コンシューマライゼーションとは?をわかりやすく解説

「コンシューマライゼーション」という言葉を聞いたことがありますか?ITの分野で以前から話題になっているのですが、ビジネスパーソンであれば誰でも一度は耳にしたことがあると思います。

今後ニーズがさらに拡大していくとの予測もされているので、今を生きる企業にとっては避けては通れない道だと言われています。しかし、「コンシューマライゼーションって何?」と詳しく知らない方はまだまだ多いでしょう。「IT分野のことなら知らなくてもいい」をいう声も出てきそうですが、実は営業も経理も総務も全ての部署に関係してくることなので、知っておきたいビジネス知識の一つです。

ここでは、そんなコンシューマライゼーションについて解説していきます。

コンシューマライゼーションとは

コンシューマライゼーションを簡潔に説明すると、「消費者向け製品が企業向けソリューションとしてビジネスに浸透している状態」となります。

従来のIT関連製品といえば、まず専門性の高い企業向けソリューションが開発され、ミニマイズされた製品が消費者向けとして拡大していくというのが一般的でしたね。しかし、現代においてはこの流れが逆転し、消費者向け製品をビジネスに取り入れていくという流れが大きくなっているのです。

背景にあるものとは

コンシューマライゼーションの背景にあるのは「消費者向け製品・サービスの急成長」と「シンプルな使い勝手」です。

消費者向けデバイスやITサービスの多様化は今や企業向けソリューションのそれを凌ぐ勢いであり、次々の新製品・新サービス・新技術が生み出されています。こうした消費者向け製品・サービスの急成長の要因となっているのが、PCやスマホなどの普及による一般ユーザーのITリテラシー向上です。簡単に言えば、消費者におけるITのニーズが高まったから急成長したということですね。

そして次々と生み出されていく製品・サービスは企業向けソリューションを凌駕するものも存在し、企業も消費者向け製品・サービスに目を向け始めました。

また、企業向けソリューションは高機能・高性能でありながらも専門性の高さや導入・運用コストがネックになるケースが珍しくありません。特に多くのスタートアップや中小企業で「シンプル、低コスト」を求めるニーズが高まり、コンシューマライゼーションが加速度的に促進されたと言えます。

代表的なのはBYOD

ここまでの解説では、コンシューマライゼーションが具体的にどんなものなのかをイメージしづらいと思います。身近にある代表的な例としてはBYOD(By Your Own Device)であり、社員の使用デバイスを業務に活用するというビジネススタイルです。国内でBYODを取り入れいてる企業は2014年に10.8%、3年後の2019年には18%にまで成長すると言われています。ですので、既に取り入れているという企業も多いと思います。

BYODとは消費社向け製品を業務に活用するという点が、立派なコンシューマライゼーションと言えますね。もっとも、BYODを企業が導入する目的は生産性の向上や社員の満足度向上など前述した背景とは異なる経路を辿っていますが、結果としてコンシューマライゼーションを実現しています。

BYOD以外の身近な例としては、昨今LINEなどのコミュニケーションチャネルを業務に取り入れている企業が増加していますね。また、消費者向けスマホやタブレットを社用デバイスとして導入するのもコンシューマライゼーションです。

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メリットとデメリット

メリット

コンシューマライゼーションの最も大きなメリットは、コスト削減とシステム運用負荷の軽減です。企業向けソリューションと消費者向け製品・サービスでは価格差が大きく、後者を導入すれば何倍ものコスト削減に繋がります。もちろんその分機能・性能は企業向けソリューションに劣りますが、そもそも高機能・高性能が求められていないというのが現状です。

また、消費者向け製品・サービスではほとんどの場合自社にシステムを構築する必要がありません。つまり、ベンダーがシステムを運用しているので企業は運用にノータッチで製品・サービスを利用できるのです。

デメリット

企業向けソリューションでは自社システムを一から構築することが一般的ですが、コンシューマライゼーションでは既存の製品・サービスを導入します。そのため、消費者向けに提供されているものは非常に多く、自社にとって最適な製品・サービスを選び出すのが難しいというデメリットがあります。

牽引したのはクラウドサービス

コンシューマライゼーションの浸透を牽引した存在と言えば、クラウドサービスです。クラウドサービスとはインターネット経由で利用するサービスの象徴であり、PCやオンライン環境さえあれば利用できるのが特徴的です。

