検索キーワードから紐解く業界分析:リフォーム業界編
検索キーワードから紐解く業界分析シリーズ:リフォーム業界編
デジタルマーケティングにおけるテクノロジーの発展に伴い、サイトやユーザー分析の手法は日進月歩で進化しています。しかしながら、カスタマージャーニーやUI/UXがフォーカスされる一方で、業界や市場全体の動向を追跡するような「マクロ視点」のスキームは取りざたされることが少なくなっているのではないでしょうか。
「木を見て森を見ず」
と言われるような状況に陥らないよう、本シリーズでは様々なデータから「業界」や「市場」といった大枠のトレンドを分析し、戦略に落とし込んでいくための手法を紹介、解説していきます。
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今回SimilarWebを活用して分析する業界は、リフォーム業界です。
■SimilarWeb(シミラーウェブ)とは
シミラーウェブは、世界中から収集したウェブサイト上での匿名の行動データやパートナー企業からの分析データ、独自のクローラーによって収集した広告データ/Meta情報などと併せて機械学習を介することで、精度の高いウェブのトラフィックデータを提供しています。通常の解析ツールでは取得できない競合サイトのアクセスデータを統計的に分析することができます。
「リフォーム」業界動向
業界全体のトラフィック動向
矢野経済研究所の調査(今年の3月に発表した住宅リフォーム市場に関するプレスリリース)によれば、その市場規模は、6.5兆(2019)、6.5兆(2020)、6.9兆(2021)と推移し、2022年は約6.5~7.0兆円で着地すると予測しています。
同研究所は、2020年に伸びを欠いたのは、新型コロナの感染拡大に伴い、2020年4月に最初の緊急事態宣言が発出され、他の業界と同様に多くのリフォーム事業者が営業自粛に追い込まれましたことが影響しているとしています。
また2021年に約6%の成長を見せたのは、リモートワークやオンライン商談の浸透で営業面での障壁が下がる一方で、自宅で過ごす時間が増えた消費者の住空間への関心が高まったことがリフォーム業界にとって追い風なったと分析しています。
事業環境の変化による影響を受けながらも堅調に推移するリフォーム業界ですが、デジタルの側面ではどのような動きがあるのか、本題の検索キーワードに入る前に、全体的なトラフィックトレンドを見ておきます。
リフォーム業界といっても事業者の数は非常に多く、建築許可業者の中の「建築工業」カテゴリだけでも15万業者という数に上ります。その中でも、事業規模の大きなリフォーム事業者の28サイトをピックアップしてカスタムカテゴリを作成し、そのトラフィックの動向を見ていきます。
下の画面が、過去3年間のカスタムカテゴリ全体のトラフィック推移を示したものです。全体的なトレンドとしては、2020年は前年からの変化は漸増ですが、2021年は大きく伸ばしていることがわかります。6月単月の合計セッション数で見ると、1.281M(2019年)⇒1.382M(2020年)⇒1.529M(2021年)⇒1.467M(2022年)と推移。2021年は前年同月比で8%増でしたが、2021年はそれを上回る11%増となっており、矢野経済による市場規模の推計推移と類似する傾向を見ることができます。

この上位5サイトの顔ぶれだけを見ても、大手ディベロッパー系のsokkuri3.com、sumirin-ht.co.jp、小売系のreform.cainz.com、リフォーム専業系のokuta.com、そして住宅設備機器・建材メーカー系のyutoriform.comと、リフォーム業界には様々な種類の事業者が参入していることがわかります。
次にデバイス分布ですが、3年間トータルでデスクトップが22.37%、モバイルが77.67%のシェアで、典型的な消費者向けサービスの特徴を示しています。

