日本では極めて重要、シニアマーケティングについて

 2022.01.12  LeadPlus

マーケティングの世界で重要とされる「Z世代」について、次の二つの記事で解説しました。

次のマーケティングへ向け、気になるZ世代の基礎をおさえる

Z世代の深掘りと、マーケティングへの生かし方

しかし現実問題として日本では、シニア世代へのマーケティング、いわゆる「シニアマーケティング」の方が中心になります。
この記事ではシニアに関するデータをもとに考察をおこない、有効なシニアマーケティングを考えていきたいと思います。

日本では極めて重要、シニアマーケティングについて

海外と異なる日本

まずは前提として、日本ではなぜシニアマーケティングが重要かを押さえておきましょう。

ほとんどの方が想像されていると思いますが、少子高齢化だからです。しかも、世界一です

内閣府の発行する高齢社会白書、令和3年版に掲載されたデータによると、全人口のうち65歳以上に占める割合は28.8%です。2位のドイツが21.7%なので、大きく引き離してダントツのトップです。

一方でZ世代は14%ほど、ミレニアル世代と合わせても30%程度です。そのため将来的に消費の中心となる、いや既にそうなっている海外と比べ、Z世代(さらにはミレニアル世代も加えた世代)よりも、シニア世代への取り組みが熱心になるのは当たり前のことなのです。

これに関しては面白い話があります。

グローバルのマーケティングイベントを視聴している際、何名もの海外のパネリストがZ世代の重要性を口にしていました。一方で日本国内において、何十人ものパネリストが参加するイベントを視聴していた時のこと。Z世代への言及はひとつもなく、逆にシニアマーケティングについて多く口にされました。日本と海外の世代別のマーケティングの違いを、強く実感する出来事でした。

なお海外がZ世代を重視するのは、今の顧客というよりも5年後、10年後に顧客となってもらうための取り組み、といったビジョンも多く語られます。日本でもあるメーカーが、将来的な顧客となってもらうために中学生、高校生に向けたYouTube動画などを公開していた事例はありますが、こうした長期視点に立っての取り組みはそれほど多くないはずです。

ターゲットとする世代の違いとともに、将来を見据えたマーケティングに取り組んでいるかどうかの差も感じます。

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シニア世代の実態

ここからはこの記事のテーマである、シニア世代についてさまざまな考察をおこなっていきましょう。

少子高齢化による豊富なターゲット、さらに世代別に見れば裕福な層が多いとされるシニアですが、マーケティングそのものがうまく機能している事例はあまりありません。
理由のひとつは、ターゲット像を「見誤っているため」と考えられます。

データをもちいて、具体的に紐解いていきましょう。

シニア世代のインターネット利用の認識が誤っている

シニア世代がインターネットを利用しているか。

これについては、総務省の令和2年通信利用動向調査が参考になります。

日本では極めて重要、シニアマーケティングについて-1

平成28年から令和2年までの、年代別のインターネット利用割合の推移です。令和元年は調査票の設計が一部異なっていたということで、例外的な値になっているようです。

最新の令和2年のインターネット利用について、60代では82.7%、70代では59.6%です。100%に近い10代から50代には及ばないものの、60代ではそれほど大きな差ともいえません。80歳以上はさすがに25.6%になっていますが、60代までは世代を意識する必要はあまりなし、70代でもインターネットはそれなりに影響力があるといえそうです。

推移からもうひとつわかるのは、60代70代のシニア世代の伸びの大きさです。

令和元年は例外とするとして、平成30年から令和2年の伸びは10%前後あります。10代から50代まででこれだけ大きな伸びを見せている年代はなく、シニア世代のネット利用は急拡大していることがわかります。

日本では極めて重要、シニアマーケティングについて-2

年代と性別の利用割合を見ると、シニア世代では男性の利用率の方が高い傾向を示しています。これは仕事などが影響しているのではないか、という考察がされることがあります。

仕事をしていることがネット利用を促進させている、という仮説が正だとすると、BtoBマーケティングにおいては、いっそうインターネットに慣れたシニア世代が対象になってくるかもしれません。

シニア世代もモバイルファースト

「インターネット利用の主デバイスはスマートフォンに移ったが、シニア世代はパソコンで利用している」。

そういった認識をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

日本では極めて重要、シニアマーケティングについて-3

実際には60代、70代でもインターネット端末としてはスマホがパソコンを上回ります
特に60代で見ると、それより前の世代と同じく明らかな差がついています。

またシニア世代はタブレットを利用するはず、といった声が聞かれることもありますが、他の世代と同じく高い割合は示していません。私も街中で、年配の方が若い人にスマホでのインターネット操作を質問している場面を先日、目にしました。

単純な閲覧はまったく問題なく、「○○といったことがしたい」と尋ねて、教えられたらすぐにマスターしているようでした。シニア世代も、インターネットの利用の仕方は他の世代とそれほど変わらないようです。

