ABMツールおすすめ15選を徹底比較!失敗しない選び方と導入事例
この記事で分かること
- ABMツールの基礎知識とMA・SFA・CRMとの違い
- 3種類のタイプ分類と失敗しない5つの選定基準
- 15種類のツール比較と導入メリット・注意点
ABMツールとは?基礎知識とMAやSFAとの違い
ABMツールとは、自社にとって優先度の高い特定の企業(アカウント)を選定し、営業とマーケティングのリソースを集中させてアプローチするためのシステムです。従来の見込み客(リード)単体を追う手法とは異なり、企業単位でデータを統合・分析することで、効率的な新規開拓や既存顧客の深耕を実現します。
BtoB取引においては、1つの契約の意思決定に複数の部門や役職者が関与します。そのため、担当者個人の行動履歴だけを追跡しても、企業全体の購買意欲や決裁ルートを正確に把握することは困難です。ABMツールを導入すると、散在する顧客データと外部の企業属性データを自動で紐付け、狙うべきターゲット企業を客観的な指標で抽出できるようになります。
ABM(アカウントベースドマーケティング)の概要
ABM(アカウントベースドマーケティング)とは、自社に大きな利益をもたらす可能性が高い優良企業を事前に定義し、その企業群に対して最適な営業・マーケティング施策を展開する戦略的アプローチです。すべての見込み客に均等なリソースを割くのではなく、LTV(顧客生涯価値:1社が取引期間全体で自社にもたらす利益の総額)が高い企業に予算や人員を優先配分する点に特徴があります。
従来のリードベースドマーケティングでは、資料請求や名刺交換などで獲得した個人の連絡先(リード)を起点に育成を行っていました。しかし、この手法では自社のターゲット外である小規模企業の担当者や、決裁権を持たない人物への対応にも工数が割かれてしまいます。対してABMでは、まず自社の既存顧客の分析から「受注単価が高い」「解約率が低い」といった条件を満たす企業像を特定し、それに合致する未開拓企業をリストアップしてアプローチを開始します。
両者のアプローチ手順と目的の違いは、下表のとおりです。
| 比較項目 | ABM(アカウントベースドマーケティング) | リードベースドマーケティング |
|---|---|---|
| 管理・分析の単位 | 企業(アカウント)単位 | 個人(リード)単位 |
| アプローチの起点 | 自社が狙うべきターゲット企業の選定から開始 | 展示会やWeb広告などでのリード獲得から開始 |
| リソースの配分 | LTVが高い特定の優良企業群へ集中投下 | 獲得したすべての見込み客へ段階的に配分 |
| 主な目的 | 大口顧客の開拓・受注単価の向上・部門横断での深耕 | 商談数の最大化・幅広い顧客層への認知拡大 |
このように、ABMは「どの企業と取引すべきか」を最初に決めるため、営業部門とマーケティング部門が共通のターゲットリストを持って連携しやすくなります。
ABMツールの主な機能と役割
ABMツールの主な役割は、社内外に散在する顧客データを企業単位で統合(名寄せ)し、アプローチすべき優先ターゲットを自動で可視化することです。手作業では膨大な時間がかかるデータ整理や企業調査をシステムが代行し、精度の高いターゲティング基盤を構築します。
具体的な主要機能は、以下の4つです。
- データ統合・名寄せ機能:社内のSFAや名刺管理ツールなどに登録されたバラバラの担当者情報を、法人番号や企業データベースをもとに1つの「企業(アカウント)」へ統合し、表記揺れや重複を解消する機能です。
- 企業属性データの付与(エンリッチメント):統合された企業データに対し、外部データベースから売上高、従業員数、業種、最新のプレスリリース、採用情報などの属性データを自動で補完します。
- ターゲット抽出・スコアリング機能:自社の優良顧客と類似する傾向を持つ企業を機械学習や条件設定によって抽出し、成約確率や優先度に応じてランク付け(スコアリング)を行います。
- インテントデータ(購買意向)の分析:ターゲット企業がWeb上でどのようなキーワードを検索し、どの比較サイトを閲覧しているかといった企業単位の行動データを検知し、ニーズが高まっているタイミングを特定します。
これらの機能により、マーケティング担当者は勘や経験に頼ることなく、データに基づいた精緻なターゲットリストを作成し、インサイドセールスや営業部門へ引き渡すことができます。
ABMツールとMA・SFA・CRMの違いと連携方法
ABMツールとMA(マーケティングオートメーション)、SFA(営業支援システム)、CRM(顧客関係管理システム)は、管理するデータの「単位」と業務プロセスの「対象領域」が異なります。ABMツールはこれらの既存ツールを置き換えるものではなく、各ツールのデータを企業単位で束ねて連携させる司令塔として機能します。
各ツールの役割と管理対象の違いは、下表のとおりです。
| ツール種別 | 主な役割と対象領域 | 主な管理単位 | ABMツールとの連携方法 |
|---|---|---|---|
| ABMツール | ターゲット企業の選定・優先順位付け・企業データの統合 | 企業(アカウント) | 各ツールのデータを集約し、精査したターゲットリストを各ツールへ還元する |
| MA | 見込み客の獲得・育成・購買意欲の可視化 | 個人(リード) | ABMツールで特定したターゲット企業に所属するリードに対し、優先的にメール配信やWeb接客を実行する |
| SFA | 商談の進捗管理・営業活動の記録・受注予測 | 案件・商談 | ABMツールから付与された企業属性や組織図データを参照し、決裁ルートを意識した営業戦略を立案する |
| CRM | 既存顧客の契約情報・購入履歴・問い合わせ履歴の管理 | 顧客(企業・個人) | 既存優良顧客のデータをABMツールへ送り、類似する未開拓企業を抽出するための分析元データとして活用する |
たとえば、MA単体では「Webサイトを頻繁に閲覧している個人」は分かりますが、その人物が「自社の狙うべき大手企業の担当者か」までは外部データなしには判別できません。そこでABMツールとMAをAPI連携させると、アクセスしてきた企業の業種や規模を即座に判定し、ターゲット企業の担当者であった場合にのみインサイドセールスへ通知するといった高度な運用が可能になります。
また、SFAやCRMに蓄積された過去の受注・失注データをABMツールに取り込むことで、「どのような属性の企業が成約しやすいか」という勝ちパターンを分析し、次のターゲティング精度を継続的に引き上げることができます。
ABMツールのタイプ別分類
ABMツールは、主要な機能と活用目的に応じて「企業データベース・ターゲティング特化型」「インテントデータ・行動履歴分析型」「オールインワン・マーケティング連携型」の3種類に分類されます。自社の営業DXの進捗状況や、現在抱えているマーケティング・営業部門の課題に合わせて適切なタイプを選択することが重要です。
BtoB取引において成果を最大化させるためには、ターゲットの選定からアプローチの実行まで、どの工程をシステムで強化したいのかを明確にする必要があります。3つのタイプの特徴と適した企業の条件は下表のとおりです。
| タイプ分類 | 主な強み・特徴 | 導入が向いている企業 | 代表的なツール |
|---|---|---|---|
