病院のマーケティング戦略とは?具体例を元に解説

インターネットの普及や診療のさらなる専門化に伴い、病院を取り巻く経営環境は大きく変化しています。しかし病院のマーケティング担当者の中には、どのようにこの環境変化に対応していけばいいのか迷っている方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、病院マーケティング戦略のポイントや事例について詳しく解説します。

病院のマーケティング戦略とは

 

病院のマーケティング戦略とは!?

「マーケティング」と言うと、一般企業などの営利団体が行うものというイメージがあるかもしれません。しかし、マーケティングとは本質的に言えば、顧客のニーズを調査して、商品やサービスに対する希求心を高める取り組みを意味します。これは言い換えれば、患者の心に寄り添った診療を行い、その地域の住民から慕われる病院になることを目指す、昔ながらの病院の取り組みと共通するものがあると言えるのではないでしょうか。

以下では、病院のマーケティング戦略が何を目指すものなのか、そして何故いま医療機関においてもマーケティングへの取り組みが求められているのかについて解説します。

病院のマーケティング戦略の狙いとは

現実的な面から言えば、マーケティングの最終目的とは売上の向上にほかなりません。そもそも、病院の総売上は「患者数×来院頻度×一診療当たりの売上」で構成されています。つまり、病院マーケティングの狙いは、これらの3つの項目を最大化することにあるのです。それでは、各項目を改善するためにはどのような要点を押さえておけばいいのでしょうか。

患者数の改善とは取りも直さず「患者数の増加」を意味します。患者数を改善するには、初診者の新規獲得はもちろんのこと、既存患者さんの離脱防止を図ることも大事です。マーケティングが最も効果を発するのは、まさにこの部分にあると言えるでしょう。

売上を増加ないしは安定化させるには、「患者さん一人当たりの来院頻度の増加」も大切な要素です。来院頻度を増加させるには、たとえば予防対策サービスを実施したり、患者満足度を向上させたりと、患者さんの足を病院に向けやすくするための取り組みが重要です。たとえばSNS広告を使えば、こうしたサービスの宣伝をしたり、患者さんに親しみを与えたりすることができるでしょう。

そして最後の「一診療当たりの売上の増加」とは、一般企業で言うところの売上単価の向上を意味します。医療費の額(診療報酬)は、政府が全国一律の公的価格によって設定しているため、病院側で決定することは難しい部分もありますが、自由診療費率の向上などによって売上単価の改善を見込めます。

病院のマーケティング集客の課題

一般企業に留まらず病院などの医療機関においてもマーケティング集客が現在課題になっているのは、ある意味では医療における専門技術の急成長の副作用であるとも言えます。

医療技術の専門性の向上は、医療分野の細分化につながるものです。つまり、現在の医療は診療科などが細かく細分化され、病院それ自体も専門分野に特化しつつあります。そしてそのような中で、患者さんは自分がどんな病院へ行ったらよいのか、かえって分かりにくくなってしまっているのです。

こうした状況やスマートフォンなどの情報端末の普及を反映して、患者さんは病院に行く前に自分で自分の症状の当たりを付け、それに適した病院を検索し、複数の候補の中から口コミなどを参考に実際に受診する病院を探す、といったプロセスを当たり前のようにこなすようになってきています。患者さんが自ら積極的に「良い病院」を探すようになってきている現状に対して、何もしないままではどんどん患者さんが離れて行ってしまう危険があります。

このような状況下で健全な病院経営を継続的に保つためには、「患者さんがどんなニーズを持っているのか」、「自分の病院は患者さんに対してどんなサービスを提供できるのか」を明確にし、病院も高度なマーケティング戦略を構築して、精力的に集患に取り組む必要があります。

病院におけるマーケティング戦略のポイント

前項では、病院をはじめとする医療機関がマーケティングに積極的に取り組む必要性についてご説明しました。続いては、病院の売上を向上させるための、効果的な病院マーケティングの方法について解説します。

新規利用者数増加施策

売上を上げるためには新規患者数を増加させることが重要です。

先に述べた通り、現在の患者さんは病院に行く前に、インターネットを活用して自分に適した病院を下調べする傾向が高まっています。そのため、新規の患者さんを増やすためには、従来のチラシやポスター、テレビや雑誌を利用したオフライン広告だけでは十分ではありません。公式サイトやブログなどのオウンドメディア、FacebookやInstagramなどを通じて第三者が発信するアーンドメディア、有料広告などのペイドメディアの、いわゆるトリプルメディアを活用した多方面に渡るインターネットマーケティングを展開することで、より大きな集患効果が見込めます。

