GA4登場後の1年を振り返る。現状、注目すべき変化や利用実感、データ環境の変化

Googleアナリティクスが新たなバージョン(実質的には新ツール)、Googleアナリティクス 4プロパティ(以降はGA4と記載)への移行が発表された2020年。2021年は、そこから丸一年が経過した年でした。

この記事では2021年末時点のGA4の導入や機能面の状況など、さまざまな視点からまとめていきたいと思います。実際に利用しての所感もまじえます。

Googleアナリティクス

導入状況

GA4が現在どのくらい導入されているのか。多くの方が気になるところだと思います。
これに関しては独自プログラムをもちい、月々の導入割合の推移を公開しているダッシュボードがあります(対象は上場企業のコーポレートサイト)。
それによるとこの記事を書いている時点で最新となる、2021年12月末のGA4導入率は11~12%のようです。

上場企業のGA4導入状況調査レポート
SEM Technology様が調査、公開されているダッシュボードです。

10%をわずかに超える数字を見て、いかがでしょうか。私自身は想像していたよりかなり少ないと思えるものでした。2021年1月時点で2.5%だったことを考えると、一年弱で5倍近くまで伸長。増加率としてはまずまずと言えそうですが、ツールの影響度を考えるとそれほどでもないと思えます。

またプログラムによる調査ということで(SEM Technology様の解説記事によると、HTTPリクエストを見ているとのこと)、実際のアクセス解析にどのくらい利用されているかはわかりません。

もともと「(これまでのGoogleアナリティクスからGA4に移行するから)早めにデータ収集を開始しておいた方がいい」、というアナウンスでした。後で触れるように、周囲のアクセス解析への取り組みやGooogle以外のツールの対応状況などから見ても、実際の利用割合はそれほどでもないと考えています。

なお海外での導入率のデータも探してみましたが、こちらは見つけることができませんでした。

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注目すべき変化

この章では、注目すべき変化に焦点をあてていきます。GA4自体の提供形態、機能やGoogleの他ツールとの連携状況などです。

GA4の提供形態や機能関連でもっとも大きな話題で、かつ進行中なのが「有料版のGA4の登場(Google アナリティクス 4 プロパティ向け 360)」でしょう。進行中としているのは、正式なローンチが2022年のためです。
主な特徴について、標準(無料版)GA4との比較を見ていきましょう。

データ探索のサンプリングの上限は10億イベント

注)「データ探索」とは、GA4で分析をおこなうために自由に表などを作成、さらにテンプレートにもとづきファネルや経路分析をおこなう機能です。GA4での細かな集計、分析には必須といえるレポート機能です。

  • 標準
    クエリごとに 1,000 万件のイベント。
  • 有料版
    クエリごとに 10 億件のイベント。

Googleアナリティクスで有料版を導入する理由のほとんどは、取り扱い可能なデータ量の問題のはずです。これまでのGoogleアナリティクス360を導入しているWebサイトの場合、標準(無料版)のGA4ではこの制限のため活用が難しかったと思いますが、GA4も有料版が出たことでこれが解消されるはずです。

各種上限が引き上げ

データ探索のサンプリング上限が引き上げられる以外にも、さまざまな数値利用の上限が引き上げられます。イベント関連では、次のように拡大されます。

イベントパラメータ

  • イベントごとに25個→100個
  • イベントスコープのカスタムディメンション(プロパティごと):50個→125個
  • イベントスコープのカスタム指標(プロパティごと):50個→125個

ユーザースコープのカスタムディメンション(プロパティごと):25件→100件

イベント関連でここまでの数を使うだろうかという気もしていますが、細かな計測をしているWebサイトやアプリでは、この拡大は歓迎すべきものでしょう。
この他にも「コンバージョン」「オーディエンス」「BigQueryの1日のエクスポート量」などが拡大されます。

その他

その他でも、「非サンプリングレポート」の利用などがアナウンスされています。また英語記事では「sub-properties(サブプロパティ)」という言葉が使われていて、「ビューに近い機能ではないか」という予測がされています。海外の記事でも、「ユニバーサルアナリティクス(これまでのGooogleアナリティクス、以降はUAと記載)のビューとは異なるが、似た機能」という記述が見られます。
すでにGA4を導入の方はご存知と思いますが、GA4はアカウント構成(UAはアカウント-プロパティ-ビュー)が変わり、ビューが存在していません。使っていると大規模なサイトでは特に、データの切り分けがされていないことに不都合を感じる場面もあります。sub-propertiesがビューに近い機能ならば、使い勝手においてプラスになりそうです。

他の機能アップデートについても、実務に大きく影響がありそうなものをいくつかピックアップしておきしょう。

Googleの他サービスとの連携

Googleの他サービスとの連携が増えています。BigQueryやGoogle広告(アドマネージャー)に加え、SearchConsoleもリンク可能に。残るはGoogleオプテマイズです。

GA4登場後の1年を振り返る。現状、注目すべき変化や利用実感、データ環境の変化-1

GA4登場後の1年を振り返る。現状、注目すべき変化や利用実感、データ環境の変化-2

レポートの集客>集客サマリー内にSearchConsoleの項目と数値が反映。

予測指標の使用領域が拡大

GA4の魅力のひとつとされている予測指標。これが「オーディエンス作成ツール」と「セグメントビルダー」の指標選択ツールで利用ができるようになっています。

デフォルトのディメンションに、適用されるパラメータ拡大

GA4はイベントを使った計測が大きな変更点、とよく言われますが、そこに紐づくパラメータも重要です。パラメータはカスタムディメンションに登録しないと使えないものがありますが、拡張計測機能で計測されるパラメータについては、デフォルトで使えるようになっています。たとえばイベント「page_view」の「page_location、page_referrer」、「file_download」の「file_name、link_url」などがこれにあたります。

