コンテンツマーケティングとは?メリット・デメリットや取り組む作業も解説

新型コロナウイルス感染症の影響で、企業のWebサイトは、顧客との接点として一段と重要になりました。それに伴い、顧客との関係性を強化し売り上げなどにつなげる手段として、改めてコンテンツマーケティングが注目されています。本記事では、コンテンツマーケティングをより深く理解するために役立つ情報として、メリット・デメリットや実際に取り組む作業などについてわかりやすく解説します。

コンテンツマーケティングの意味

コンテンツマーケティングの意味

「コンテンツマーケティング」とは、「見込み顧客にとって価値があるコンテンツを作り、提供することで興味・関心を惹くこと。それによって企業と見込み顧客との関係性を強化し、最終的には商品・サービスの購入など利益につなげること」を目的としたマーケティング手法です。もう少しわかりやすく言い換えると、印刷物やWebページ、SNSなどで情報を発信して、商品購入を促す取り組みを指します。

有名な事例として、ANA(全日本空輸)が発行する機内誌『翼の王国』があります。これは「旅」をテーマに各地の文化や自然、食物などを美しいビジュアルで紹介したもので、一般販売もされ多くのファンを獲得しています。

機内誌を読んだ人は、記事を楽しみながら「次はこんな場所へ旅行に行きたい」という気持ちを高めるとともに、質の高い冊子を作成するANAに対して好意的になります。次に旅行する機会ができたときに、『翼の王国』ファンはANAを利用する可能性が高くなります。

日用品の購入などと異なり、飛行機を利用する頻度はそれほど多くないため、航空会社が顧客と接点を持ちコミュニケーションを取る機会は少なくなります。コンテンツマーケティングを活用することで、このようなケースでも長期的に顧客との関係性を保つことができるのです。

コンテンツマーケティングのメリット

企業がコンテンツマーケティングに取り組むメリットとしては、以下の2点が挙げられます。

導入しやすい

ほかの施策と比較して、コンテンツマーケティングはコストを抑えて実施することができ、導入ハードルも低い点がメリットです。例えば、自社サイトで記事コンテンツを利用するものであれば、追加の広告サービスなどが不要なため、その分の費用が浮きます。

また、運営やコンテンツ制作を外注できるため、社内スタッフの負担を最小限にして実施することも可能です。場合によっては専門企業に委託したほうが、不慣れな内製よりも質が高くなることもあります。

しかし、効果が出るまでには時間がかかるため、短期的に集客したい場合には、コストをかけてでもWeb広告のほうが適している点には注意が必要です。

資産化できる

コンテンツマーケティングにおいて作成したコンテンツは、自社の資産として活用・蓄積できる点も大きなメリットです。

例えば、コーヒー豆のネット販売を行うショップがコンテンツマーケティングに取り組み、「おいしいコーヒーの選び方」「上手なコーヒーの淹れ方」などのYouTube動画とWebページを作成したとしましょう。この場合、コーヒーについて知りたい多くのユーザーが、検索経由で同ショップのWebサイトに流入する可能性が高まるため、継続的な集客が見込めます。

価値の高いコンテンツはSEOにも貢献します。また、評判がよかった記事を集めて小冊子を作り商品に同梱する、再編集してメルマガ記事として流用する、といった施策も効果的です。コンテンツをマルチユースする場合には、テキストや画像などの素材データをどのようなかたちで管理しておくか、管理方法を検討しておくと作業が効率化できます。

コンテンツマーケティングのデメリット

一方で、コンテンツマーケティングにはデメリットもいくつか存在します。導入の際は、メリット・デメリットの両方をよく理解しておくことが大切です。

時間がかかる

コンテンツマーケティングは長期的な施策のため、目に見える効果が出るまでに時間がかかります。そのため、売上などをKPIに設定してしまうと、継続が厳しくなることが想定されます。SNS活用などと同じく、ある程度長い目で見るべき施策として経営層に理解してもらうことが重要です。

ライフサイクルステージと コンテンツマッピングテンプレート
バイヤーペルソナテンプレート

継続を要する

継続的に質の高いコンテンツを作成していく必要があるため、コンテンツ作成を無理なく続けられる運営体制づくりが不可欠です。クラウドソーシングを活用してWebページを作成する、という選択肢も視野に入れて検討するとよいでしょう。

コンテンツマーケティングのコンテンツ例

では実際に、コンテンツマーケティングではどのようなコンテンツを作成すればよいのでしょうか。代表的な例を4つ紹介します。

記事

もっとも多いのが記事形式のもので、役に立つ情報や専門性のある記事などをオウンドメディアのほか、Noteなど外部メディアなどに投稿します。

SEO効果やブランディング効果もあるので、オウンドメディアに蓄積することをおすすめします。外部メディアは集客しやすいなどの利点もありますが、何らかの理由でそのメディアが終了する場合もあるため、そのリスクは常に考慮しておきましょう。

動画

動画はここ数年のトレンドでもあり、短時間で多くの情報を伝える手段として人気です。テキストでは説明が難しい内容などをビジュアルで説明する動画は、ユーザーからのニーズも高まっており、見る側・発信する側ともに利用しやすいコンテンツと言えます。

Googleが提唱する「HHH戦略」と呼ばれる戦略では、「Hero動画」「Hub動画」「Help動画」という3つのHで始まる動画を作成し、適切に配信することで大きな成果を上げられるとしています。コンテンツマーケティングの場合は、商品の使い方などを解説するハウツー動画やQ&A動画(Help動画)、自社製品を使って何かする様子を動画化するHub動画との相性がよくおすすめです。

