BtoBにおけるカスタマージャーニーマップの作り方9ステップを解説

 2022.05.09  LeadPlus

顧客の行動や思考・感情を理解することはマーケティング施策を立案する際に欠かせないものです。カスタマージャーニーマップは、顧客に対して自社がとるべき対応や課題を把握するのに役立ちます。本記事では、カスタマージャーニーマップの必要性と活用するメリット、具体的な作成の手順について解説します。

カスタマージャーニーマップの作り方は?手順やポイントをわかりやすく解説

カスタマージャーニーマップとは?

カスタマージャーニーマップとは、消費者が自社の商品やサービスを認知し、購入にいたるまでの道筋を可視化したものです。消費者は複数のプロセスを通過してから購入を決定しています。プロセスごとで異なる消費者の行動や思考を理解することで、消費者が何を求めているのか、自社がどのようなアクションを取るべきかが把握しやすくなります。

また、カスタマージャーニーマップは、自社の成果向上を妨げている要因を見出すのにも有用です。マップの作成により得られた消費者の情報をうまく活用すれば、これまで気づけなかったボトルネックを発見できたり、新たなアイデアを創出できたりする可能性も高まるでしょう。

カスタマージャーニーマップを導入する目的

冒頭でもお伝えしたカスタマーマップの意味の通り、ユーザーをより深く理解するためにペルソナ設定などでは足りない要素を補完してくれるツールとなります。そのため、顧客の行動分析をもとに感情・思考・不満などを細かく把握できるので、具体的な課題とその解決策の発見に繋がります。

また特にBtoBの場合、購買担当者と決裁者は別であるケースが多く、意思決定のプロセスも複雑化かつ長期化する傾向があります。より精度の高いマーケティング施策を立案するには、カスタマージャーニーマップを使って正しく情報を整理する必要があります。

企業にとっての理想像

企業によって理想的なビジネスの流れは異なるものです。ただし、実際のビジネスがいつも理想通りにいくとは限りません。たとえば、自社サイトに訪れた顧客が資料をダウンロードし、獲得したリードに後日アプローチを実行して、クロージングにいたるといったプロセスが自社にとっての理想だと仮定します。

理想通りにビジネスが進めば問題は生じませんが、顧客は企業の想像通りに行動しないのが現実です。資料のダウンロード数が少ないなどの課題が発見されれば、何かしらの改善策を講じなくてはなりません。顧客の視点で行動を捉えて作成したマップを自社の理想と照らし合わせれば、どこにギャップが生じているかが明確に把握できます。また、可視化した情報の共有は、メンバー間で認識の統一を図るのにも有効です。

顧客の実際の行動

一方、実際の顧客行動に基づいたカスタマージャーニーは、商品やサービスの認知から購入にいたるまでどのようなアクションを起こしているのか、ログデータなどを用いて情報を抽出していくのが一般的です。自社サイトを訪問した顧客が、資料をダウンロードせずにどのページを閲覧しているのか、セミナーに参加した顧客がその後どのように行動しているのかをデータに基づいて可視化します。

企業が理想とするカスタマージャーニーと、顧客の実際の行動が大きくかけ離れるケースは少なくありません。実際の顧客行動を取り入れて、なぜそのような行動をとったのかを想像しなければ、カスタマージャーニーマップの有効性は薄れてしまいます。理想と現実を可視化して照らし合わせることにより、課題を明確に見出せれば、意義ある改善策が講じられるはずです。

カスタマージャーニーマップが重要視される理由

カスタマージャーニーマップの重要視される理由は、以下の2つが背景にあります。

  • 購入プロセスの多様化
  • 分析ツールの充実

購入プロセスの多様化

カスタマージャーニーマップが求められるようになった背景のひとつに、インターネット環境の拡大が挙げられます。インターネットの普及により、現代では誰もが商品やサービスに関する情報との接点を簡単に持てるようになっています。それ以前は、テレビCMや雑誌広告などを見た消費者が店舗へ来店し、購入するという流れが一般的でした。

これまでは行動パターンが限定的であったのに対し、現代ではインターネットで情報を集めたのちに他社の商品と比較したり、店舗で実際の商品をチェックしたのちにECサイトで購入したりと、購入プロセスは多様化・複雑化してきています。このような時代の変化により、従来のマーケティング手法のみでは顧客のアクションを捉えるのが困難になり、再びカスタマージャーニーマップの重要性が増してきたものと考えられます。