| 企業データベース・ターゲティング特化型 | 網羅的な企業属性データの保有と顧客データの名寄せ(重複排除・統合) | 攻めるべきターゲットリストの精度を高めたい企業 | FORCAS、uSonar、スピーダ、Sansan、Musubu |
| インテントデータ・行動履歴分析型 | Web上の検索・閲覧行動の検知による検討時期の特定 | 購買意欲が高まったタイミングを逃さずアプローチしたい企業 | Sales Marker、6sense |
| オールインワン・マーケティング連携型 | メール配信や商談管理など、施策の実行から履歴管理までを一元化 | ターゲットの抽出からナーチャリング(顧客育成)までを1つの基盤で完結させたい企業 | HubSpot、Marketo Engage、Account Engagement、シャノンマーケティングプラットフォーム、BowNow、SATORI、List Finder、Bizer team |
企業データベース・ターゲティング特化型
企業データベース・ターゲティング特化型は、豊富な企業属性データをもとに自社が優先して攻略すべきターゲット企業リストを高精度に作成するためのツールです。まずは狙うべき市場やアカウント(企業)を明確に定義したい場合に適しています。
社内に散在する名刺情報や取引履歴などのデータと、ツール側が保有する膨大な法人データベースを照合することで、表記ゆれや重複を解消する名寄せ作業を自動化できます。既存顧客の傾向を分析し、成約確度やLTV(顧客生涯価値)が高い企業の共通点を洗い出すことで、未開拓の潜在顧客の中から条件に合致する企業を効率よく抽出します。
- 業種や売上規模だけでなく、特定のシステム導入状況や事業課題といった詳細な業界シナリオに基づいてターゲットを絞り込む場合
- 国税庁の法人番号などを軸にして、グループ企業や拠点の階層構造を正確に把握したうえで営業戦略を立案する場合
- 営業担当者の主観や経験則に頼ったリスト作成から脱却し、データドリブンな営業体制へ移行する場合
このタイプは単体でメール配信や架電管理を行う機能を持たないものが多いため、抽出したリストを既存のSFA(営業支援システム)やMA(マーケティングオートメーション)へ連携してアプローチを実行する運用が基本となります。
インテントデータ・行動履歴分析型
インテントデータ・行動履歴分析型は、企業のWeb上での検索行動やメディア閲覧履歴から購買意欲(インテント)の高まりをリアルタイムに捉えるツールです。ターゲット企業の課題が顕在化した瞬間にアプローチを行いたい企業に最適です。
従来のBtoBマーケティングでは、自社のWebサイトに訪問した後の行動履歴(ファーストパーティデータ)しか把握できませんでした。しかし、このタイプのツールは外部のWebメディアや検索エンジンにおける企業の行動データ(サードパーティデータ)を収集・分析します。自社サイトに訪れる前の段階であっても、特定のキーワードを検索している企業を特定できるため、競合他社に先駆けてインサイドセールス(内勤営業)が接触を図ることが可能になります。
- 自社の製品やサービスに関連するキーワードを直近で検索している企業を検知し、優先的にアプローチする場合
- ターゲット企業の検討フェーズや関心のあるテーマを事前に把握し、相手のニーズに合わせた提案資料やトークスクリプトを準備する場合
- 過去に失注した企業や休眠顧客が再び情報収集を始めたタイミングを通知で受け取り、掘り起こし営業を行う場合
企業のニーズを先回りして把握できるため、闇雲なテレアポや一斉メール配信を減らし、商談化率を引き上げることができます。
オールインワン・マーケティング連携型
オールインワン・マーケティング連携型は、ターゲット企業の管理からアプローチ施策の実行、商談の進捗管理までを単一のプラットフォーム上で完結できるツールです。複数のシステムを個別に契約・連携させる手間を省き、マーケティング部門と営業部門のデータ基盤を統一したい企業に向いています。
広義のABMツールに含まれる高機能なMAやCRM(顧客関係管理)がこのタイプに該当します。個人のリード(見込み客)単位ではなく、企業(アカウント)単位で複数の担当者情報を紐づけて管理できる機能を備えているのが特徴です。ターゲット企業内の決裁者や推進者など、複数人のWebサイト閲覧履歴やメール開封状況を合算してスコアリング(点数化)し、企業全体の検討度合いを可視化します。
- ターゲット企業に対するメール配信、Web広告の出し分け、セミナー運営などの施策を1つのツールで実行・管理する場合
- マーケティング部門が獲得した見込み客の行動履歴をリアルタイムで営業部門と共有し、部門間の連携スピードを高める場合
- 複数のシステム間で発生するデータ連携エラーや、ツールごとの管理コストを削減したい場合
施策の実行力と管理のしやすさに優れている反面、ツール自体に最初から登録されている外部の企業データベースは限定的なケースがあります。そのため、自社のハウスリスト(保有している見込み客リスト)がすでにある程度充実している企業や、インバウンド(問い合わせや資料請求)でのリード獲得が機能している企業において効果を発揮します。
失敗しないABMツールの選び方と比較ポイント
ABMツールを選定する際は、自社の営業プロセスや既存システムとの適合性を5つの基準で比較することが重要です。多機能なツールであっても、保有する企業データの網羅性や社内システムとの連携性が不足していると、営業現場で活用されず費用対効果が悪化するためです。比較すべき5つの評価基準と確認事項は、下表のとおりです。
| 比較ポイント | 確認すべき具体的な項目 | 選定を誤った場合のリスク |
|---|---|---|
| 企業データ量と情報の精度 | 対象業界の網羅率、属性項目(売上・従業員数など)の粒度、更新頻度 | アプローチ対象が枯渇する、古い情報に基づき誤った営業活動を行う |
| 既存システムとの連携性 | 利用中のSFA・CRM・MAとのAPI連携の有無、名寄せの自動化範囲 | 手動でのCSV出力・取込が発生し、営業担当者の作業負担が増大する |
| 抽出機能とスコアリング精度 | 業界区分の細かさ、インテントデータやAIによる受注確度算出の仕組み | 優先すべきターゲット企業が判別できず、架電や訪問の効率が下がる |
| サポート体制と操作性 | 専任担当者の有無、管理画面の視認性、現場向けの研修プログラム | 設定やリスト作成が一部の担当者しか行えず、ツールが形骸化する |
| 導入費用とROIのバランス | 初期費用、月額費用、オプション料金、想定される商談・受注増加数 | ターゲット企業数に対してコストが過剰になり、投資回収が困難になる |
保有している企業データ量と情報の精度
ABMツールの選定では、自社のターゲット層に合致する企業データの網羅性と更新頻度を最優先で確認してください。ABMは特定の企業群に経営資源を集中させる手法であり、基盤となるデータベースの質がターゲティングの正確性を左右するためです。
BtoBマーケティングにおいては、単に登録されている法人数が多いだけでなく、アプローチ判断に必要な属性情報がどれだけ詳細に付与されているかが成果に直結します。導入前に確認しておくべきデータの評価軸は以下のとおりです。
- 法人番号や登記情報だけでなく、事業所や工場単位のデータまで保有しているか