各リフォーム事業者のトラフィックトレンド
3年間で業界全体のトラフィックは安定的に成長していること、また様々な種類の事業者が参入していることがわかりましたが、もう少し事業者ごとの動向を深堀りしてみましょう。そこで各サイトの過去3年間(7月単月)の訪問数と昨対比をまとめました。カスタムカテゴリのトラフィックと比較しながら見ていきます。
住友不動産のsokkuri3.comは唯一、カスタムカテゴリの成長率を3年間続けて上回る成長率でトラフィックを伸ばし、トップをキープしています。それに対して、ランキング2位のsumirin-ht.co.jpは、2021年に前年から大きくトラフィックを減らし(48%減)、3年間トータルで見ると15%のマイナス成長です。ランキング3位のreform.cainz.comは、2021年4月にサイトを公開したにも関わらず、わずか1.5年でsumirin-ht.co.jpに迫る勢いです。
カインズは、ホームセンターという小売業での設備機器の販売や施工から、工事を依頼するチャネルとしての認知が徐々に高まっていると見ることができます。ただし同じ小売系事業者のエディオンリフォーム(reform.edion.jp)は、トラフィックを大きく減らしており、明暗を分けています。
上位5サイトの訪問数と6位以下のサイトでは訪問数で3倍以上の開きがありますが、中でもリフォームの売上げ上位の積水ハウスグループ、大和ハウスグループ、ミサワホームグループ、パナソニックホームズ、三井不動産グループのリフォーム専用サイトのトラフィックが伸びを欠いていのが特徴的です。パナソニックホームズのパナソニックリフォーム(home-renovation.panasonic.com)、三井不動産グループの三井のリフォーム(mitsui-reform.com)、ミサワグループのミサワリフォーム(misawa-reform.co.jp)、大和ハウスグループの大和ハウスリフォーム(daiwahouse-reform.co.jp)、積水ハウスグループの積水ハウスリフォーム(sekisuihousereform.co.jp)がそれらに該当します。
次のセクションでご紹介する通り、検索エンジン経由の集客ではブランド認知が重要視されていることから、これらサイトは、ブランド力は強いもののコンテンツ提供の面で弱い可能性が考えられます。
そのほか全体的な傾向としては、各サイトともトラフィックの増減が激しく、非常に競争的な環境であることがわかります。SEOを含めた集客施策の展開によっては、下位の事業者であっても大きくトラフィックを伸ばすことのできる余地が十分が存在する状況といっていいでしょう。
2019年7月 |
2020年7月 |
2021年7月 |
2022年7月 |
||||
訪問数 |
訪問数 |
昨対比 |
訪問数 |
昨対比 |
訪問数 |
昨対比 |
|
カスタムカテゴリ全体 |
1.281M |
1.382M |
108% |
1.529M |
111% |
1.467M |
96% |
369,084 |
474,432 |
129% |
537,762 |
113% |
585,142 |
109% |
|
210,241 |
250,208 |
119% |
130,401 |
52% |
179,240 |
137% |
|
- |
- |
- |
145,356 |
- |
156,457 |
108% |
|
204,974 |
170,140 |
83% |
186,113 |
109% |
131,482 |
71% |
|
129,163 |
99,359 |
77% |
111,910 |
113% |
118,591 |
106% |
|
54,224 |
43,936 |
81% |
54,883 |
125% |
38,011 |
69% |
|
48,157 |
47,620 |
99% |
76,097 |
160% |
32,293 |
42% |
|
25,809 |
24,323 |
94% |
19,323 |
79% |
25,102 |
130% |
|
38,482 |
27,338 |
71% |
22,774 |
83% |
24,834 |
109% |
|
11,604 |
11,757 |
101% |
10,275 |
87% |
21,284 |
207% |
|
6,618 |
12,414 |
187% |
22,785 |
184% |
20,826 |
91% |
|
16,706 |
15,601 |
93% |
20,397 |
131% |
20,463 |
100% |
|
8,142 |
15,168 |
186% |
18,540 |
122% |
17,597 |
95% |
|
37,747 |
60,441 |
160% |
32,443 |
54% |
16,735 |
|
|
31,901 |
14,297 |
45% |
17,197 |
120% |
13,234 |
77% |
|
8,222 |
10,653 |
130% |
19,698 |
185% |
11,935 |
61% |
|
19,151 |
25,558 |
133% |
10,997 |
43% |
11,209 |
102% |
|
8,865 |
12,542 |
141% |
14,949 |
119% |
10,258 |
69% |
|
14,835 |
19,570 |
132% |
12,716 |
65% |
8,295 |
65% |
|
- |
6,089 |
- |
< 5,000 |
82% |
7,382 |
148% |
|
18,153 |
14,267 |
78% |
9,754 |
68% |
< 5,000 |
51% |
|
< 5,000 |
12,826 |
257% |
19,650 |
153% |
< 5,000 |
25% |
|
< 5,000 |
< 5,000 |
- |
18,846 |
377% |
< 5,000 |
27% |
|
6,615 |
< 5,000 |
76% |
< 5,000 |
- |
< 5,000 |
- |
|
< 5,000 |
< 5,000 |
- |
7,488 |
150% |
< 5,000 |
- |
|
< 5,000 |
< 5,000 |
- |
< 5,000 |
- |
< 5,000 |
- |
|
< 5,000 |
< 5,000 |
- |
< 5,000 |
- |
< 5,000 |
- |
|
- |
< 5,000 |
- |
- |
- |
< 5,000 |
- |
サイトオーディエンスの性別と年齢層
このセクションの最後に、リフォーム事業者のサイトにアクセスするオーディエンスの男女比、年齢層についてふれておきます。今回作成したカスタムカテゴリの利用者層は下記の通り、性別はほぼ男女半々、若干女性が多くなっています。
年齢層は、25-34歳と35-44歳が最も多く、それに次ぐのが45-54歳となっています。かつてリフォームのメインターゲットは高齢者という時代もありましたが、現在では少なくともオンラインの世界では、20代後半から50代前半がメインのターゲットと考えていいでしょう。
ターゲット顧客をどこに絞るのかは、各事業者で異なるとは思いますが、このデータを参考に、自社にとってのターゲットユーザーを明確に設定した上で集客施策を企画・実施することが重要です。ぜひ参考にしてください。