また、質の高い動画はSNSでシェアしてもらえる可能性が高まるため、SNSによる情報発信と組み合わせて施策を展開するとより効果的です。

メールマガジン

登録者に対して定期的に情報発信し、関係性を維持する手段として効果的なのが、メールマガジンです。低コストながら多人数に訴求できたり、見込み顧客との接点維持に使えたりなどの利点があります。

実施自体のハードルは低いですが、一方で、「クーポンなどのメリットがないと継続してもらえない可能性がある」「そもそも登録してもらうのが大変」といった点には注意が必要です。

ホワイトペーパー

近年、ビジネス系のWebサイトで見かける機会が増えてきたものが、ホワイトペーパーです。もともとは「白書」という意味ですが、今日では、ビジネスで有益な情報をまとめた資料やデータを指すのが一般的となっています。

基本的に、これは次のように活用されます。まずホワイトペーパーをPDFで作成し、自社サイトにアップしておきます。そして関心を持ってくれた人に、メールアドレスなどを登録してもらいつつ、ダウンロードしてもらうのです。これで、ホワイトペーパーの配布と同時に、顧客情報を収集できます。特にBtoBのサービスを提供する企業であれば、ホワイトペーパーの活用がおすすめです。

コンテンツマーケティングにおける作業

コンテンツマーケティングでは具体的に、どのような作業を行うのでしょうか。「自然派由来のコスメを製造・販売するメーカー」を例に紹介します。

ペルソナを設定する

「ペルソナ」とは、ターゲット層を具体的な人物像に落とし込んだものです。より具体的な人物像をイメージすることで、求められるニーズや相手の抱える問題を理解しやすくなります。

例えばコスメメーカーでは、ペルソナとして「デスクワーク中心の生活で肌荒れに悩む、30歳前後の女性。話題のコスメやスキンケアを試してみるものの、なかなか自分にぴったり合った商品が見つけられていない。」といった具合に設定します。

このようにペルソナを設定することで、相手のニーズを想像し、悩み・問題を解決するためのコンテンツやアプローチの仕方を組み立てやすくなります。

カスタマージャーニーマップを作成する

次に、ペルソナの行動・気持ちを時系列で見える化するために作るのが、カスタマージャーニーマップです。マップという名称ですが、一般的には表形式で作成します。縦軸に「行動・ニーズ・タッチポイント・感情」などを取り、横軸には「認知・比較検討・購入」などペルソナの行動を取ります。

こうして見える化することによって、段階ごとの施策を立て、今まで想定していなかった接点や情報の届け方を発見することが可能です。

カスタマージャーニーマップの作成にあたっては、可能であれば顧客にユーザーインタビューを実施すると、ペルソナの感情がより具体的なものになり、精度が高くなります。

コンテンツの形式を検討する

カスタマージャーニーマップによって、どんな情報をどのような手順でペルソナに伝えるかが決まったら、次はどんなコンテンツを届けるかを決めます。

例えば、通勤時に見てもらえるようSNSを活用する、商品の使い方の解説動画を制作するなど、媒体やフォーマットを選定します。

コンバージョンポイントを決める

コンバージョン」とは、購入ボタンを押す、メルマガを購読するなど、ユーザーが何らかのアクションを行うことです。次のプロセスは、カスタマージャーニーマップをもとに、どのタッチポイントでどんなアクションを行ってもらいたいかを明確にします。その時々の気持ちをマップで確認しつつ、ペルソナの目線に立って決めることが重要です。

CTA・KPIを設定する

「CTA(Call to Action)」とは、日本語で「行動喚起」を意味する言葉です。前項で決めたコンバージョンを呼びかけるための手段を決定するものです。具体的には、購入してもらうためのLPやメルマガ申込フォームなどの設計を行います。CTAをつなげていって、ゴール(コスメメーカーの例では購入)にまで動線がつながるように、していくのです。

併せて、滞在時間・アクセス数・クリック数など、数値で把握できるKPIを設定します。

コンテンツを作成する

「ペルソナのニーズに合ったコンテンツとは何か」「どのタイミングでどんな手段で届けるか」。それらが明確になったら、いよいよコンテンツを作成していきます。

カスタマージャーニーマップで洗い出したニーズに基づいて、キーワード設定・アウトライン作成・タイトル付けなどを行い、記事を作成します。公開後もアクセス数などを考慮しながら、内容の修正や、情報のアップデートを忘れずに行うようにしましょう。

まとめ

コンテンツマーケティングは、コストを抑えつつ、顧客と長期的につながる有効な手段です。その際、蓄積したコンテンツも自社の資産として活用できるなどメリットの多い手法でもあります。近年、広告に対して忌避感を持つ人が増えたことも、コンテンツマーケティングの活用を後押ししています。

しかし「流行りだからやろう」とやみくもに飛びついても、得られる効果はわずかです。実施を検討する際には、「なぜコンテンツマーケティングが必要なのか」「自社に向いているのか」をきちんと考えることが重要です。

また、始めるにあたっては、経営層の理解や社内の制作体制など組織的な準備が欠かせません。クラウドソーシングの活用や社内報の再利用、既存コンテンツの流用など、上手にコンテンツを作り続けられる仕組みづくりが求められます。

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