クラウドデータ連携システム一覧と比較

「クラウド」という言葉はもはや聞かない日はないというくらい、IT社会に浸透したサービスです。このクラウドは大まかにIaaS・PaaS・SaaSと分類されています。CPUやストレージなどのリソースを自由に増減できるIaaS。その上にOSやミドルウェアといった環境を整えたPaaS。さらにその上位概念として、システムをサービスとして提供するSaaS。

最近では仮想デスクトップ環境を提供するDaaSや、データベースを提供するDBaaSといった分類も登場しています。 

こうしたクラウドの普及によって非常に便利なIT社会が形成されつつあるわけですが、当然問題もあります。企業にとって大きな問題になりがちなのがクラウド間やクラウドとオンプレミスのデータ連携です。 

今回はこのデータ連携についてシステムとともにご紹介します。

 

クラウドデータの連携って?

「プライベートクラウド」という独自のクラウド環境を構築している場合は、ほとんどのオンプレミスの延長のようなものなのでデータ連携もさほど難しくありません。しかし「パブリッククラウド」と呼ばれる共有型のクラウドの場合、データ連携の難易度は一気に高まります。

パブリッククラウドの代表としてはMicrosoft AzureやAWS(Amazon Web Service)などのIaaSおよびPaaS、HubspotやSalesforce、NetSuite、BoxなどのSaaSがあります。これらのサービスはシステム運用をクラウドベンダーが行っており運用負担が軽減する反面、他のシステムとの連携がしずらいという難点があります。もちろんベンダーは、このことを認識しており連携するためのソリューションも提供しています 。

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クラウドデータを連携すると何が良い?

クラウドは基本的に独立したサービスなので各製品ごとに分析機能を備えていることが少なくありません。たとえばインバウンドマーケティング支援ツールのHubSpotにはアクセス解析機能が備わっていますし、グループウェアのMicrosoft Office 365の上位プランではデータ分析機能を備えています。なので「いっそデータ連携しなくもよいのでは?」と考える方も多いかもしれません。 

しかし、組織全体のデータの資産として一元管理し、それをビジネスに活用できる形に加工・分析・利用するためにはやはりクラウドデータの連携が欠かせないでしょう。ではクラウドデータを連携するとどんな良いことがあるのか?

クラウドデータ連携のメリットは多様ですが、最も大きなものは業務プロセスを一気通貫で合理化できる点でしょう。

このメリットについてHubspot Marketing HubとCRMの連携を例に挙げてみます。 

Hubspot Marketing Hubはインバウンドマーケティングを支援するためのツールなので、WEBサイトやSNS、イベントやセミナーでリード(見込み客)を引き込むための機能が備わっていたり、獲得したリード情報を適切に管理してそれをマーケティングへ活かすことができます。HubSpot単体でもマーケティングにおいてかなりの効果を発揮しますが、Hubspotで保有するデータはCRMなど他の業務システムに連携させれば大きな相乗効果を生み出すでしょう。 

たとえばHubspotのリード情報がCRMに渡されるようにすれば、マーケティング部門だけでなく営業部門や企画開発部門など組織全体がリード情報を確認しながらビジネスを推進できるでしょう。特に重要なマーケティング部門から営業部門へのリード情報受け渡しもスムーズに行えます。 

クラウド間やオンプレミスとのデータ連携をしなくとも、クラウドとはそれ単体で立派なサービスとして成り立っています。しかし、クラウドの効果を最大限引き出し、各クラウドやオンプレミスとの壁を意識しないシステム運用を実現するためにはやはりクラウドデータの連携が肝要でしょう。 

幸いHubSpotを利用するユーザーは、代表的なCRM、例えばSalesforceとの連携用のモジュールが用意されています。

しかし、そこは外資系の製品、国産CRMとの連携が弱かったりするわけです。APIを使ってゴリゴリと連携のためのプログラミングをするのも手ですが、それではコストや労力がかかってしまうことも事実です。

このような場合に登場するのがクラウドデータ連携システムということになるのです。

クラウドデータ連携システムを活用しよう

クラウドデータ連携システムとは文字通り、クラウド間やオンプレミスとの難しいデータ連携を管理するためのプラットフォームです。オンプレミス、プライベートクラウドおよびパブリッククラウド、時にはモバイルやIoTなどあらゆる環境やデバイスからのデータを一元管理してハブ的存在として活用できます。 

ちなみにこうしたプラットフォームをiPaaS(Integration Platform as a Service)と呼びます。iPaaSにはスムーズなデータ連携のためにデータ処理・暗号化などの機能が標準で備わっていて、iPaaSを経由することでデータを連携先に適したフォーマットに変換します。今後クラウドの普及が進むにつれさらに重要度を増していくサービスです。ここでは、そんなiPaaSの主要製品をご紹介します。

Mulesoft Anypoint Platform

Mulesoft Anypoint Platformは世界で最も勢いのあるiPaaSです。海外のクラウド紹介比較サイトであるG2 CROWDでは業界のリーダーに選出されています。データ統合からプロセスオートメーション、API公開に至るまでデータ連携環境の実現に必要な機能が統一されたプラットフォームです。

https://www.mulesoft.com/

Zapier

1,000種類を超えるアプリケーションとの連携を可能にするツールで弊社のお客様でもよく利用しています。こちらも非常に有名なもので、うまく利用すれば業務プロセスを簡単にワークフローとして定義できる優れたツールです。

https://zapier.com/

Warkato

21,000を超える企業で使われています。これを採用した企業のほとんどが1週間以内に連携を終わらせているというほど簡単に接続できます。Oracle の元Chief Strategy OfficerであるVijay Tella氏が2013年に作った会社で、彼の奥さんは日本人(どうでも良い話ですがVijayは前職の同僚なもので(笑))。

https://www.workato.com/

DataSpider Servista

株式会社アシストが提供するiPaaSです。国産という安心感があり、日本企業にとってはAnypoint Platformよりも導入の敷居は低くなっています。DataSpider Servistaは異なるシステムのデータやアプリケーションをノンプログラミング接続でき、操作もGUIベースで簡単に行えます。使いやすさを追求した製品なので、初めてiPaaSを導入する企業にとってもおすすめです。 

価格は最小構成で70万円~。DataSpider Servista Basic Packageを1ヵ月単位で利用する月間ライセンスも提供しています。

https://www.ashisuto.co.jp/product/theme/bi/cloud_on-premises.html 

Magic xpi Integration Platform

マジック・ソフトウェアジャパン株式会社が提供する国産iPaaSです。こちらもノンプログラミングでのデータ連携に対応しており、初めてiPaaSを導入する企業におすすめです。大量のデータを複数のサーバのメモリ上にデータを分散管理し、並列に処理する「インメモリーデータグリッド」を採用しており、サーバ障害やアプリケーション障害に対しても高度な信頼性を実現しています。 

https://www.magicsoftware.com/ja/magic-xpi-integration-platform 

クラウドデータ連携システムの選び方は?

最後にiPaaSの選定ポイントを少しご紹介します。iPaaSは多様な連携性が重視されることが多い製品です。しかし、必ずしも連携性が高いことが自社にとって適切なiPaaSとは限りません。大切なのは現状把握(アセスメント)を入念に行って、何と何を・どう繋げたいかを明確にすることです。そうすることで連携性ばかりに着目せず、自社にとって本当に必要なiPaaS選びができます。 

クラウド環境が急激に拡大してデータ連携に頭を抱えている企業も多いでしょう。iPaaSを導入して、統合的なデータ連携環境を手にしてください。

 

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