- 一般的な大分類(製造業・情報通信業など)だけでなく、「SaaS」「物流DX」といった実態に即した細かな業界区分で検索できるか
- 決算情報、資金調達状況、組織変更、人事異動などの情報がどの程度の周期で更新されているか
例えば、従業員数100名以下の中堅・中小企業を開拓したい場合は、上場企業だけでなく非上場企業のデータが充実しているツールを選ぶ必要があります。一方、大手企業の特定部署を狙う場合は、部署名や役職者名、グループ企業の系列関係まで把握できるツールが適しています。
既存のSFAやMAツールとの連携性
導入後の運用負荷を下げるには、現在自社で利用しているSFA(営業支援システム)やMA(マーケティングオートメーション)、CRM(顧客関係管理)と標準機能で連携できるツールを選ぶ必要があります。システム間のデータ連携が自動化されていない場合、担当者が手動でCSVファイルを出力・インポートする作業が発生し、データの鮮度が落ちるうえに現場の業務時間を圧迫するためです。
特に重要なのが、企業コードを用いた「名寄せ(データの統合)」の自動化です。SFAやMAに蓄積された既存の顧客リストには、「(株)」と「株式会社」の表記揺れや、社名変更前の古いデータが混在していることが少なくありません。ABMツールが保有するマスターデータと既存システムのデータをAPI連携によって自動で照合・名寄せできれば、表記揺れを解消した正確な顧客データベースを構築できます。
また、名刺管理ツールと連携できる製品であれば、社内で獲得した名刺情報をABMツール上の企業データに自動で紐付け、どの企業のどの部署と接点があるかを即座に可視化できます。システム部門の開発工数をかけずに連携できるか、事前に自社の利用環境と照らし合わせて確認してください。
ターゲット企業の抽出機能とスコアリング精度
営業リソースを効率よく配分するためには、成約確度の高い企業を抽出する分析機能とスコアリング(優先順位付け)の精度を比較することが不可欠です。自社にとって優良顧客となり得る条件を客観的なデータから定義できなければ、営業担当者の勘や経験に頼ったリスト作成から脱却できないためです。
ABMツールにおけるターゲット抽出とスコアリングのアプローチは、主に以下の3つの手法に分かれます。
- 属性データ分析:既存の受注顧客リストをツールに読み込ませ、共通する業種、売上規模、従業員数などの傾向をAIや統計アルゴリズムで分析し、似た特徴を持つ未開拓企業を抽出する手法
- 行動履歴(ファーストパーティデータ)分析:自社のWebサイトへのアクセス履歴、資料ダウンロード、セミナー参加などの反応に基づき、関心度合いに応じてスコアを加算する手法
- インテントデータ(サードパーティデータ)分析:自社サイト以外の外部Webメディアでの検索キーワードや記事閲覧履歴を捉え、製品カテゴリに対する検討ニーズが高まっている企業を特定する手法
自社の顧客データが十分に蓄積されている場合は属性データ分析に強いツールが有効であり、新規市場の開拓や潜在層への早期アプローチを重視する場合は、インテントデータを活用できるツールが適しています。スコアリングの算出根拠がブラックボックス化しておらず、営業担当者が「なぜこの企業の優先度が高いのか」を納得してアプローチできるかどうかも確認すべきポイントです。
自社の営業体制に合ったサポート体制と操作性
ツールを社内に定着させるには、マーケティングや営業現場の担当者が直感的に操作できる画面設計と、ベンダーによる伴走型のカスタマーサクセス体制が整っているかを見極める必要があります。どれだけ高度な分析機能を備えていても、リストの抽出や条件設定に専門的な知識が求められると、一部の担当者しか扱えず運用が停滞するためです。
操作性については、無料トライアルやデモンストレーションを通じて、インサイドセールス(内勤営業)やフィールドセールス(外勤営業)の担当者が日常業務の中で迷わず使えるかを確認します。検索条件の保存、アプローチ結果のステータス入力、SFAへの画面遷移などが少ないクリック数で完結するかどうかが判断基準となります。
また、社内にABMの運用経験者がいない場合は、ベンダーのサポート範囲を必ず確認してください。初期のデータクレンジング(データの整形)やSFAとの連携設定だけでなく、ターゲットリストの設計支援、他社事例に基づくアプローチシナリオの提案、定期的な効果測定ミーティングまで対応してくれるベンダーを選ぶことで、導入後の立ち上がりが早まります。
導入費用と費用対効果(ROI)のバランス
ABMツールの導入判断においては、初期費用や月額利用料といったコスト総額に対し、ターゲット企業の開拓によって得られる期待売上(ROI:投資利益率)が見合っているかを試算することが重要です。ABMツールは高度な企業データベースや分析基盤を備えているため、一般的な営業リスト作成ツールと比較して利用料金が高額になりやすいためです。
料金体系はツールによって異なりますが、主に以下の要素で構成されます。
- 初期導入費用(アカウント発行、初期データ統合、システム連携設定など)
- 月額または年額の基本利用料(契約期間に応じた固定費用)
- 従量課金要素(利用するユーザーID数、抽出・ダウンロードする企業データ件数、連携するレコード数など)
- オプション費用(専任コンサルタントによる導入支援、追加のインテントデータ取得など)
費用対効果を算出する際は、自社の商材のLTV(顧客生涯価値)や平均受注単価を基準にします。例えば、1社あたりの年間取引額が数百万円から数千万円にのぼるエンタープライズ向けの商材であれば、ABMツールの活用によって年間数社の新規受注が増えるだけで十分にコストを回収できます。反対に、単価が低く薄利多売のビジネスモデルでは、ツールの維持費が利益を圧迫する可能性があるため、選定段階で損益分岐点となる受注件数を明確にしておく必要があります。
ABMツールおすすめ15選を徹底比較
ABM(アカウントベースドマーケティング)の実践に向いている15種類のツールは、それぞれ保有するデータ領域や得意とするアプローチ手法が異なります。自社の営業課題がターゲットリストの精緻化にあるのか、顧客の検討タイミングの検知にあるのか、あるいは既存システムとの連携による業務効率化にあるのかによって最適なツールが決まります。
各ツールの分類タイプや主な強み、適している企業規模は下表のとおりです。
| ツール名 | タイプ分類 | 主な強み・特徴 | 適している企業規模・体制 |
|---|---|---|---|
| FORCAS | 企業データベース・ターゲティング特化型 | 独自の業界区分と受注傾向の自動分析によるターゲット選定 | 中堅〜エンタープライズ企業 |
| uSonar | 企業データベース・ターゲティング特化型 | 拠点単位まで網羅した法人データベースによるデータ名寄せ・クレンジング | 中堅〜エンタープライズ企業 |
| スピーダ(Speeda) | 企業データベース・ターゲティング特化型 | 財務情報や中期経営計画に基づくアカウントプランニング支援 | エンタープライズ開拓を行う営業部門 |
| Sansan | 企業データベース・ターゲティング特化型 | 社内の名刺情報・人脈の可視化と組織図に基づくキーマン特定 | 全規模(人脈を活用した営業体制) |
| HubSpot | オールインワン・マーケティング連携型 | CRM・MA・SFAの一元管理による部門間のデータ連携 | 中小〜中堅企業 |
