基本的なUIの考え方と、良いUIを制作するために必要な6つのこと

Web制作やアプリ開発の現場において「より良いUIを」と掲げる企業は珍しくありません。というより、ほとんどの企業がユーザーに好まれるUIを目指してるかと思います。

しかし「UIとは何か?そして良いUIとは?」と聞かれてスパッと説明できる方は少ないでしょう。確かになんとはくは知っていても、説明しろと言われると詳しくは説明できないビジネス用語ですよね。

そこで今回は「UIとは?」という基本的な疑問から始まり、良いUIの定義や良いUIを制作するために重要なことなどを紹介していきます。これまでUIを曖昧に理解していた方や、これからUIデザインに携わる方など是非参考にしてみてください。

そもそもUIとは

UIとは「User Inerface:ユーザインターフェース」の頭文字を取ったものであり、日本語に直訳すると「ユーザー接点」となります。

デジタルの分野においては“コンピュータの言語を人間に伝えるための技術”であり、この点に関しては多くの方が認知していることでしょう。もう少し砕けて言うと「コンピュータとユーザーの間で情報をやり取りするためのマウスやアイコンなど」です。

皆さんが普段PCやスマホを使用して目にしている部分は全てUIだと言えますね。

UXとの違い

UIと混同されがちなUX(ユーザーエクスペリエンス)という言葉が存在しますが、今ではUIとセットで語られることがほとんどです。UXを日本語にすると「ユーザー体験」であり、Webサイトやアプリを使用して得られる体験を指します。

例えば「使いやすい」「見やすい」といったのがUIなのに対し、UXは「グラフィックが美しく感動した」「アプリを使用することで割引クーポンがもらえた」といったユーザー自身が体感する体験のことです。

つまり、UIによってユーザーが得られる体験がUXとなります。

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UIが注目される理由

UIという概念は以前からあったももの、注目され出したのはここ最近のことです。まず、そもそも現代におけるUIを作ったのは1984年に当時のApple Computer社(現Apple社)が販売したMacintoshと言われています。

それまでのUIと言えば文字列で操作するものであり、それがMacintoshの登場によりマウスで直感的に操作するGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)が主流となりました。

今でこそマウスのカーソルを合わせてドラッグ&ドロップするといった行動は当たり前ですが、30年以上前に既に誕生していた技術なのです。

台頭となったのはアレ…

Macintoshの登場からApple社を始め、多くの企業によりUIの改良が繰り返されてきました。しかしなぜここ最近になってここまでUIが注目されているのか?

それは、こちらもApple社が2007年に提供開始したiPhoneが台頭となっています。指を使用して画面をスライドさせるという直感的なUIに衝撃を受けた記憶はまだ新しく、当時社会現象になるほど話題を集めました。

何より、それまで卓上のものでしかなかったUIを外に持ち出したということで衝撃を受けたデザイナーも多かったのではないでしょうか。

このiPhoneが提供され出した2007年が、現在の注目されているUIデザインの“元年”と言ってもいいでしょう。

そして現在までUIの重要性は徐々に高まり、今におけるUIの考え方を構築しています。

また、予想以上の速度でスマートフォンやタブレットが普及し、オンライン上でのユーザー行動が急速に多様化したこともUIの重要性に拍車をかけました。

良いUIの定義

それでは、良いUIとは何か?現在様々な意見が飛び交っているテーマでもありますが、ここで定義しておきたいと思います。

中毒的なUI

良いUIとは何か?という質問に対し「洗練されたUI」や「直感的に使用できるUI」と考える方は多いと思いますが、これではまだ少し“弱い”という感じがします。これらは良いUIを制作する上で重要な要素ではありますが、必ずしも「洗練されている・使いやすい=良い」という式は成り立ちません。

もっと具体的に言えば「中毒性のあるUI」が良いUIの定義に当てはまるのではないでしょうか。

つまりどんなに洗練されていて直感的に使用できるUIでも、ユーザーを“惹きつける何か”なければ使い続けられるUIにはなりません。ユーザーが惹きつけられるUIであれば、デザインや使用感が多少悪くてもユーザーはそこに目を瞑り継続的に使用します。

そしてこうした中毒性のあるUIを制作するには、技術力云々よりも企画によるところが大きいのが現実です。

メッセージを適切に伝える

Web制作やアプリ開発など、何事においてもユーザーに対しメッセージを適切に伝えることが大切です。メッセージを適切に伝えるとは「誰に」「何のために」「何をして欲しいか」を明確にするということ。