利用実感(特徴的な機能の紹介と併せて)

ここではGA4の利用を実際に開始しての使用実感を、主な機能面の紹介も併せておこなっていきたいと思います。

セグメントについて

GA4はレポート(標準レポート)に「比較」、データ探索(探索レポート)に「セグメント」という機能がありますが、UAよりも利用幅は狭くなっています。標準レポートの比較は条件を絞って比較をするといった機能で、そもそもの目的も異なります。そのためUAと同じくセグメントという名称の、探索で作成するセグメントに絞った使用実感をお伝えしたいと思います。

不便に感じるのは、つど探索内でセグメントを作成しなければいけないこと。それとセグメントの条件として、指標を利用できないことがあげられます。

一方で「ユーザー」「セッション」「イベント」と3タイプになっていることから、慣れれば分析に幅が出る可能性も感じてはいます。また探索で作成したレポートデータを、右クリックすることでセグメントの作成ができることは便利です。

もともとGoogleアナリティクスで分析をおこなう場合に、セグメントは重要な役割を果たしていました。GA4でもセグメントをどのくらい使いこなせるかが、大きなポイントとなりそうです。

データポータルとの連携はできるが・・・

GA4もGoogleのサービスですから、データポータルとの連携は可能です。やり方はUAと同じで、データソースとして使いたいGA4のプロパティをメニューに従って選択します(UAではビューを選択していた操作です)。

ただし接続しても、GA4の探索で作成したセグメントが利用できません(メニュー選択自体が出てきません)。上でセグメントは分析に不可欠な機能と書いていますが、データポータルでこれを扱えないのは大きなマイナスと考えています。

カスタムディメンションの変化と重要度

これまでのUAでは、カスタムディメンションは独自で計測したい項目が明確にあったりするなど、分析にそれなりに力を入れる場合に使用される機能でした(そのため、使っていないアカウントも多くありました)。

しかしGA4では、単純な数値のチェック以上の分析業務をおこなう場合、カスタムディメンションの使用は必須といえます。独自で設定するパラメータに関しては、カスタムディメンションで設定しないとレポート上で扱うことができないからです。このため、カスタムディメンションへの登録がほぼ必須となります。

またUAでカスタムディメンションを使っている場合、スコープに「セッション」がないのも戸惑うことかもしれません。標準レポートをさわったり、探索で独自のレポートを作成している時とともに、GA4はセッションからユーザーへと分析主体が変わっていることを、強く実感することになります。

GA4の導入は予想より進まなかった

総論となりますが、GA4の導入は予想していたよりも進んでいない気がします。最初に導入割合の定量的なデータを紹介しましたが、それ以外に次のような状況があります。

  • 書籍類は数冊の発刊。入門的な内容。
  • Web上の情報発信やセミナー開催も多くあるが、ほとんどが「GA4とは?」をはじめとする概念や入門的な内容。
  • Google以外のサービス(ツール)で、GA4対応済みを大きくアナウンスしているものは少ない。

2020年末くらいの方が、GA4に関心が高かった印象を受けています。多くの人にとっては未知のツールとなるわけで、明確なロードマップも示されておらず、情報収集に奔走していたという状況だったでしょうか。2021年末にそこまで導入が進んでいないので、ややゆったりとした感じになっている、といったように見えています。

今後の予測

最後にGA4、およびデータまわりについて今後の予測を記しておきましょう。

ここまでは触れていないことですが、分析をおこなう場合にはやはりBigQueryの利用は必須になってきそうです。探索レポートやデータポータルに接続してそれなりに自由度が高いレポートが作れても、分析には物足りなさ、使い勝手の悪さを感じるからです。

もっともこれは、分析のレベル感にもよるでしょう。大きく、次のような分け方になるはずです。

  • 数値の確認:標準レポート
  • データの内訳やユーザー行動など、ある程度の分析:探索レポート(またはデータポータル)
  • 仮説の検証などを含め、深掘りした分析:BigQuery

もちろんBigQueryを使うことで、他のデータ(顧客データ、購買データなど)と連携させた深い分析がおこなえます。データ分析に力を入れていく企業は、これをきっかけにSQLへの取り組みが積極的になりそうです。

一方でこれまでも、「アクセス解析は入れているけど、数値を見るくらい」「簡単な条件のセグメントやフィルタを使った分析はしている」といった、アクセス解析レベルの取り組みまでの企業も多くありました。
今後はその二つが、いっそう分かれていくかもしれません。そして分析のレベルの違いは、デジタルマーケティングの差となっていくでしょう。

BigQueryを扱うにはスキルの取得が必要になるため、マーケティング担当者が誰でもすぐに対応できるものではありません。

それもあって分析のジャンルでも、ノーコードをうたうツールが増えてきています。分析だけではなく「施策と一体になったツールを考えている」という声も聞こえてくるようになっています。これは費用面だけでなく、多くのマーケティング担当者が「データと施策の連携(活用と分析)」を意識しているからでしょう。

これまでもメール配信、広告といった個別の施策には対応できるツールがありましたが、現在のマーケティングはこれだと物足りません。

施策ではなくユーザー単位でこうした連携ができる統合型ツールの検討も、これからは進んでいきそうです。

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