分析ツールの充実

現在では、ユーザー像の分析機能を備えた「Googleアナリティクス」や、サイト上におけるユーザーの行動をグラフで示す「ヒートマップ分析ツール」など、分析に役立つさまざまなツールが登場し、精度の高いカスタマージャーニーマップが作成できるようになりました。分析ツールの充実により、企業側の想定が本当かどうかの裏付け調査も行いやすくなり、具体的な改善策を見つけやすくなっています。

新商品の開発や既存商品の改善を提案する際、定量的なデータがあれば経営層に納得してもらいやすいだけでなく、顧客満足度の向上も十分に見込めるでしょう。このような環境の変化そのものも、カスタマージャーニーマップが注目を集める理由のひとつと考えられています。

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これまでも、ユーザー体験はさまざまな分野で重視されてきましたが、その主軸は見た目や使いやすさであるケースが大半でした。企業がどれだけユーザーの観点を意識してより良いものを提供しようと考えても、実際に正解を知っているのはユーザーです。このような考えが広まった現在では、多くの企業においてカスタマージャーニーマップの必要性が高まっているのです。

カスタマージャーニーマップを作成するメリット

カスタマージャーニーマップを活用すれば、ユーザーが自社の商品やサービスに抱くマイナス要因を明確化できます。ユーザーを深く理解して適切なタイミングで施策を実行すれば、顧客満足度の向上も十分に見込めるのです。

具体的には以下の4つがメリットとしてあります。

  1. 顧客目線のマーケティング施策を打ち出せる
  2. 顧客との接点を発見できる
  3. 社内で共通認識を持てる
  4. 課題の優先度を明確にできる

メリット-2

1. 顧客目線のマーケティング施策を打ち出せる

マップの作成は、日ごろから顧客を理解する意識の育成にもつながります。ユーザー目線を徹底したカスタマージャーニーマップが作成できれば、成果に結びつきやすい施策が考案できるでしょう。ユーザーを深く理解するためには、さまざまなリサーチやアンケートを実施するなどして必要な知見を蓄積していく必要があります。

売り手の願望で顧客の導線を設計するのではなく、あくまで顧客がどのような行動を起こすのか、感情がどう変化するのかを把握しなければなりません。このとき、ユーザーの不満を解消して満足度の向上を図るだけでなく、どうすればより良いユーザー体験が提供できるのかといった点に注目するのがポイントです。完成したマップからは、ユーザーの期待に応えるための多くのヒントが得られます。

2. 顧客との接点を発見できる

顧客との接点がどこで創出されているかを把握できるのもメリットです。自社が設けている接点ごとに顧客が起こす具体的なアクション、感情の変化を捉えていくことは、市場変化の激しい現代のマーケティングに欠かせません。自社サイトだけでなく、SNSやユーザーの口コミなど数多くある媒体の中で、もっとも強化すべき接点が明確になります。

また、ユーザーがどの経路をたどって自社サイトへ来訪したかも把握できるため、新たな流入経路の発見につながる可能性もあります。さらに、どのデバイスからアクセスしているのかが分かるようになれば、今後実行すべき具体的な施策が見えてくるはずです。

3. 社内で共通認識を持てる

行動や考えといった情報の可視化は、プロジェクトメンバー全員でユーザーの認識を統一する効果もあります。部門によって顧客の認識が異なっていた場合、一貫性のないアプローチがユーザーに不信感を与えてしまい、顧客流出を引き起こすおそれもあるのです。

精度の高いマーケティング戦略を立案するには、異なる部門間や従業員同士が同じ認識のもと仕事に取り組む必要があります。顧客情報を可視化・共有することで、社内の連携を強化する効果が見込めるのも、カスタマージャーニーマップの大きなメリットです。

4. 課題の優先度を明確にできる

企業が効率よく成果向上を目指すために、マーケターは、より効果のある施策から優先して実行に移さなくてはなりません。カスタマージャーニーマップを用いれば、各フェーズで明確にした課題の重要性・緊急性から優先順位を判断することも可能です。顧客ニーズの理解や商品の開発力、現状問題の把握など、企業がマーケティングに抱える課題は数多く存在します。