| Marketo Engage | オールインワン・マーケティング連携型 | 複雑なシナリオ設計とアカウント単位での多層的なスコアリング | 中堅〜エンタープライズ企業 |
| Account Engagement | オールインワン・マーケティング連携型 | Salesforceとの双方向同期による営業・マーケの顧客情報統一 | Salesforce導入済みの中堅〜大手企業 |
| Bizer team | オールインワン・マーケティング連携型(タスク管理) | 部門横断で発生するABM施策のタスク・プロセス可視化 | 全規模(複数部門でのプロジェクト体制) |
| BowNow | インテントデータ・行動履歴分析型 | 初期設定を簡略化したテンプレートによる見込み客のWeb行動検知 | 中小企業・ABM初期導入企業 |
| SATORI | インテントデータ・行動履歴分析型 | 匿名状態の見込み客に対する行動履歴分析と検討フェーズ引き上げ | Web集客を強化したい中小〜中堅企業 |
| List Finder | インテントデータ・行動履歴分析型 | 企業属性の解析とWebアクセス通知によるインサイドセールス支援 | 中小〜中堅企業の営業・インサイドセールス |
| シャノンマーケティングプラットフォーム | オールインワン・マーケティング連携型 | 展示会やセミナーなどのオフライン行動とオンライン履歴の統合管理 | イベント施策が多い中堅〜大手企業 |
| Sales Marker | インテントデータ・行動履歴分析型 | Web上の検索行動データに基づくニーズ発生企業のリアルタイム検知 | 新規開拓を強化したい全規模の営業組織 |
| Musubu | 企業データベース・ターゲティング特化型 | 詳細な業種・地域軸での絞り込みと直感的な操作による営業リスト作成 | 中小〜中堅企業のアウトバウンド営業 |
| 6sense | インテントデータ・行動履歴分析型 | AIによる購買ステージ予測と匿名企業の行動シグナル特定 | グローバル展開や大規模開拓を行う大手企業 |
FORCAS(フォーカス)
FORCASは、既存顧客の分析から成約確率の高いターゲット企業リストを自動で抽出できるABM特化型ツールです。自社の受注実績データをシステムに読み込ませることで、受注しやすい企業の業界や事業特徴の傾向をアルゴリズムが解析し、スコア順の営業リストを作成します。
従来の日本標準産業分類では判別しにくい「SaaS提供企業」や「EC運営企業」といった独自の細かなシナリオ区分を備えており、BtoBマーケティングにおける精度の高いセグメンテーションを実現します。SalesforceやHubSpot、Marketo Engageなどの外部ツールと連携し、抽出した企業属性データを既存の顧客管理画面へ自動付与できるため、インサイドセールスが優先して架電すべき企業を迷わず選定できます。
- タイプ:企業データベース・ターゲティング特化型
- 主な機能:既存顧客の傾向分析、独自シナリオに基づくターゲット抽出、SFA・MAへの企業属性データ自動付与
- 向いている企業:勘や経験に頼ったリスト作成から脱却し、データ根拠に基づくターゲット選定を行いたい中堅〜大手企業
uSonar(ユーソナー)
uSonarは、日本国内の事業所のほぼすべてを網羅した独自の法人データベース「LBC」を基盤とするデータ統合・ABMツールです。社内に散在する表記揺れや重複を含む顧客データを、独自の企業コードによって名寄せ(同一企業のデータを1つに統合する処理)し、正確なアカウント階層を構築します。
本社だけでなく支社や工場、資本関係のあるグループ企業まで体系化して紐付けられるため、大手企業グループのどの部署と取引があり、どこが未開拓なのかというホワイトスペース(未開拓領域)が明確になります。Webサイトへの来訪企業をIPアドレスから特定する機能や、企業の移転・合併情報を自動で更新する機能も備えており、常に最新の企業情報に基づいたアプローチが可能です。
- タイプ:企業データベース・ターゲティング特化型
- 主な機能:法人データの名寄せ・クレンジング、企業系列・拠点の階層化表示、ホワイトスペースの可視化
- 向いている企業:グループ企業や複数拠点を持つエンタープライズ企業を開拓対象とし、顧客データの統合管理に課題を抱える企業
スピーダ(Speeda)
スピーダは、国内外の企業の財務データや業界レポート、市場動向を網羅した経済情報プラットフォームであり、エンタープライズ向けのアカウントプラン(攻略計画)策定に強みを持つツールです。単なる連絡先リストの作成にとどまらず、ターゲット企業の経営課題や中期経営計画の方向性を深く分析できます。
ABMにおいて重要な「対象企業に合わせた個別具体的な提案」を行うため、対象企業の有価証券報告書やプレスリリース、業界のトレンド構造を短時間で収集できます。営業担当者がターゲット企業の事業課題を仮説立てし、経営層や決裁者に響く提案書を作成するプロセスを短縮します。
- タイプ:企業データベース・ターゲティング特化型
- 主な機能:企業財務・経営情報の検索、中期経営計画の要点抽出、業界レポートの閲覧
- 向いている企業:1社あたりの取引額が大きい大手企業をターゲットとし、経営課題に踏み込んだ提案営業を行う組織
Sansan(サンサン)
Sansanは、社員が交換した名刺を起点に社内の人脈データを資産化し、ターゲット企業内の組織構造やキーマンを可視化する営業DXツールです。ABMでは対象企業内の複数の意思決定者へアプローチする必要がありますが、Sansanを活用することで「自社の誰が、ターゲット企業のどの役職者と接点を持っているか」を即座に把握できます。
名刺情報に加えて企業の最新ニュースや人事異動情報が自動で紐付けられるため、ターゲット企業の組織変更やキーマンの昇進といったタイミングを逃さずにアプローチできます。外部の企業データベースも標準搭載されており、未接触の部署や関連会社を特定して営業範囲を広げるクロスセル(他商材の追加提案)やアップセルにも有効です。
- タイプ:企業データベース・ターゲティング特化型
- 主な機能:名刺データのデジタル化と社内人脈の共有、企業単位の組織図自動生成、人事異動ニュースの通知
- 向いている企業:社員個人の人脈を組織全体で共有し、大手企業の複数部署へ多面的なアプローチを行いたい企業
HubSpot(ハブスポット)
HubSpotは、CRM(顧客関係管理)を中核として、マーケティング・営業・カスタマーサポートの機能を単一のプラットフォームで提供するオールインワンツールです。ABM専用の機能も標準搭載されており、追加のシステム開発を行わずにターゲットアカウントの設定からアプローチ結果の分析までを一貫して管理できます。
ターゲット企業を重要度に応じてティア(階層)分けし、その企業に所属する担当者の役職(決裁者、推進者、インフルエンサーなど)を定義したうえで、メール開封やWebサイト閲覧などのエンゲージメント状況を企業単位のダッシュボードで追跡できます。マーケティング部門と営業部門が同じ管理画面を見ながら、特定企業への接触状況と商談の進捗をリアルタイムで共有できる点が特徴です。
- タイプ:オールインワン・マーケティング連携型
- 主な機能:ターゲットアカウントの階層管理、企業単位のエンゲージメント計測、CRM・MA・SFAの一元管理