マーケティングチャネルの動向
業界全体のマーケティングチャネル別トラフィックシェア
業界についての理解を深めるために、マーケティングチャネル別のトラフィックから、この業界における集客構造を見ておきましょう。下のチャートがカスタムカテゴリの直近1年間(2021年8月-2022年7月)のチャネル別トラフィックシェアです。対象デバイスはデスクトップのみとなります。
最もトラフィックシェアが大きいチャネルはオーガニック検索の59.5%で、検索エンジンからの流入依存度がきわめて高いのが特徴です。それに次ぐのがダイレクト(ブックマークやURL直接入力など)ですが、その依存度は19.96%と大きく下がります。
ダイレクトトラフィックは実際のサービス利用やサービスに関心の高いリピート訪問者からのアクセスですが、この数字からは、リフォームに関する情報収集や事業者の選定では、消費者は特定の事業者に固執せず、リフォームの内容に応じて幅広い選択肢の中で情報を収集していることが推測できます。
3番目のトラフィックシェアとなったのがリファラルで、この業界ではリフォームへの興味や関心の高いオーディエンスを、他のサイト(リファラルサイト)からのリンククリックを通じて集客していることがわかります。
また、有料検索とディスプレイ広告を合わせた有料広告からのトラフィックシェアが、リファラルを上回る9.04%となっており、広告への投資も積極的であることがわかります。