重要度の高い課題にリソースを投入したほうが、早い段階で効果につながるはずです。なお、カスタマージャーニーマップは、一度作成して終わりではなくPDCAサイクルを回して継続的に改善を行う必要があります。マップの内容がブラッシュアップされれば、顧客満足度の向上につながり、リピート率がアップする可能性も高くなります。

カスタマージャーニーマップを作成するべきタイミング

実際のデータと、顧客の感情変化を想定したストーリーで構築していくカスタマージャーニーマップは、設定したゴールに必ず結びつく内容でなくてはなりません。そのため、マップを作成するタイミングは、新商品の戦略を立案する際やサービスの規模が変化したときが一般的とされています。具体的には以下の3つがタイミングがあります。

タイミング

1. 戦略を変更したタイミング

新たな商品やサービスの展開や未知の市場へ進出する場合には、新たな戦略が必要です。マップを作成せずに戦略に踏み切ってしまえば、あとでターゲット層の行動や考えが企業の想定とずれていた際、修正にかかる負担は大きくなります。

戦略を変更する際に、これまで蓄積したデータがあまり役に立たないケースも珍しくありません。新たな視点から、顧客の各ステージにおける行動や感情の変化、接点などを把握し直す必要があります。

2. 市場が変化したタイミング

時代の変化とともに市場を取り巻く環境も変化しています。強力な競合の誕生や革新的な技術の登場など、市場が変化すれば顧客にとっての“良い商品”もこれまでとは違ってくるでしょう。また、これまで競合の存在しないブルー・オーシャン戦略がうまくいっていたとしても、競合が誕生してレッド・オーシャンに転じれば価格競争の激化が想定されます。

従来の施策では成果に結びつかなくなった際には、カスタマージャーニーマップの見直しが必要です。なお、商品やサービスを拡大する際も顧客ニーズの変化が想定されるため、何かしら市場に変化が生じた場合にはマップの内容を見直すようにしてください。

3. ペルソナを設定したタイミング

カスタマージャーニーマップは、商品やサービスのユーザー像を表すペルソナを設定してから作成します。ペルソナの設定により、行動や感情の動き方は変わるため、カスタマージャーニーマップを作成するのに適したタイミングです。従来とは異なるタイプのユーザーをターゲットとする際など、ペルソナを設定したらマップを作成するようにしましょう。

カスタマージャーニーマップを作成する前に押さえるべき2つのポイント

カスタマージャーニーマップを作る前に、下準備として2つのやるべきことがあります。

  1. カスタマージャーニーマップのゴールの設定
  2. ペルソナの設定

上記2つを詳しく解説していきます。

1. カスタマージャーニーマップのゴールの設定

まずは、何のためのカスタマージャーニーマップなのかを確認しましょう。

カスタマージャーニーマップに限らず、特に目的なくツールやフレームワークを用いるのはナンセンスです。 効果的にフレームワークを利用するためには、目的とゴールをはっきりとさせておかなければなりません。

今回は、アパレルブランドを例として、目的とゴールを以下のように設定したとします。

  • 目的

新しく発売する20代男性ビジネスマン向けスーツの販促のため。 デザイン性が高く、素材にもこだわっている。他のビジネススーツに比べ、高価なものを売り出したい。

  • ゴール

スーツ購入における購買行動を可視化し、課題箇所を特定・改善案を出すこと。

2. ペルソナの設定

目的とゴールを確認したら、次は商品・サービスのユーザー像を具体的にイメージしてみましょう。

ここで有用なのが、ペルソナという概念です。 ペルソナは、「30代男性」のように曖昧なターゲットではなく、実際にその人物が存在しているかのように、職業や年収、興味のあることや価値観まで深く情報を設定するものです。

今回商品の例として用意したニュースサイト購読者のペルソナは、以下のようになります。

Untitled (7)