- 向いている企業:複数ツールの連携にかかる運用負荷を抑え、1つのシステムでABMと営業管理を完結させたい中小〜中堅企業
Marketo Engage(マルケトエンゲージ)
Marketo Engageは、アドビ株式会社が提供するBtoB・BtoC双方に対応したMA(マーケティングオートメーション)ツールであり、ターゲット企業に対する長期的な育成(ナーチャリング)と高度なスコアリング機能を備えています。個人単位の行動だけでなく、同一企業に属する複数人の行動スコアを合算し、アカウント全体の関心度を算出できます。
たとえば、ターゲット企業の担当者複数名が料金ページや導入事例ページを閲覧した際に、企業全体の検討度が高まったと判定してインサイドセールスへ通知する、といった緻密な自動化シナリオを構築できます。Web広告やメール、ウェビナーなど複数チャネルを横断したパーソナライズ施策を実行できるため、検討期間の長い商材のABMに適しています。
- タイプ:オールインワン・マーケティング連携型
- 主な機能:アカウント単位の複合スコアリング、マルチチャネルの自動化シナリオ実行、対象企業向けのWebコンテンツ出し分け
- 向いている企業:専任のマーケティング担当者が在籍し、ターゲット企業の検討フェーズに合わせた緻密な育成施策を実行したい企業
Account Engagement(旧Pardot)
Account Engagementは、株式会社セールスフォース・ジャパンが提供するBtoB特化型のMAツールです。世界的に広く導入されているSFA・CRMである「Salesforce」と同一基盤で動作するため、営業現場が管理する商談データとマーケティングの行動データをタイムラグなく双方向で同期できます。
ABMの実践においては、Salesforce上で定義したターゲット企業の条件をそのまま引き継ぎ、特定企業の担当者だけに絞ったメール配信や、営業担当者へのリアルタイムな行動通知を行えます。AI機能が過去の成約パターンから見込み客のスコアを自動調整するため、営業部門は確度の高いアカウントに集中してリソースを投下できます。
- タイプ:オールインワン・マーケティング連携型
- 主な機能:Salesforceとのシームレスなデータ同期、AIによる見込み客スコアリング、BtoB向けのステップメール配信
- 向いている企業:すでにSalesforceを導入しており、営業部門とマーケティング部門の連携を強化して商談化率を高めたい企業
Bizer team(バイザーチーム)
Bizer teamは、顧客データベースやMAツールではなく、チームの業務プロセスやタスクを可視化して共有するためのタスク管理ツールです。ABMはマーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスなど複数部門が連携して1つの企業を攻略する手法であるため、施策の進行管理が複雑化しやすいという課題を解決します。
ターゲットリストの作成、ダイレクトメールの送付、フォロー架電、個別提案書の作成といったABMの一連の工程をチェックリストとしてテンプレート化することで、誰がどの作業をいつまでに行うべきかを明確にします。属人化しがちな営業・マーケティングの連携業務を標準化し、施策の抜け漏れを防ぐ運用基盤として機能します。
- タイプ:オールインワン・マーケティング連携型(タスク・プロセス管理)
- 主な機能:ABM業務プロセスのテンプレート化、部門横断のタスク進捗管理、作業履歴の記録・共有
- 向いている企業:ABM用の分析ツールは導入したものの、部門間の役割分担や日々のオペレーションが定着していない組織
BowNow(バウナウ)
BowNowは、クラウドサーカス株式会社が提供する、シンプルな操作性と導入の手軽さを重視した国産MAツールです。複雑なシナリオ設計やスコアリング設定を省き、BtoBマーケティングで成果が出やすい条件をあらかじめ組み込んだ「ABMテンプレート」を搭載しています。
保有している見込み客リストをシステムに取り込み、Webサイトに計測タグを設置するだけで、どの企業がいつ・どのページを閲覧したかを企業名単位で特定できます。専門知識を持つ専任担当者がいなくても、導入直後から「今、自社サイトを見に来ているターゲット企業」を抽出して架電リストを作成できるため、スモールスタートでのABM実践に向いています。
- タイプ:インテントデータ・行動履歴分析型
- 主な機能:IPアドレスによる来訪企業の特定、ABMテンプレートによるホットリード抽出、簡易メール配信
- 向いている企業:コストを抑えてツールを導入し、少人数の体制で素早くWeb行動に基づく営業アプローチを始めたい中小企業
SATORI(サトリ)
SATORIは、名刺交換やフォーム送信を行う前の「匿名状態の見込み客(アンノウンリード)」の行動履歴を蓄積・分析できる国産MAツールです。一般的なツールが実名獲得後の追跡を得意とするのに対し、SATORIはCookie情報やIPアドレスを用いて、問い合わせ前の段階から特定企業のWebアクセス動向を把握できます。
ターゲットに指定した企業のIPアドレスから自社サイトへアクセスがあった際、ページ上にその業界向けの資料ダウンロードを促すポップアップを表示するなど、匿名状態から実名リードへ転換させるためのアプローチ機能を備えています。既存のハウスリストが少ない状態からでも、ターゲット企業の接点を獲得してABMの母集団を形成できます。
- タイプ:インテントデータ・行動履歴分析型
- 主な機能:匿名見込み客の行動履歴追跡、特定条件に応じたポップアップ表示、Webサイト内での行動スコアリング
- 向いている企業:自社サイトのアクセス数はあるものの、ターゲット企業の実名連絡先(リード)が十分に集まっていない企業
List Finder(リストファインダー)
List Finderは、BtoB企業の営業・インサイドセールス現場での使いやすさに特化した国産MAツールです。優先してアプローチすべき企業を逃さないため、特定企業が自社のWebサイトや配信メールに反応したタイミングで、担当営業へ即座にメール通知を送る機能を備えています。
外部の企業データベースと連携しており、自社のWebサイトに来訪した企業の業種や売上規模、従業員数を自動で解析して一覧表示します。マーケティングの専門用語を知らない営業担当者でも直感的に操作できる画面設計となっており、「ターゲット企業リストのなかで、直近1週間以内に料金ページを見た企業」を数クリックで抽出してアプローチに移せます。
- タイプ:インテントデータ・行動履歴分析型
- 主な機能:来訪企業の属性自動解析、重要ページ閲覧時のリアルタイム通知、PDF資料の閲覧状況トラッキング
- 向いている企業:営業担当者自身がツールを操作し、日々の架電やメール営業の優先順位付けに活用したい中小〜中堅企業
シャノンマーケティングプラットフォーム
シャノンマーケティングプラットフォームは、展示会や大型セミナーなどのオフライン施策と、Webサイトやメールなどのオンライン施策のデータを統合管理できる国産MAツールです。日本のBtoB商慣習において重要な「イベントでの名刺獲得」から商談化までのプロセスを自動化します。
