次のマーケティングへ向け、気になるZ世代の基礎をおさえる

「Z世代」は近年のデジタルマーケティングにおける、トレンドワードのひとつです。
バズワードと見る向きもありますが、多くがこれから社会に出る世代ですから、必ず中心的な存在になってきます。こうした世代を知ることは、ユーザー理解にも関係します。
この記事ではZ世代の基礎知識を解説していきます。

Z世代をより深く理解したい、マーケティングのポイントを知りたい方はこちらの記事で
Z世代の深掘りとマーケティングへの生かし方

Z世代の基礎知識

Z世代の基礎知識

Z世代とは何か。その意味をまずはピックアップしてみましょう。

  • 1990年代の半ば~2012年頃に生まれた世代を指す言葉です。
  • 語源はアメリカ。
  • 海外と日本では、人口の傾向が異なります。
  • 「Gen Z」「Gen Zers」「ポストミレニアル世代」など、いろいろな呼び方が存在しています。
  • 主に、次のような特徴があると言われています。
    • デジタルネイティブ。
    • リアルも重視。
    • モノよりもコト。
    • 自分らしさを大切にする。
    • 警戒心が強く、保守的な傾向。
    • リアリスト。

世代を指す言葉ですから、当然ながらいつからいつまでに生まれたかで区切ることになります。ここでは1990年代の半ば~2012年頃としていますが、他にもさまざまな説があります(たとえば1990年代の後半から。あるいは2015年までに生まれた世代とされることもあります)。
というのもZ世代という言葉そのものは、非常に定義が曖昧だからです。
語源はアメリカと書きましたが、『ジェネレーションX―加速された文化のための物語たち』という小説をもとに、この言葉が広まってきたようです(詳しくは各世代との比較のため、次項に記載します)。

海外と日本で人口の傾向が異なる、というのはビジネス上でも大きなポイントです。
というのもZ世代は、2017年時点でアメリカの人口の25%以上を占めていました。それは年を追うごとに、当然増加していくことになります。これだけの割合を占めているということは、消費の主役と言っても過言ではありません。
一方日本では、この世代は少子化と近しい存在です。つまり人口に占める割合が、極端に少ないのです。ですから消費の中心とはいえず、このブログのテーマであるマーケティング界隈でもあまり積極的に語られることがないのです。
消費の主役である海外のZ世代と日本のZ世代には、こうした数の違いが大きいのです。

さてZ世代の大きな特徴、それは「デジタルネイティブ」であることです。ビジネス、マーケティングにおいてもこのことは強く影響しますので、もう少し紐解いてみましょう。

  • インターネットは当たり前、日常生活に溶け込んだもの。
  • その中心となるデバイスはスマートフォン。
  • ソーシャルメディアでのつながりに慣れている。
  • IoTやVRといった技術にも親しんでいる。

この世代は、生まれた時からインターネットが存在していました。それより前の世代の方がイメージしやすいように、たとえばテレビを考えてみましょう。このブログを読んでいる方の多くは、生まれた時から家にカラーテレビがあったはずです。私もそうですが、テレビがあることに特別な感情はなく、チャンネルを変えるといった操作に不都合を感じたこともないでしょう。
一方、Z世代についてです。以前Z世代にあたる子どもが生まれたご家族に話を聞いたところ、「家で子どもは勝手にiPadをさわって、YouTubeを見ている」と言っていました。おそらく2、3歳の頃だと思うのでにわかには信じられませんでしたが、Z世代のことを知ると納得できます。
スマートフォンについても、面白いエピソードがあります。今から数年前、あるマーケティング関係の人がマクドナルドにいると、高校生たちがノートパソコンを開いていたそうです。それにも関わらず「○○って何かな。調べてみよう」と言って、スマホを出して触りはじめたというのです。その人はマーケティングの仕事をしているものですから、思いきって「どうしてパソコンで調べないの?」と尋ねてみたそうです。すると返ってきた言葉は、「スマホの方が検索しやすいから」だったとのこと。このようにZ世代にとってのインターネットはスマホかパソコンかといった議論から大きく離れた、「スマホが当たり前」が特徴です。

ただしこの世代が面白いのは、リアルな体験にも強い関心を示しているということです。フィクションの世界には、過去からこうしたデジタルが当たり前となった近未来を描いた映画や小説、マンガといったものがいくつもありました。その多くは、「デジタル上のコミュニケーションのみで、リアルには関心を示さない」という人々を描いていました。
しかし現実は違うようです。海外のある調査では、コロナが落ち着いたらリアル店舗で買い物をしたい、という回答が前の世代をわずかに上回ったそうです。
これはマーケティングにおいても、大きなヒントになります。たとえばリアル店舗はこれからも必要かどうか、といったことがよく話題になりますが、Z世代のこの傾向を見れば「必要」となるでしょう。BtoBにおいては、今後も展示会への出展や訪問営業が必要かどうか、という話につながっていきます。
ただしこうした二者択一の議論だけでは、マーケティングの価値はありません。「リアルでもデジタルでも同じ体験の提供」「サービス間の連携」「カスタマージャーニーにおけるリアルとデジタルの役割」、といったことを踏まえて戦略を立てていく必要があります。