上昇志向であり、起業の意思且つビジネス雑誌「PRESIDENT」も読んでいることから、仕事に役立つ情報収集にはコストをかけるタイプとイメージができますよね。

ここまで具体的にユーザー像を設定することで、商品購入までのプロセスでどのような行動をし、どのように考えるのかが具体的に思い描きやすくなります。

BtoBにおけるカスタマージャーニーマップの作り方

カスタマージャーニーマップには、具体性が欠かせません。誰についてのカスタマージャーニーマップを作成するのかが曖昧にならないためにも、ひとつのマップにひとつの視点を用いるようにすれば、誰に対してこのストーリーを提供するのかが明確になります。具体的なステップは以下の9ステップがあります。

  1. ペルソナの設定
  2. 関係者から購買担当者への想定質問の作成
  3. カスタマージャーニーマップの作成
  4. カスタマージャーニーマップのゴールと目的の設定
  5. 縦軸を設定する
  6. 横軸を設定する
  7. 各フェーズにおける行動とタッチポイントを整理する
  8. 各フェーズにおける思考を整理する
  9. 各フェーズにおけるマーケティング施策を考える

それぞれどのように設定すればよいかを具体例を用いて解説します。

ステップ-1

Step1. ペルソナの設定

BtoBでは、企業をターゲットとするため、企業ペルソナを設定します。取り引き先の中から売上の上位20%程度を占める企業をリストアップしてユーザー像をイメージすると、スムーズにでっていできるでしょう。企業の場合、商品やサービスの購入は稟議で決定するケースが多いため、購買の意思決定に関わる関係者や購買担当者の個人ペルソナも設定する必要があります。

Step2. 関係者から購買担当者への想定質問の作成

ユーザーが企業の場合、購買担当者の購入意思が固くても、決裁権を有する上司や経営層が反対すれば購入にはいたりません。購買担当者が購入の意思を示したとき、上司や取締役から「本当に必要なのか」「その価格は妥当なのか」など、さまざまな質問を受ける可能性があります。

購買担当者がこれらの質問にきちんと答えられない場合、購入にいたる可能性は低くなると想定されます。逆に考えれば、質問に対する答えを用意しておけば、購入にいたる可能性は高まるはずです。関係者から購買担当者に対する質問を想定し、あらかじめ回答に役立つ情報を用意しておくことが大切です。

Step3. カスタマージャーニーマップの作成

上述したように、BtoBにおけるカスタマージャーニーマップを作成する際は「購買担当者の情報ニーズ」と「関係者からの質問に答えるための情報ニーズ」に分けて考える必要があります。顧客ニーズを理解したうえで自社だけが提供できる強みを把握し、上司や経営層の意見も取り入れながら作成するのが理想的です。

Step4. カスタマージャーニーマップのゴールと目的の設定

どのような状態になれば目標達成となるのかというゴール設定と、何のためにマップを作成するのかといった目的を明確化します。明確にゴールが定まったシンプルなマップが完成すれば、改善に向けて迅速に対応できるようになります。余計な情報が盛り込まれないように、記載する情報を精査しながら作成を進めるようにしましょう。

Step5. 縦軸を設定する

カスタマージャーニーマップは、縦軸と横軸の表形式で作成します。縦軸の項目には、ユーザーの行動や感情を設定します。縦軸の要素は「行動」「タッチポイント」「思考」「感情」「課題」といった項目で構成されるのが一般的ですが、自社の環境や最終的な目標にあわせて臨機応変に対応していくことが大切です。

「行動」は、ユーザーが実際に起こすアクションを指します。自社商品を認知した段階であれば、インターネット検索やSNSなどがこれに該当します。プロセスごとに自社とユーザー接点を示す項目が「タッチポイント」です。SNSやテレビCMなどがこれに該当します。
「思考」は、ユーザーがアクションを起こす際の考えです。『予算内に収まるか』『自社の悩みを解決できるサービスなのか』などがこれに該当します。
実際に行動したユーザーが何を感じたかは「感情」にあてはまります。
「課題」はユーザーが行動した結果『資料のダウンロードページが見つけづらい』『電話がつながりにくい』など不満を抱く部分です。

Step6. 横軸を設定する

横軸には、ユーザーが商品やサービスを認知し、購入や契約にいたるまでのプロセスを時系列で設定していきます。一般的には「認知」「情報収集・比較検討」「体験・購入」「購入後」などが設定されますが、自社の目標や扱う商品によって項目は変わってきます。