ABMの運用では、ターゲット企業の誰がどの展示会ブースに来場し、どの講演を聴講し、その後Webサイトのどのページを閲覧したかというオンライン・オフライン双方の履歴をアカウント単位で時系列に把握できます。紙のアンケートや名刺のデータ化からフォローメールの配信、営業への引き継ぎまでを一気通貫で管理できるため、イベントを起点とした大手企業開拓に強みを発揮します。
- タイプ:オールインワン・マーケティング連携型
- 主な機能:展示会・ウェビナーの申込・来場管理、オンラインとオフラインの行動履歴統合、アカウント単位の接触履歴可視化
- 向いている企業:展示会出展や主催セミナーを頻繁に実施しており、来場したターゲット企業のフォローを効率化したい中堅〜大手企業
Sales Marker(セールスマーカー)
Sales Markerは、Web上の検索行動データ(インテントデータ)を解析し、「今まさに自社商材に関連するキーワードを検索している企業」をリアルタイムで特定するインテントセールス・ABMツールです。自社サイトへのアクセス履歴だけでなく、外部の検索エンジンやメディア上での行動シグナルを捉えるため、自社をまだ認知していない潜在層の検討タイミングも検知できます。
ターゲット企業が特定の課題キーワード(例:「ABM ツール 比較」「営業DX 事例」など)をどの程度検索しているかをスコア化し、ニーズが顕在化した瞬間にアラートを通知します。部署ごとの電話番号やメールアドレス、決裁者の情報もデータベース内に保有しており、ニーズが発生した企業に対して、その課題に合致したトークスクリプトやメール文面で即座にアプローチできます。
- タイプ:インテントデータ・行動履歴分析型
- 主な機能:外部Web上の検索インテントデータ分析、ニーズ発生企業のリアルタイム検知、部署・キーマン別の連絡先抽出
- 向いている企業:従来のリスト順の架電によるアポイント獲得率低下に悩み、顧客の検討タイミングに合わせたアプローチへ転換したい営業組織
Musubu(ムスブ)
Musubuは、国内の140万件以上の法人データを収録し、細かな条件指定によってターゲットリストを直感的に作成できるクラウド型企業情報データベースです。売上高や従業員数といった基本情報だけでなく、「特定の展示会への出展歴がある」「特定の求人媒体で採用活動を行っている」「BtoB事業を展開している」といった事業実態に即した検索軸を備えています。
ABMの第一歩である「自社の商材と相性の良い企業の抽出」を簡単なチェックボックス操作だけで完結でき、抽出した企業リストに対してシステム上から直接メールを配信したり、架電結果を記録したりする簡易SFA機能も搭載しています。初期費用が無料で、必要な件数分だけデータを取得できる料金体系が用意されており、段階的な導入が可能です。
- タイプ:企業データベース・ターゲティング特化型
- 主な機能:多軸条件によるターゲット企業検索、類似企業の自動抽出、リストへの一括メール配信とステータス管理
- 向いている企業:まずは正確な企業データに基づくターゲティングとアウトバウンド営業のリスト作成からABMを始めたい企業
6sense(シックスセンス)
6senseは、AIとビッグデータ解析を用いてBtoB企業の購買行動を予測する、グローバルで広く導入されているABMプラットフォームです。自社のWebサイトだけでなく、外部のBtoBメディアやレビューサイトなど広範なネットワークから匿名企業の行動シグナル(インテントデータ)を収集・解析します。
AIがターゲット企業の行動パターンを学習し、各アカウントが購買プロセスのどの段階(認知、検討、比較、意思決定など)にあるかを自動で判定します。営業がアプローチすべき「購買直前の状態にある企業」を特定するだけでなく、まだ検討初期にある企業に対しては企業単位でターゲティング広告を自動配信して認知を高めるなど、広告から営業アプローチまでを統合的に制御します。
- タイプ:インテントデータ・行動履歴分析型
- 主な機能:AIによる購買ステージの予測、外部サイトを含む匿名インテントデータの解析、アカウント単位のプログラマティック広告配信
- 向いている企業:グローバル展開や大規模なエンタープライズ開拓を行っており、AIを活用した高度な予測型ABMを構築したい大手企業
ABMツールを導入するメリット
ABMツールを導入する最大のメリットは、自社に大きな利益をもたらすターゲット企業(アカウント)を特定し、組織全体で効率的な営業・マーケティング活動を展開できる点です。従来のリード(見込み客個人)単位のアプローチでは、企業の規模や将来的な取引拡大の余地に関わらず営業リソースが分散していましたが、ABMツールを活用することで企業単位での優先順位付けが可能になります。結果として、限られた人員や予算を最も投資対効果の高い対象へ集中投下できるようになります。
優良顧客(LTVが高い企業)へリソースを集中できる
ABMツールを活用することで、LTV(顧客生涯価値:1社との取引開始から終了までの期間に得られる利益の総額)が高い優良顧客候補をデータから割り出し、営業およびマーケティングのリソースを優先的に配分できます。BtoBビジネスにおいては、少数の大口顧客や継続取引を行う企業が売上全体の大部分を占めるケースが少なくありません。ツールに搭載された企業データベースと自社の過去の取引実績を照合することで、受注金額が大きく解約率の低い企業の共通項(業種、従業員規模、売上高、導入しているシステムなど)を正確に抽出できます。
抽出された条件に合致する未開拓企業を「最優先で攻略すべきターゲットリスト」として定義し、営業担当者の訪問や個別最適化した広告配信などの予算を集中させます。従来の手法とABMツール導入後のリソース配分の違いは、下表のとおりです。
| 比較項目 | 従来のリード単位のアプローチ | ABMツールを用いたアプローチ |
|---|---|---|
| ターゲットの選定基準 | 資料請求や展示会名刺交換などの行動履歴がある個人 | 自社の優良顧客と属性が類似している高LTV見込み企業 |
| リソースの配分方法 | 獲得したリードに対して均等、または行動スコア順に配分 | 企業ランク(Tier)に応じて予算や営業工数を傾斜配分 |
| アプローチの深さ | 担当者個人への連絡が中心で、他部署への展開が困難 | 対象企業の複数部署・決裁者を含めた組織的な攻略が可能 |
| 投資対効果(ROI)の傾向 | 小口顧客の対応にも工数が割かれ、営業効率が低下しやすい | 大口受注やアップセル・クロスセルにつながりやすく高効率 |
このように、確度の低い企業や取引規模が見込めない対象への過剰なアプローチを削減し、将来的に大きな売上貢献が見込める企業群へ集中的に時間とコストを投下できる体制が整います。
営業部門とマーケティング部門の連携が強化される
ABMツールの導入は、マーケティング部門と営業部門(インサイドセールスおよびフィールドセールス)が共通の目標指標(KPI)とターゲットリストを共有する基盤となり、部門間の連携不全を解消します。BtoB企業では、マーケティング部門が「獲得したリードの件数」を追い、営業部門が「受注金額や商談化率」を追うことで、ターゲットの認識にズレが生じることが課題となりがちです。マーケティング側が大量のリードを獲得しても、営業側が「受注見込みの低い企業ばかりだ」と判断してフォローを後回しにする事態が起きるためです。