オウンドメディアならば「自社の潜在顧客に対し」「自社のサービスを利用してもらうために」「コンテンツを受け取って欲しい」など、提供するWebサイトやアプリによってそれぞれメッセージが異なります。

こうしたメッセージを適切に伝えることができるUIは「良いUI」と言えるでしょう。

主役を阻害しない

今後も重要性が高まっていくであろうUIですがあくまで「縁の下の力持ち」であることを忘れてはいけません。主役はあくまでコンテンツであり、UIはそれをユーザーに使いやすく提供するためのものです。

つまりUIがコンテンツを阻害していては「良いUI」とは言えないのです。

良いUIを制作するために必要な6つのこと

最後に、良いUIを制作するために重要なことをいくつかまとめておきます。

1. 様々なUIを体験(インプット)する

「良いUI」を制作するためには、常に様々なUIを体験する必要があります。つまり他者が開発した良いUIに触れて、その中から情報をインプットし自分の中にナレッジを蓄積していくということです。

デザインの分野において他者の作品に新たなアイディアをインスパイアされるということは珍しくありませんが、UIに関しても同じことが言えます。また、可能であればインプットするだけでなくアウトプットしていくことが大切です。

インプットする側から徐々にアウトプットしていく側に回ることで、スキルが向上し他者からインスパイアされたものではなく独自のアイディアが生まれていきます。

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2. 大手企業サイトのUIを参考にする

UIをインプットする際に参考にして欲しいのが、大手企業が運営するWebサイトやアプリなどです。なぜかと言うと、大手企業で制作されたWebサイトやアプリは既に幾度もの改善が加えられ提供されているものだからです。

つまりそういったWebサイトやアプリのUIをインプットすることで、効率的に良いUIを取り入れることができます。

ただし、同業をベンチマークするとかなり類似してしまうので、他業種で参考になるUIを見つけるといいでしょう。

3. 具体的なターゲットを設定する

Webサイト制作やアプリ開発にあたりターゲットとなるユーザーを定めるかと思いますが、UIデザインにおいてもしっかりとターゲットを定めましょう。

例えばビジネスメディアなら「30代男性のビジネスマン」など幅広いターゲットではなく、「30代男性、商社に勤めておりマーケティング部に所属。業務効率化のためにマーケティングオートメーションを導入したいと考えている」といったように具体的なターゲットを設定することが大切です。

万人に受けるUIというものは存在しません。具体的に定めたターゲットに向けた良いUIを作ることが重要です。

4. 深層的なユーザーニーズを理解する

先ほどのターゲットの例を挙げるなら、表面的なニーズは「業務効率化がしたい」「マーケティングオートメーションを導入したい」です。しかし、こうしたニーズの裏には必ず深層的なニーズが存在します。

「価格比較がしたい」「どういった機能があるか知りたい」「できればデモをいじってみたい」などなど、こうした深層的なニーズを把握することで最適なUIが見てきます。

5. 情報に優先順位をつける

ユーザーに伝えたい情報には優先順位を付け、しっかりと伝わるよう工夫を凝らすことも大切です。例えば色やサイズを変更しコントラストを強めたり、動的なアピールを取り入れてもいいかもしれません。

また、こちらから一方的に伝えたい情報ではなく、ユーザーニーズを捉えた上でアピールする必要があります。

6. 情報を盛り込みすぎない

情報を精査して優先順位を付けたとしても、盛り込み過ぎることで結局何が伝えたいのかが不明確になってしまいます。

UIデザインの目的に応じて盛り込むべき情報の数を限定しましょう。

まとめ

いかがでしょうか?より良いUIを制作するためには、何よりもまずUIについて理解しておく必要があります。UIとは何なのか?良いUIの定義とは?そして、良いUIを制作するためには?こうした事項をきちんと理解することで、初めて良いUIを制作するための基盤が作られます。

あとは、継続して情報をインプット・アウトプットしつつ積極的にUIを制作していくことです。「とにかく作ること」で見えてくるものもあり、また独自の体験としてノウハウを蓄積していくことができます。

また、重要なのはやはり「UIデザインが好きなこと」ですね。「仕事をしている」という意識のもとでUIを制作するのではなく、生活の一部としてUI制作に携わっている人の方がやはり成長は早いでしょう。

本稿にて紹介した内容を踏まえつつ自社・自身にとっての「良いUI」の定義を見つけ、今後も重要性が高まっていくUIについて深く考えてみてください。

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