「認知」とは、ユーザーが商品やサービスを知った状態です。商品やサービスについて無関心であった状態から、インターネット検索やSNSなどを通じて、自社の商品やサービスを知ったときの状態が該当します。
「情報収集・比較検討」は、商品やサービスの魅力を知るために情報収集を行い、他社の商品と比較しながら購入を検討する段階です。
「体験・購入」は、実際に商品やサービスを体験・購入したときの状態です。
「購入後」は文字通り顧客が商品を購入した後を指します。

Step7. 各フェーズにおける行動とタッチポイントを整理する

設定したペルソナの情報に基づいて、プロセスごとにどのようなアクションを起こすのか整理します。このとき、実際にペルソナが起こすと想定される行動パターンを可能な限り挙げ、ユーザー像を詳細に設定していくことが重要です。たとえば、認知のフェーズでは『Instagram広告や情報サイトで商品を知り、自社に適しているかどうか知りたくなった』というように、顧客目線で具体的なストーリーを設定するのがポイントです。

Step8. 各フェーズにおける思考を整理する

顧客理解を深めるためには、多角的な視点から思考を整理していく必要があります。ポジティブな内容だけでなく、ネガティブな思考も想定して抽出するようにしましょう。情報収集・比較検討のフェーズであれば『自社の悩みを解決できそう』『予算に収まる製品かどうか』などが考えられます。なお、思考と感情の移り変わりをプロセスごとに分かりやすく把握するために、折れ線グラフで記述する方式もあります。

Step9. 各フェーズにおけるマーケティング施策を考える

それぞれのフェーズで考えられる課題を抽出し、解決策を考えていくステップです。たとえば、購入後における顧客満足度の低下を防ぐには、継続的なサポートを提供するなどの施策が挙げられます。施策の実行により、課題解決に近づいているかどうかを客観的に判断するには、KPIを設定しておく必要があります。なお、ひとつのプロセスに複数の課題が発生するケースも多々あるため注意が必要です。

カスタマージャーニーマップ作成時の注意点

最初から精度の高いカスタマージャーニーマップを作成するのは困難です。しかし、注意点をよく理解したうえで改善を重ねていけば、マップがブラッシュアップされ、より効果的なマーケティング施策へとつなげていけるでしょう。以下の4つの注意点に気を付けながら作成していきましょう。

1. 他部署と連携し複数人で作成する

企業の場合、ひとつのプロジェクトに対して社内のさまざまな部門が関わってきます。ひとりでカスタマージャーニーマップを作成しようとすると、抜け漏れが生じて成果に結びつかない可能性もあります。カスタマージャーニーマップは、プロジェクトに参加するすべての部門が連携して作り上げることが大切です。認識の共通化や目指すべき方向を統一するために、関係者全員で作成に取り組む必要があります。

2. 多角的な視点で作成する

顧客を深く理解するために必要な要素は、データがすべてではありません。顧客の声を直接聞く機会を設けるなど、多角的な視点からマップを構築していくことが大切です。また、結論を前提としてマップを作成すると、想定外の顧客行動や課題に対して柔軟に対応できなくなります。企業側の理想や主観は排除し、さまざまな可能性を検討することが求められます。

3. 定期的に改善する

実際のユーザー行動とマップの内容に相違が見つかれば、改善が必要です。ギャップを解消しないままマップを活用しても、成果につながる課題は抽出できません。マップで想定した内容と現実のユーザー行動が近いほど、リアリティのある改善策が見つかります。購買行動が多様化する現代では、定期的な見直しと改善の継続により、時代の流れに合うマーケティング戦略を実行していかなければなりません。

4. 時間をかけすぎない

カスタマージャーニーマップの目的は、確実性の高いマーケティング施策を実行して企業の成果に結びつけることです。これが正解というカスタマージャーニーマップは存在しないため、初期の作成に時間をかけるよりも、運用しながらブラッシュアップしていく気持ちが大切です。