※この章で引用した調査データは、下記に掲載されています。
令和2年通信利用動向調査の結果(総務省)

シニア世代を定義する

前章でシニア世代のインターネット利用が、他の世代とそれほど変わらないというのが認識いただけたでしょう。また「60代」「70代」「80歳以上」といった区分けで書いてきましたが、非常に幅がある年代を対象にしている、と感じた方も多いのではないでしょうか。

実はシニア世代に、明確な定義はありません。

医療分野での分け方、また世界的にもWHOが65歳以上と定義しているのでこれが使われることがありますが、マーケティング分野だと60歳以上をシニアとして捉えることが多いようです。ただしこれはおそらく、前章の設問のように10代刻みで調査結果を出すことが目立つ、あるいは定年退職で多い年齢、といった影響が大きそうです。

ところが前章で見てきたように、60代と70代では傾向は似ていても、ネットやスマホ利用のボリュームは大きく異なります。80代以上になると傾向そのものも違ってきます。感覚的にも、60代と70代は違いが大きそう、と想像がつくでしょう。それに同じ60代であっても、60歳と69歳ではかなり差があるはずです。

また60歳以上を昔ながらのイメージで捉えているのも、良くないようです。還暦のお祝いについて調べていた際、「現在の60歳は元気で働いている人も多いので、年齢を感じさせるお祝いの言葉は気分を害するケースがあるため、控えるようにしましょう」といったアドバイスに出会いました。

周囲を見渡しても、還暦でも元気な人が多いのは確かです。また60歳で定年になっても、再雇用などで変わらず働き続けるケースも増えています。定年そのものが引き上げられているケースもあり、昔の60歳のイメージとは大きく違っていることに気づかされます。

このようにシニア世代として年齢の高い層をひとくくりにするのは、非常に雑な分け方といえます。

シニアマーケティングに役立つ情報を数多く発信してくれている、株式会社日本SPセンターが運営しているシニアマーケティング研究室では、こうした状況を踏まえシニア市場を四つに分けています。

  • ディフェンシブシニア
  • アクティブシニア
  • ケアシニア
  • ギャップシニア

それぞれのシニアの意味やポジショニングについては、シニアマーケティング研究室に掲載されている記事をご覧いただければと思います。シニア年代がより実態を伴って見えてくるでしょう。

シニアって誰?(シニアマーケティング研究室)

60代からではなく、それより前の世代をプレシニア世代と定義してマーケティングをおこなうこともあります。50代をこう呼ぶことが多いですが、40代後半を含めるケースもあります。

有効なシニアマーケティング

最後に、デジタルマーケティングにおけるシニア層への対応を二つ記しておきたいと思います。

1番目は、「ペルソナを作ることの重要性」です。

これはシニアマーケティングに限らず必要なことですが、前章で見てきたように年代の幅が広く、その中で変化が大きいシニア層というのを踏まえて、しっかりとしたペルソナを作っていく必要があります。もちろん年齢や性別といった基本的なデモグラフィックだけでは、質の高いペルソナとはなりません。

実際の調査が多くできればベストですが、時間や予算の制約もありなかなか難しい面もあるでしょう。シニアマーケティング研究室が提示するシニア市場の分類などを捉えておくと、ペルソナづくりの一助になるはずです。

2番目に、具体的なデジタルマーケティングの手法についてあげておきましょう。「動画の活用」です。

一般的にインターネット動画は若い世代で多く見られている、とされています。ボリュームや人口の中に占める割合といった面でそれは正解ですが、シニア世代が動画を見ていないわけではありません。むしろ「テキストを読まなくていいから、動画の方が見やすい」といった好意的な声も聞かれます。

考えてみれば従来から、シニア世代はテレビを多く視聴するとされています。インターネット動画はデバイスがスマホ(パソコン)へ、視聴コンテンツの提供がテレビ局から各Webサイトの提供者、あるいはYouTubeやSNSなどに動画をアップしている人たちに変わっただけです。

この記事で見てきたようにシニア世代のインターネット利用率が高ければ、よりネット動画が多く見られるようになるというのも必然でしょう。

現実問題として画面でテキストを読むより、動画を見る方が目への負担がなく楽という声もあります。なお動画の有効性はWebページのコンテンツ動画だけでなく、動画広告にもあてはまります。

最後にこれらに関連した実例ですが、あるYouTuberさんが街歩きをしている動画を撮っていた時のこと。

街中で出会ったシニア世代の女性に「何をしているんですか」と尋ねられ、「YouTubeの撮影です」と答えると、その女性はスマホをさっと取り出し、Siriに向かってそのチャンネル名を伝え、探し始めました。ネット利用も動画の視聴も、ふだんの生活でスマホを使ってごく当たり前におこなっていることがよくわかるシーンでした。

こうしたシニアの実像をしっかりと捉え、役に立つコンテンツを提供していくというのが、デジタルにおけるシニアマーケティングの成功ポイントになりそうです。

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