多くのネットユーザーが利用するGmailYahoo!メールといったサービスや、Dropboxを始めとしたオンラインストレージなどが代表的ですね。もともとこうしたサービスは消費者向けに展開されているものですが、オンライン環境とPCのみで利用できるという点や、コストパフォーマンスが高いという点から企業に注目され始めました。

そして消費者向けオンラインストレージなどが業務システムとして取り入れられるというケースが増加しましたね。このように、コンシューマライゼーションを牽引したのはクラウドサービスであり、この傾向は今後も続きます。

コンシューマライゼーションによるビジネスの変化

コンシューマライゼーションが浸透しているということは、業務システムに対する企業のニーズが変動しているということです。つまり、従来の高機能・高性能なシステムではなく、基本機能を押さえたシンプルかつコンパクトなシステムを求めています。

こうしたニーズの変化をいち早く捉えた企業では、既に様々なサービスの展開がされています。例えばある業務システムの機能・性能を極力シンプルかつコンパクトにし提供するなど、現代の企業ニーズに合わせた製品・サービスは多く提供されているのです。

また、BYODが今後さらに拡大すれば、ビジネス向けアプリのニーズが非常に高まります。スマホやタブレットでも既に多くのビジネス向けアプリがリリースされていますが、選択肢は限られます。しかし今後もコンシューマライゼーションが浸透すれば、ビジネスアプリ向けのニーズは高まります。2019年にはBYODの普及率が18%を越えているというので、今後数年でビジネス向けアプリは急増するでしょう。

このようにコンシューマライゼーションは少なからずビジネスに変化をもたらしており、様々なビジネスチャンスを見出すことができます。

コンシューマライゼーションの事例

コンシューマライゼーションがどのようなものか軽く前述しましたが、他にはどういった事例が存在するのか?いくつか紹介していきます。

社内SNS

FacebookTwitterを始めとしたSNSは、コミュニケーションチャネルとして非常に優れたシステムだと言えます。これをビジネス向けに取り入れたのが社内SNSです。

企業が社内SNSを導入する主な目的は「フラットなコミュニケーションを実現させるため」です。部門間の垣根を越えコミュニケーションを取ることで、従来生まれることのなかった発想が期待でき、またコミュニケーションを促進することができます。

ほとんどの企業が導入に際し自社独自のSNSを開発しているのですが、失敗する企業が多いのも事実です。運営体制をしっかりと構築した上で導入する必要があります。

Facebookグループ

Facebookグループとは、Facebook上で繋がっているユーザー同士がグループを築くことで、情報の共有などが可能になるサービスです。最近ではこのFacebookグループをグループウェアとして導入している起業が多く存在します。

FacebookはPCやスマホとオンライン環境さえ整っていればどこからでもアクセスできるので、クラウドサービスライクな使い勝手があります。

また、チャット機能やファイル送信機能も充実しているので、通常のグループウェアと何ら変わりないというメリットがあるのです。コストがほとんどかからないというのも魅力の一つでしょう。

このようにコンシューマライゼーションには様々な用途があり、多くの企業で導入が進んでいるのです。皆さんの企業でも、もしかすると既にコンシューマライゼーションを取り入れているかもしれません。

まとめ

いかがでしょうか?今回コンシューマライゼーションについて解説してきました。「コンシューマライゼーションは終焉を迎えた」という声もたまに聞きますが、実際はまだまだ成長段階にあります。なので、IT分野に精通していない方でもこの言葉をよく理解しておくことが大切です。

最後に、自社でコンシューマライゼーションを行う場合ですが、まずは既存システムの課題を把握してください。既存システムの課題を洗い出すことで、どんな製品やシステムを導入すべきかが見えてきます。また、場合によっては既存システムで問題なく運営していることもあり、そういった場合はコンシューマライゼーションの必要性がないと言えます。

既存システムで十分にも関わらずコンシューマライゼーションして失敗するなんて事例も珍しくないので、慎重に行いましょう。課題を洗い出し、可否を検討、自社に適切な製品・サービスを導入してコンシューマライゼーションが成功します。

まだコンシューマライゼーションしていない企業では、今後是非検討してみてください。従来の企業向けソリューションだけでなく消費者向け製品・サービスを取り入れてコスト削減、そしてビジネスを加速させていきましょう。