹介することでサイテーション(他サイトでの言及)や被リンク(外部サイトからのリンク)を獲得する
  • 広告経由のアクセスデータをGA4(Google アナリティクス 4)などの解析ツールで分析し、直帰率や滞在時間などの指標をもとにページ内容を改善することで、結果的にページの品質評価が高まる

このように、広告出稿そのものが順位を押し上げるのではなく、広告による露出増加がユーザーの行動を促し、間接的にサイトの評価を高めるきっかけになり得ます。

Q2. BtoBではどちらから始めるべきですか?

BtoBのマーケティングにおいては、自社の現在の課題が「短期的な商談の獲得」にあるか、「中長期的な資産の構築」にあるかによって優先すべき施策が異なります。一般的にBtoB商材は、BtoC商材と比較して検討期間が長く、社内稟議などで複数の決済者が関与するため、自社のリソースや目標達成期限に合わせた選択が必要です。

検討フェーズや社内状況に応じた優先順位の判断基準は、下表のとおりです。

企業の状況・目的 優先して始めるべき施策 主な理由と具体的なアクション
新規事業の立ち上げ直後・営業リストが不足している リスティング広告 配信開始から数日でWebサイトへ集客でき、ランディングページ(LP:広告からの着地ページ)の改善サイクルを早期に回せるため。
広告予算が限られている・将来的な獲得単価を下げたい SEO 社内の専門知識を活かしてオウンドメディア(自社運営メディア)の記事を作成でき、上位表示されれば継続的にリード(見込み客)を獲得できるため。
ニッチな専門商材で検索ボリューム(検索される回数)が極端に少ない 両方(少額の広告+SEO) 顕在層(課題が明確な層)の検索数が少ないため、広告で確実に顕在層を捉えつつ、SEOで周辺課題を持つ潜在層向けの記事を展開する必要があるため。

手元に一定の予算があり、早期に営業部門へトスアップするリードが必要な場合は、まずリスティング広告から開始してコンバージョン(成果)に結びつくキーワードを特定し、その後SEOに着手する手順が効率的です。

Q3. 同じキーワードを広告とSEOで狙っても問題ありませんか?

同じキーワードをリスティング広告とSEOの両方で狙うことは全く問題なく、むしろクリック率の最大化や競合他社への対策として有効な手法です。検索結果画面に広告と自然検索の両方で自社サイトが表示されても、検索エンジンからペナルティを受けることはありません。

同一キーワードで双方の施策を展開することには、実務上以下の3つのメリットがあります。

  • 検索結果画面の占有面積が広がり、ユーザーの視認性が高まることで、どちらか一方のみを表示させた場合よりも全体のクリック数が増加しやすい
  • 自然検索で1位を獲得している指名キーワードなどでも、競合他社が広告を出稿している場合、自社も広告を出稿することで顧客の流出を防げる
  • 広告枠では期間限定のキャンペーン用LPを表示し、自然検索枠では網羅的な解説記事や製品トップページを表示するなど、ユーザーの多様な関心に合わせた入り口を用意できる

ただし、すでに自然検索で1位を独占しており、かつ競合他社が全く広告を出稿していない指名キーワードなどでは、広告を停止しても自然検索側で十分に流入をカバーできるケースがあります。サーチコンソール(Google Search Console)や広告管理画面のデータを突き合わせ、広告の停止前後でサイト全体の合計クリック数が減少しないかを検証しながら運用を調整してください。