ABMツールを導入すると、両部門が「どの企業群を攻略するか」を事前に合意したうえで施策をスタートできます。ツール上で対象企業の属性情報や接触履歴が一元管理されるため、各部門の役割分担が以下のように明確化されます。
- マーケティング部門:指定されたターゲット企業群に所属する人物からの認知獲得、Webサイトへの誘導、ウェビナーへの集客を実行する
- インサイドセールス部門:ターゲット企業内の複数部署へアプローチし、課題のヒアリングとキーパーソン(決裁権者や推進者)の特定を行い商談を創出する
- フィールドセールス部門:特定されたキーパーソンに対して、企業の経営課題に即した具体的な提案を行い受注へと導く
各部門が同じアカウントリストを見て進捗を追跡できるため、「マーケティングが集めたリストを営業が放置する」といった摩擦がなくなり、一気通貫の組織的なアカウント攻略が実現します。
データに基づいたアプローチで成約率が向上する
ABMツールが提供する多角的な企業データや行動データを活用することで、顧客の課題や検討タイミングに合致した提案が可能となり、商談化率および最終的な成約率が向上します。BtoBの購買プロセスには複数の担当者が関与し、検討期間も長期にわたるため、営業担当者の勘や経験だけに頼ったアプローチでは受注確度を高めることが困難です。
ABMツールでは、企業の基本属性(財務情報、組織図、拠点情報など)に加え、プレスリリースや採用情報などの最新動向、さらにはWebサイト上の行動履歴やインテントデータ(特定のキーワード検索などから推測される企業の興味関心データ)を統合して把握できます。これらのデータを営業活動に反映させる具体的な手順は以下のとおりです。
- アプローチタイミングの最適化:ターゲット企業が自社サービスに関連するキーワードを頻繁に検索し始めた際や、新規事業の立ち上げ・資金調達などのニュースが発表された直後を捉えてアプローチを開始する
- 提案内容のパーソナライズ:対象企業の業界動向や中期経営計画、現在募集している求人情報などから組織課題を仮説立てし、相手企業専用の提案資料を作成して商談に臨む
- 決裁ルートを見据えた複数接触:ツール内の組織図や名刺データ連携機能を活用し、現場担当者だけでなく、導入の意思決定に関わる部門長や役員クラスに対しても並行して情報提供を行う
このように、相手企業の状況やニーズを事前に把握した状態で接触できるため、画一的な営業トークではなく、顧客の文脈に沿った価値提案が可能となり、競合他社との差別化と成約率の引き上げに直結します。
ABMツール導入時の注意点とデメリット
ABMツールの導入はターゲット企業へのアプローチ効率を高める一方で、初期構築や継続的な運用において相応の経営リソースが求められます。自社の組織体制や商材の特性と照らし合わせ、導入前に克服すべき課題を把握しておくことが不可欠です。
ツール導入・運用のコスト負担が大きい
ABMツールの活用には、システム利用料だけでなく社内体制の構築やデータ整備に伴う人的コストが継続的に発生します。ABMツールは膨大な企業データベースやインテントデータ(Web上の行動履歴などから購買意欲を推測するデータ)を維持・更新しているため、一般的な営業支援システムと比較して利用料金が高額になりやすい傾向があります。
また、ツールを導入しただけでは成果は出ず、既存システムとのデータ統合や名寄せ(重複データの統合)、ターゲットリストの抽出条件の策定などを担う専門人材の配置が必要です。ABMツールの導入・運用段階で発生する主なコストと対策は、下表のとおりです。
| コストの分類 | 具体的な発生要因 | 負担を軽減する対策 |
|---|---|---|
| システム費用 | 初期導入費用、月額・年額のライセンス費用、オプション機能(データ付与など)の追加料金 | 必要な機能やデータ量を絞り込み、スモールスタートが可能な料金プランを選択する |
| データ整備・連携工数 | SFA(営業支援システム)やMA(マーケティングオートメーション)との連携設定、表記ゆれの統一 | 初期構築サポートが充実しているベンダーや、既存ツールと標準連携できる製品を選ぶ |
| 運用・オペレーション人件費 | スコアリング(見込み度の点数化)設計、アプローチリストの作成、施策の実行・改善を担う担当者の工数 | 専任チームを組成する、または外部のコンサルティングや運用代行サービスを一時的に活用する |
これらの負担が予算や現場の処理能力を超えると、ツールが十分に活用されず費用対効果が悪化します。自社の商材の平均受注単価やLTV(顧客生涯価値)を算出し、投資回収が可能か事前にシミュレーションを行うことが重要です。
効果測定までに中長期的な期間を要する
ABMは受注金額が大きい大企業や特定企業群を主なターゲットとするため、施策の開始から最終的な成約・売上計上までに数ヶ月から1年以上のリードタイム(検討期間)を要します。BtoB取引において取引規模が大きくなるほど、ターゲット企業内の複数部署や経営層が意思決定に関与し、社内稟議や比較検討のプロセスが長期化するためです。
導入直後から短期的な受注件数の増加だけを追うと、現場の疲弊や経営層の理解不足を招き、プロジェクトが頓挫する原因となります。中長期的な運用を継続するためには、最終的な売上目標だけでなく、営業プロセスに沿った中間指標(KPI)を設定して進捗を可視化することが有効です。
- 対象企業との新規接点獲得率(ターゲット企業のうち、キーパーソンと接触できた割合)
- 特定アカウント内の複数部署・決裁者へのアプローチ進捗数
- インサイドセールス(内勤営業)からフィールドセールス(外勤営業)への有効商談のパス件数
- 提案フェーズへ移行した案件のパイプライン(見込み案件)総額
このように段階的な評価指標を設けることで、受注に至る前の小さな成果を正確に把握でき、マーケティング部門と営業部門のモチベーションを維持しながら施策の改善サイクルを回すことができます。
ABMツールの導入・活用事例
ABMツールを導入し、データに基づいたターゲティングと部門間連携を実践することで、BtoB企業は商談化率の向上や受注規模の拡大を実現できます。営業の担当者個人の経験や勘に頼ったリスト作成から脱却し、既存顧客の属性や行動履歴から導き出した「成約確度の高い企業群」へアプローチを集中させることが成果につながるためです。具体的な活用パターンと導入効果は、下表のとおりです。
| 事例のテーマ | 導入前の課題 | 実施した施策 | 得られた成果 |
|---|---|---|---|
| ターゲット企業の明確化 | 営業担当者ごとに架電リストの基準が異なり、商談に至らないアプローチが多い | 高LTV(顧客生涯価値)企業の共通属性を分析し、優先度別のターゲットリストを作成 | 有効な商談化率の大幅な向上と、架電業務の効率化を実現 |
| インサイドセールスとMA連携 | 展示会やWeb広告で獲得したリードへの対応が遅れ、大口案件の機会損失が発生 | ABMツールとMA(マーケティングオートメーション)を連携させ、ターゲット企業のWeb行動をトリガーに即時架電 | 検討初期段階での接点構築に成功し、1社あたりの受注額が増加 |
ターゲット企業の明確化で商談化率が大幅アップした事例