カスタマージャーニーマップの作成ツール【3選】

カスタマージャーニーマップを作成する際に活用するツールを、3つご紹介します。

  • MIL
  • Lucidchat
  • Markethig Cloud

ユーザーデータを抽出できるツールやマッピングに特化したツールなど機能が異なるため、自社に適したツール選ぶの参考にしてください。

MIL

MIL

サービスサイト

MILとは、ユーザーの視聴動向を分析することもでき、素早く動画のPDCAサイクルを回すことができるツールです。

従来の動画ツールでは、動画からのサイトへの訪問回数やセッション数、離脱率などの指標からユーザーの行動や思考を予想して施策選定をする必要がありました。また、ユーザーそれぞれにフォーカスしたものではなかったため、最適な改善方法かどうかも明確になっていませんでした。

しかし、MILはユーザー行動をタップデータにより可視化するため、ユーザーのニーズに合った対応ができるのです。MILで情報収集した詳細な顧客情報からペルソナ設定に活かすのも効果的で、詳細なデータにより実際の顧客行動に沿ったカスタマージャーニーマップの作成が可能になります。

Lucidchat

Lucidchat

サービスサイト

Lucidchartはクラウドタイプのフローチャート作成ツールです。

無料版から始められるため、カスタマージャーニーマップを試しに作成したい方にもおすすめできます。Lucidchartでは、カスタマージャーニーマップのテンプレートが複数用意されており、自社に合わせたカスタマイズも可能です。

Lucidchart  カスタマージャーニーマップ

カスタマージャーニーマップを作成する際に必要なパーツも揃っており、直感的な操作でカスタマイズできるので初心者でも簡単に操作できます。

作成後はGoogleドライブやOffice 365などの外部ツールとも連携でき、PDF・JPEG・PNGなどのファイルで出力可能です。ユーザーデータを抽出することはできないですが、マッピングする際に有効なツールといえます。

Marketing Cloud

Marketing Cloud

サービスサイト

Marketing Cloudは、セールスフォースが提供しているマーケティングオートメーションツールです。マーケティングオートメーションとは、マーケティング活動や営業活動を自動化して効率化するためのツールのことです。

Marketing Cloud内のサービスに「Journey Builder」というサービスがあり、詳細なカスタマージャーニーマップを作成できます。収集したユーザー行動の履歴から、分岐したユーザーの行動パターンに応じて、アプローチ方法を分けて設定可能です。

また、行動したユーザーに実際にプッシュ通知を送ることもでき、メッセージの確認と変更も可能です。

カスタマージャーニーマップのマッピングだけでなく、マッピング後の細かな施策まで自動的にアプリーチしてくれるのがMarketing Cloudの強みでしょう。

■MA(マーケティングオートメーション)についてはこちら

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カスタマージャーニーマップの成功・活用事例

エミレーツ航空

公式サイト

フォレスター社がケーススタディとして公表している、エミレーツ航空の事例からは、多様な言語や文化をバックグラウンドにもつ従業員を抱えるグローバル企業においても、カスタマージャーニーマップが顧客体験の向上に効果的に寄与することがわかります。エミレーツ航空は競争の厳しい市場のなかで高いサービス品質を誇るブランドとして急成長している航空会社です。同社では、企業の成長に伴う急激な従業員の増加と、顧客体験の維持という課題に対し、カスタマージャーニーマップを活用することで、顧客体験の向上と従業員教育に取り組んでいます。企業の成長とともに、顧客体験の質の低下に直面したことにより、同社ではその向上を目的としたチームを組成し、取り組みを開始しました。同チームでは、現状、想定されるカスタマージャーニーマップを示すことで、顧客体験に関する課題を示すとともに、顧客中心の視点を内部化するための従業員向けの研修を実施ししています。ネガティブな顧客体験を生み出す根源的な原因と解決策を提示することで、顧客体験の向上を図っていったようです。

経営層からの支援を受けていたものの、当初は非協力的な部門もあったようですが、協力的な部門とのプロジェクトを通じて成果を積み重ねるなかで、徐々に協力者を増やしていったとのこと。また、会社全体を通じ、多言語の全従業員がカスタマージャーニーについて一貫した認識をもてるよう、研修には翻訳なしでも意図が共有できるような教材を作成し、活用しているようです。カスタマージャーニーマップの活用は、同社に「従業員間で顧客体験に関する認識の共有」や「顧客の認識に基づく品質基準の確立」という成果をもたらしています。同社はこのような教材の作成以降もカスタマージャーニーマップから得られた教訓を活用した改善への取り組みを続けており、現在に至るまで優れた顧客体験を提供する航空会社としての地位を維持しています。カスタマージャーニーマップは、USA.govの事例が示す作成段階における効果のみならず、その後の従業員に向けの研修教材としても活用できることがわかります。