リピーター数増加施策

患者数を増やす方法は新規患者を増やすだけではありません。既存患者の定着化、いわゆるリピーター数の増加も非常に重要です。1:5の法則に当てはめれば、新規患者を1人獲得するためは、既存患者を1人獲得する5倍の費用がかかります。つまり、新しい患者さんの獲得に力を入れるよりも、リピーターをいかに増やすかに注力するほうが利益を上げやすいといえるでしょう。

リピーターを獲得するためには、患者さんが再び来院しやすい状況を作ることが大切です。具体的には、診察中に次回来診の提案をしたり、的確な診療やコミュニケーションを通して患者さんのロイヤリティを高めたりする取り組みが重要です。

また、DMやSNSを通して積極的に追客をすることも効果的と言えるでしょう。これらの登録者数ないしはフォロワー数を増加させるためには、掲示・配布用のチラシやリーフレットなどに登録用のQRコードを印刷してユーザー登録を促すといった、地道な取り組みも必要です。

サービス品質の向上

リピーター率を高めるためにも忘れてはならない要素が、サービス品質の向上です。当然ですが、サービスの悪い病院よりも良い病院の方に患者さんは好んで足を運びやすいからです。

病院におけるサービス品質の向上とは、一義的には施設・設備などの診療環境の改善や、インフォームド・コンセントへの積極的な取り組みなど、診療それ自体のクオリティの改善に留まりません。たとえばスタッフの適切な対応や分かりやすい案内掲示板の設置、受付や診察の待ち時間の短縮、あるいは交通アクセスの改善やバリアフリーなどへの取り組みも重要です。すなわち、病院のサービス品質の向上のためには、病院を構成する場所・モノ・人のそれぞれの改善点を検討する必要があるのです。このようなサービス品質の向上は患者さんのリピートを促進させます。それによって病院の評判が高まれば、結果的には新規患者の増加にもつながることでしょう。

病院のマーケティング事例

高度なマーケティング戦略を展開することによって集客に成功した病院はいくつもあります。以下では、その中から、2つの具体例をご紹介します。

利便性のブランディングによる集客成功事例(医療法人社団海星会様)

初めにご紹介するのは、「医療法人社団海星会」様の事例です。海星会様は千葉県を中心に展開する医療法人で、カンボジアにおいてデンタルクリニックを開業するなど海外進出もしています。
海星会様は当初、インターネットによる集患方法へのシフトと、地域特性に合わせたマーケティング戦略に課題を抱えていました。しかし、ローカルフォリオの運用型広告支援を利用し、千葉県内の駅近好立地というアクセスの良さと、夜も利用可能な長時間営業を積極的にアピールしたブランディング戦略を集中的に行うことで集客に成功。これにより海星会様は、直近の電話予約率を10~25%増加できました。

また、電話件数が足りない時は、キーワードの追加削除や広告表示回数の修正などを行うことでローカルフォリオに改善してもらえるため、自分たちは本業のクリニック業務に集中できるという点も重要です。

電話問合せの顧客体験を最適化した集客事例(BRISTO DENTAL CLINIC様)

次にご紹介するのは、「BRISTO DENTAL CLINIC」様の事例です。

BRISTO DENTAL CLINIC様は、マイクロスコープ精密歯科などの高度な診療技術にも対応する埼玉県三郷市の歯科クリニックです。当時の院長は有料の広告施策に対して懐疑的な考えをお持ちでした。そこで、まずは月額10万円からの少額運用でローカルフォリオの広告運用サービスの利用を開始しました。すると、電話問い合わせに対する対応のまずさによって、多くの予約を取りこぼしていたことが可視化されました。そのため、電話録音を実施して電話応対サービスの質を見直しました。たとえば、マニュアル作成や具体的な指摘などによる徹底的改善を行うことで、電話からの予約率を80~90%も向上させることに成功しました。

まとめ

病院のマーケティングは他の業種とは異なり、病院に最適化した手法を実施することが重要です。本記事で紹介したように、ローカルフォリオは病院のマーケティング運用においても豊富な実績を持っています。自病院のマーケティング方法についてお悩みの方がいましたら、ぜひローカルフォリオにご相談ください。

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