もひとつ、Z世代には興味深い特性があります。「自分らしさを大切にしながらも、警戒心が強く保守的」という側面です。これは一見すると、矛盾した価値観にも思えます。しかしZ世代の生まれ育ってきた時代を照らし合わせると、大いに納得できます(マーケティングにおいて、ターゲット層が育ってきた時代背景を理解することは非常に重要です)。
自分らしさを大切にするということは、つまりブランドよりも「自分が気に入ったか」「自分の個性が出せるか」に重きが置かれるということです。
これについては、ある若い芸能人のYouTube配信が良い事例になります。その芸能人の配信はファッションをテーマにしているわけではありませんでしたが、ちょっぴり個性的なファッションでおこなっていました。また配信中にごく小規模なブランドの服を買うのに、「お金がいくらあっても足りない」といったことを口にしていました。繰り返しになりますがファッションをテーマにした配信ではありませんし、具体的なブランド名も口にしていませんので宣伝目的でもなかったはずです。まさに「有名、無名にかかわらず自分が気に入ったものかどうか」という価値観が優先されているのがわかります。

ここまで見ると、Z世代は奔放な世代に思えます。しかしもう一つの側面として警戒心が強く、保守的な傾向が目立つそうです。
これは就職に関する若い人たちの傾向を見ると、わかりやすいかもしれません。「2021年卒 マイナビ大学生就職意識調査」に、こうした対比がよく見える設問がありました。

就職観

就職観

企業選択のポイント

企業選択のポイント

マイナビ 2021年卒大学生就職意識調査より

就職観のトップは、「楽しく働きたい」が突出しています。一方で企業選択のポイントとしては、「安定している会社」がトップです。必ずしもこの二つが相反するものとはなりませんが、矛盾した印象は受けます。

こうした矛盾した思いというのは、先にも書いたようにZ世代の生まれ育った時代と大いに関係があります。
Z世代で一番上の年代となる1990年代の半ば生まれ(1996年前後)でさえも、景気が良かった頃の日本をまったく知りません。高度経済成長は伝説、バブル景気もその崩壊も生まれるもっと前の話です。また経済状況とは別に、少子高齢化や環境問題といった社会問題ものしかかり、明るい未来が描けない世代といえます。
もちろんこれよりも上の世代にも、冷戦などの恐怖はありました。しかし経済や少子高齢化、環境問題はより身近な問題といえます。
一方でこの時代は人権や男女平等、あるいはハラスメントへの意識が大いに高まったといえるでしょう。そのため誰もが、「自分らしさ」を表現したいという思いが高まります。もっといえばデジタルと同じく、それが当たり前とも捉えているはずです。このため、Z世代は社会問題への関心が高く、実際に取り組む姿勢もあります。
このように各世代を考えるうえではその時代背景が大いに関係し、マーケティングを一段階高めるためには時代への理解も大切といえるのです。

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他の世代

Z世代の語源は前章で紹介したように小説からですが、このタイトルは『ジェネレーションX―加速された文化のための物語たち』、つまりZではなくX世代です。このX世代をベビーブーム後の世代と定義して、それ以降の世代をY、Zとしているのです。整理してみましょう。

  • ベビーブーム世代
  • X世代:1960年代半ば~1980年頃の生まれ
  • Y世代:1980年頃~1990年代前半頃の生まれ
  • Z世代:1990年半ば~2012年頃の生まれ
  • (α世代:2010年代以降の生まれ)

すでにZ世代の次も、呼び名が存在しています。それがα世代です。もともとXから始まっている分け方なので、あっという間にうまってしまったわけですが、この後はギリシャ文字を使う形になりました(とはいえ、まだ定着しているとは言いきれませんが)。
またこうした分け方とは別に、ミレニアル世代というものも存在します。2000年代に成人を迎えた層を指しますので、Y世代と重なる部分が多い年代です。今ではすっかり忘れられていますが、2000年はミレニアム=新世紀と呼ばれ、世界的に盛り上がりを見せました。また2000年代初頭に成人を迎えたとすると現在40代~30代後半となりますので、多くのマーケティングにおいて中心的なターゲット層となります。BtoBに限ってみると、現在進行で非常に重要な世代と捉えられます。
ミレニアル世代(Y世代)として区分けされると、Z世代とかけ離れた特徴を持っているように思えます。しかし細かな部分を除けば共通したところも多くあり、近しい世代として同時期のマーケティング対象になる場合もあります。

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