オズボーン効果による買い控えを回避するためには?

オズボーン効果というものをご存知ですか?

商品やサービスの買い控えが議題のテーマになった場合、多くの場面においてオズボーン効果による具体的な意味や事例の説明が行われます。今回は、オズボーン効果について分かりやすく説明していきます。

オズボーン効果の意味は?

オズボーン効果とは、新製品発表のタイミングが早すぎると、現行商品を購入せずに消費者が買い控えを起こし、企業が業績不振を招いてしまうことを表したマーケティング用語です。

もともと、オズボーン・コンピュータ社が1980年代に起こしたマーケティングの失敗に由来することから「オズボーン効果」と名付けられるようになりました。

しかしながら、オズボーン・コンピュータ社が本当に買い控えで倒産したのか、その真偽はわかりません。

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有名なオズボーン効果の失敗例

オズボーン効果の名前の由来となったオズボーン・コンピュータ社の失敗例について紹介します。

オズボーン・コンピュータ社のアダム・オズボーンは、製品が未完成であるにも関わらずOsborne 1システムの後継機種として、「エグゼクティブ」と「ヴィクセン」を発表しました。

その発表の際、既存の商品よりも「エグゼクティブ」と「ヴィクセン」の方が、性能が上であることを強調しました。消費者は、既存の商品を購入せずに、「エグゼクティブ」と「ヴィクセン」が発売されるまで待った方が良いと考え買い控えが発生したのです。

これにより、既存の商品が売れないオズボーン・コンピュータ社は、一気に売上が落ちてしまいました。

企業の売上が落ちると同時に、キャッシュフローにも大きく影響が出てしまい、社内の収益構造が悪化してしまったため、数ヵ月後には倒産してしまったのです。

オズボーン・コンピュータ社が起こした失敗が既存の商品の買い控えを生み業績不振を起こし たことから「オズボーン効果」と呼ぶことになったということです。

オズボーン効果を回避するマーケティング戦略

企業としてもオズボーン効果によって製品が売れないという現象は、必ず回避したいところでしょう。

私自身も過去のプロダクトマーケティングの担当者だった頃には新製品の発表の日時は頭を抱える問題でした。

実際に、オズボーン効果を回避するする方法は、多数存在しています。

例えば、新製品の発売を発表した時点で、既存の商品やサービスのお値段を下げることで、買い控えを防ぐといった方法です。

この方法だと買い控えは防げるものの、企業イメージを下げることにもつながります。値段に訴求しなくても、オズボーン効果を防ぐ方法は他にもあり、アップル社では、オズボーン効果を回避するために、新製品の情報については、公式販売まで完全黙秘を貫いています。

実際に、新製品が完成した場合は、公式発表の直後にすぐに購入できるように施策を講じることで買い控えによる問題を最小限に抑えています。

オズボーン効果を逆手にとった方法とは?

アップルは、上記の通り新製品が公式販売されるまで絶対に製品情報を公開することはありませんが、過去にIntelプロセッサへ移行する際、オズボーン効果を逆手にとることで、売上を一気に伸ばすことができました。

その方法は、Intelプロセッサを搭載した商品を6ヵ月も早くリリースするという方法です。これにより、既存のプロセッサであるパワーPCを搭載した製品が、購入できなくなってしまうのではないかという感情を消費者に与えたのです。

その結果、商品がなくなってしまう前に購入しなければと多くの人が動き出しました。消費者のパワーPC搭載製品がほしいという強い願望を利用して、旧製品のパワーPC搭載マシンの在庫を、一気に片付けることができました。

オズボーン・コンピュータ社と全く逆の状況が発生したことから、IT業界では、オズボーン効果が重要視されなくなっています。

オズボーン・コンピュータ社が倒産した理由

オズボーン効果の名前の由来となったオズボーン・コンピュータ社ですが、もし買い控えが真の倒産理由ではないとするならば、なぜ倒産してしまったのでしょうか?

一説によればオズボーン・コンピュータ社の同業他社のケイプロ社のコンピュータが性能面や価格面で優れていたことから、顧客のほとんどがケイプロ社に移ってしまったことが倒産した要因だとも言われています。

他にも、経営上に大きな問題を抱えており、企業決定のずさんさが倒産を引き起こしたとも考えられています。社内情報について簡単にまとめると「エグゼクティブ」と「ヴィクセン」をOsborne 1システムの後継機種として発表した後、一時的にOsborne 1システムの売上は低下したものの、時間の経過とともに売上は戻ったのです。

そのため、キャッシュフローも元に戻り、ビジネスを継続する上では特に問題がない状態となりました。

「それだったら倒産しないのでは?」と思ったでしょう。しかし、会社の副社長が旧製品の部品が余っていることを認識してしまったのです。その旧製品を使って、新たなビジネスを展開したいと考えたことから、約200万ドルものお金を投下してしまいました。

最終的に、約200万ドルもの将来的な投資が負債に変わり、その借金が倒産を招いたと言われています。オズボーン・コンピュータ社が倒産した理由としては、会社経営に影響が出てしまうほどの負債を抱えてしまったとする説が有力でしょう。

オズボーン効果から考える企業で徹底すべきこと

オズボーン効果で紹介されるような失敗が都市伝説のようなものだったとしても、新製品の情報を先に出してしまうことで多少なりとも消費者の買い控えが起きてしまうことは間違いありません。

もし、企業の利益を最大化したいとお考えなら、アップル社のように情報が事前に流れ出てしまうことがないように、情報管理を徹底しておくことをお勧めします。

新製品の完成が近づくと、どうしても誰かにその事実を話してしまいたくなるものです。新製品の情報が流出しないようにするためには、「絶対に製品情報を事前に話してはいけない」と社内規定を設けるなど、対策が必要でしょう。

秘匿しているだけで、オズボーン効果の対策は可能なのか

オズボーン効果によって売り上げを落とさないようにするために、新製品情報を秘匿にしておくということは、多くの企業で実践されていることでもあるでしょう。オズボーン効果によってオズボーン・コンピュータ社は、一時的に大きく売り上げを落としてしまいましたが、最終的に売り上げは回復したのですから、マーケティング担当者として学ぶべきことが他にあるようにも思えます。

例え、オズボーン効果が発生する状況においても、アップル社のように顧客が欲しいと思うものを、購入したくなるタイミングで販売すれば、ほとんど影響を受けないどころか、余っていた在庫を一掃することができるのです。

これは、アップル社が顧客視点に立って、心の中を正確に読み解くことができたからでは ないでしょうか。

オズボーン効果が発生しても顧客視点は忘れない

どれだけ会社が情報を内密にしていても、秘匿情報が流出してしまいオズボーン効果が発生してしまう可能性は十分にあります。

そのような状況に陥り、一時的に売り上げが落ちるようなことがあっても会社が倒産する要因とはならないので、冷静になってマーケティングを立て直して頂きたいと思います。常に顧客視点に立ち、価値あるマーケティングを講じていれば、次第に顧客は戻って来るでしょう。