参照:カスタマージャーニーマップをブランド維持に活用するエミレーツ航空

参考になる本のご紹介【3選】

実際にカスタマージャーニーマップの作成には、成功している他社や他業界がどのようなマップを作っているのかといった事例を参考にしたくなるのではないでしょうか。しかし顧客の行動や思考は、対象となる商品やサービスにより異なりますし、同様の商品・サービスを取り扱う、競合他社と自社とでは、主要な顧客層が異なる場合も多くあります。そのため、確実に成果につながるカスタマージャーニーマップを描く上では、成功している他社事例でも、応用できる範囲には限界があります。カスタマージャーニーマップの作成にあたっては、顧客視点や顧客の体験の重要性について理解するとともに、具体的なペルソナに落とし込んでいくための手法についても、書籍を通じて事前に身につけておくことが肝要といえるでしょう。
ここでは、カスタマージャーニーマップ作成に際し、事前に知識を得る上で、参考になる書籍を3冊ご紹介します。

1. はじめてのカスタマージャーニーマップワークショップ

Untitled (8)

参照:Amazon

カスタマージャーニーマップの作り方を、8つのステップに分けて説明しています。B2BとB2Cでの違いや、ワークショップを成功させるファシリテーションなど実践的な内容で参考になります。JCBやビズリーチ、トレタにユーザベースなど有名企業の事例も紹介されています。

2. 実践ペルソナ・マーケティング 製品・サービス開発の新しい常識

Untitled (9)

参照:Amazon

本来のペルソナの作成ステップでは、大まかなターゲットを設定し、データを収集し、情報を整理してペルソナ像にまとめます。書籍「実践ペルソナ・マーケティング」は後者を取り扱っているので、ペルソナについて深く知りたい方に向いています。

例えば、本書で取り扱っているアサヒビールの発泡酒「アサヒ クールドラフト」の事例では定性的な情報を集めるため、最終的にインタビューまで行っていて簡易ペルソナとは別物です。

3. コトラーのマーケティング3.0

Untitled (10)

参照:Amazon

経営学者のフィリップ・コトラーの著書。2010年の本ですが、プロダクト志向から消費者志向、さらにソーシャルメディア志向というマーケティング手法の変遷を理解するのに役立ちます。

コトラーはマーケティングの世代として

・モノを売り込むだけの「製品中心」が「1.0」
・顧客満足をめざす「消費者志向」が「2.0」
・価値主導の「3.0」

を提唱しています。

続編の「コトラーのマーケティング4.0」も出ていますが、ベストセラーとなった本書で企業目線から顧客目線への変遷について学びましょう。

オウンドメディアにおけるカスタマージャーニーマップ

オウンドメディアを運用する際は、最初に商品やサービスのカスタマージャーニーマップを作成します。先に商品やサービスのマップを作成すれば、オウンドメディアで展開すべきコンテンツも把握しやすくなります。

必要なコンテンツと不要なコンテンツを判断するときにも、カスタマージャーニーマップの情報は有用です。ターゲットとするユーザーにとって、有益なコンテンツが何かを理解できれば、コンテンツ制作の効率化も実現するはずです。

カスタマージャーニーマップの基礎知識がここに集結!

上記、自社に適したカスタマージャーニーマップを作成するためには、色々な要素が必要ですが、基礎知識を飛ばしては適したカスタマージャーニーマップを作成することは難しいでしょう。

そこで、下記にてカスタマージャーニー関連の記事を2記事ご紹介します。 知識を蓄え、実践していくことで自社の売上最大化を図っていきましょう。

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まとめ

カスタマージャーニーマップの精度を高めるには、多角的な顧客の視点が大切です。ペルソナの設定に基づき、ユーザーの行動と思考・感情を具体的にイメージすれば、効果の高いマーケティング施策が打ち出せるようになります。自社に適したテンプレートやツールを活用して意義のあるマップを完成させましょう。

カスタマージャーニークイック・リファレンス

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