ABMツールの分析機能を用いて自社の優良顧客に共通する特徴を定義し、アプローチ先を絞り込むことで、インサイドセールス(内勤営業)の商談化率は向上します。BtoB取引においては、自社の製品やサービスと親和性の高い業界や企業規模が明確に存在するため、条件に合致する企業へ優先的にリソースを配分することで、無駄な営業活動を削減できるからです。
例えば、法人向けクラウドサービスを提供する企業では、導入前に以下の課題を抱えていました。
- マーケティング部門が獲得したリード(見込み客)に対し、企業規模や業種を問わず上から順番に架電していた
- 商談に進んでも「予算が合わない」「解決したい課題が異なる」といった理由で失注するケースが頻発していた
- 営業担当者が独自にインターネット検索で企業情報を調べており、事前準備に多くの時間を費やしていた
この企業ではABMツールを導入し、過去に成約して長期利用している顧客データをSFA(営業支援システム)から抽出して分析を行いました。その結果、「従業員数300人以上」「特定の基幹システムを導入している」「DX(デジタルトランスフォーメーション)推進部門が存在する」という3つの条件を満たす企業で、解約率が低くLTVが高い傾向が判明しました。
判明した条件をABMツールに設定し、該当する企業群を「ティア1(最優先ターゲット)」としてリスト化しました。インサイドセールス部門はこのリストに集中してアプローチを行い、ツールが自動収集する対象企業の最新ニュースや組織変更の情報を踏まえて、相手企業の課題に即したトークスクリプト(営業台本)で架電を実施しました。過去の取引データから成約条件を可視化してアプローチ先を厳選した結果、架電からの商談化率が大幅に改善しています。
インサイドセールスとMA連携で受注額が増加した事例
ABMツールとMAツールを連携させ、ターゲット企業の担当者が示す検討の兆候(インテントデータ)をリアルタイムに把握してアプローチすることで、大型案件の受注額を増加させることが可能です。エンタープライズ企業(大手企業)向けの営業では、顧客が具体的な比較検討に入る前の情報収集段階で接点を持つことが、競合他社に対する優位性につながるためです。
専門商社やITソリューションを提供する企業において、従来のマーケティング手法では以下の壁に直面することが少なくありません。
- MAツールのスコアリング(行動の点数化)だけでは、個人の関心度は分かっても、狙うべき大手企業かどうかの判別がつかない
- 大口顧客になり得る企業の担当者がWebサイトを閲覧していても、スコアが基準値に達するまで放置され、競合に先を越される
- ひとつの企業内に複数の部署や意思決定者が存在するため、単一の担当者へのアプローチだけでは案件が拡大しない
これを解決するため、ある企業ではABMツールの企業データベースとMAツールを連携させる体制を構築しました。まず、ABMツール上で売上規模が大きく自社製品の導入余地が広い企業群を特定します。次に、その対象企業に所属する人物が自社の料金ページや導入事例ページを閲覧した際、個人の累積スコアにかかわらず、インサイドセールスへ即座に通知が届く仕組みを整えました。
通知を受け取ったインサイドセールスは、閲覧されたページのテーマに沿った資料の案内や、同業他社での活用事例を提示してヒアリングを実施します。さらに、ABMツールで把握した対象企業の組織図をもとに、最初に接点を持った担当者だけでなく、関連する別部署や決裁権を持つ役職者へもアプローチを広げました。ターゲット企業の購買意欲が高まった瞬間を逃さず、組織全体を巻き込む営業活動を展開したことで、1社あたりの受注単価と成約数の双方を引き上げています。
まとめ
ABMツールは、自社にとって価値の高い企業を企業単位で特定し、営業とマーケティングのリソースを集中させるための基盤です。「どのツールを選べばよいか分からない」「狙うべき企業を絞り込めず営業リソースが分散している」という悩みの多くは、ツールの機能不足ではなく、自社の課題がどの工程にあるのかを整理しないまま選定を進めてしまうことに起因します。
選定にあたっては、企業データベース・ターゲティング特化型、インテントデータ・行動履歴分析型、オールインワン・マーケティング連携型という3つのタイプから、自社の課題に合うものを見極めることが出発点です。そのうえで、企業データの量と精度、既存のSFA・MAとの連携性、抽出機能とスコアリング精度、サポート体制と操作性、費用対効果の5つの基準で比較します。ツールはあくまで基盤であり、導入後にターゲットリストを設計し、アプローチ施策を実行し続ける運用体制がなければ成果にはつながりません。効果が出るまでに半年から1年ほどかかることも踏まえ、中間指標を設けて進めることが重要です。
しかし、「ツールを導入しても、ターゲット企業に向けた業界別のホワイトペーパーや導入事例を継続的に制作する体制がない」「MAツールを導入したものの、企業単位のスコアリングやシナリオ設計まで運用しきれていない」「ターゲット企業に届く広告やSEO施策まで手が回らない」といった悩みを抱える企業様も少なくありません。
リードプラスでは、ホワイトペーパーや導入事例などのコンテンツ制作、HubSpotをはじめとしたMAツールの導入・運用支援、ターゲットに的確にアプローチするWeb広告の運用を通じて、ABMツールで見えたターゲットに実際に届ける施策の実行まで一貫してご支援しています。自社のABM推進やツール活用にお悩みの際は、まずはお気軽にご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q1.ABMツールは中小企業でも導入できますか?
導入できます。営業リソースが限られる組織こそ、ターゲットを絞る手法が有効に機能します。BowNowやMusubuのように、初期設定が簡単で段階的に導入できるツールもあります。まずは対象企業を少数に絞り、スモールスタートで始めると、コストを抑えながら効果を確認できます。
Q2.ABMツールとMAは同時に導入する必要がありますか?
必須ではありませんが、併用すると企業の抽出から育成までを効率化できます。ABMツールで狙うべき企業を特定し、MAでその企業の担当者の行動を追跡して、検討が高まったタイミングでインサイドセールスへ通知する流れが作れます。すでにMAを導入している場合は、連携できるABMツールを選ぶと運用負荷を抑えられます。
Q3.ABMツールの導入効果はどのくらいの期間で出ますか?
対象企業の選定や関係構築を伴うため、半年から1年程度の中長期的な運用が前提となります。対象となる大手企業は決裁プロセスも長くなりがちです。最終的な受注額だけでなく、ターゲット企業との接点獲得率や商談のパス件数といった中間指標を設定し、進捗を可視化しながら進めましょう。
Q4.ABMツールのデータ更新頻度はどのくらいですか?
ツールによって異なりますが、リアルタイムから月次単位まで、自動で更新される仕組みが一般的です。企業データの更新頻度、拠点や組織情報の粒度、インテントデータの取得周期は製品ごとに差があるため、導入前に自社のターゲット層でデータの鮮度と網羅性を確認しておくことをおすすめします。
Q5.ABMツールの運用には専任の担当者が必要ですか?
必須ではありませんが、部門間の連携やデータ分析、ターゲットリストの設計を担う推進役を配置することが望ましいです。専任が難しい場合は、ベンダーの導入支援を活用したり、外部のパートナーに運用の一部を委託したりする方法もあります。担当者不在のまま導入すると、ツールが形骸化しやすくなります。