トラフィック上位サイトのチャネル別トラフィック
次に、トラフィック上位5サイトのマーケティングチャネルを比較してみましょう。期間は1年間(2021年8月〜2022年7月)、デスクトップとモバイルトラフィックの合算です。 業界平均からだけでは見えてこない、上位各社の集客戦略に違いはあるのでしょうか。
最初のチャートはチャネル別の総訪問数です。トラフィックシェア上位3つのチャネル(ダイレクト、リファラル、検索)について見てみると、住友不動産のsokkuri3.comが3つすべてで、他の4サイトを引き離して多くのトラフィックを獲得しています。
特に、ダイレクトとリファラルに関しては、圧倒的に多くのトラフィックを獲得しています。リファラルからのトラフィックが多いということは、戦略的にリファラルパートナーの選定や最適化を行っていことを示唆しています。
検索トラフィックに関しては、住友林業のリフォーム(sumirin-ht.co.jp)がsokkuri3.comに肉薄しており、その他の3サイトの検索トラフィックと比較すると、2倍以上の開きがあります。上位2社はブランド力もあるため、ブランドキーワードからの流入ボリュームが多いと思われますが、コンテンツの面でも他の事業者が参考にすべき企画のヒントが得られる可能性があります。

次にチャネル別のトラフィックシェアのチャートです。これを見ると各サイトの特性がより鮮明にわかります。まず、sokkuri3.comは、3チャネルのトラフィックシェアがどれか一つに偏ることなく分散されており、リピートユーザーの獲得と新規の見込み客の獲得が両方が非常にバランスよく実現できています。
それに対してreform.cainz.comを除いた他の3サイトは検索トラフィックのシェアが、sumirin-ht.co.jpが70.49%、okuta.comが66.87%、yutoriform.comが74.45%と、カスタムカテゴリ全体の検索トラフィックシェア(59.5%)を大きく上回っています。これらのサイトはリファラルの活用が十分できていない可能性が高く、言い換えればここにトラフィックを大きく成長させる機会があるということです。

検索キーワードの動向
ブランドキーワードからのトラフィック
まず、オーガニック検索トラフィックの中でブランドキーワードがどの程度含まれているのか見ておきます。主要なブランド名をまとめたのが下の表です。これらブランドキーワードを含む検索キーワードを抽出した中の上位20がその下のキャプチャ画面です。
ドメイン |
ブランド名 |
sokkuri3.com |
新築そっくりさん / 住友不動産 |
sumirin-ht.co.jp |
住友林業 |
reform.cainz.com |
カインズ / カインズホーム / CAINZ |
yutoriform.com |
BXゆとりフォーム / 文化シヤッター |
stylekoubou.com |
スタイル工房 |
okuta.com |
LOHAS studio / ロハススタジオ / OKUTA |
reform.edion.jp |
エディオン / edion |
home-renovation.panasonic.com |
パナソニック / パナソニックリフォーム |
tokyu-re-design.co.jp |
東急 / 東急Re・デザイン |
mitsui-reform.com |
三井のリフォーム / 三井デザインテック |
daiwahouse-reform.co.jp |
大和ハウスリフォーム |
sekisuihousereform.co.jp |
積水ハウスリフォーム |
最も多くのトラフィックを獲得したブランドキーワードが「新築そっくりさん」で、これ1つで4.65%のトラフィックシェアとなっています。また、全体としては、住友林業や住友不動産、積水ハウス、パナソニックなどの著名な企業ブランドが強いことがわかります。
また、小売ブランドのエディオンやカインズのリフォームに対する認知が高いことも特筆すべき点です。そのほか、リフォーム専業系では、首都圏を拠点にリノベーション・リフォームをメインに手がけるスタイル工房(stylekoubou.com)が16位にランクインし、知名度が高いことを示しています。
ブランド名を含む検索キーワードのシェアは全体で50%を超えており、残りの50%弱のトラフィックをいかに獲得できるかが、検索エンジン対策における鍵となります。

上位の非ブランドキーワードの傾向や特徴
次に、非ブランドキーワードにはどのような傾向や特徴があるのかを、検索トラフィック上位50位までの非ブランドキーワードリストに基づいて確認してみます。下記がピックアップした50キーワードと獲得トラフィックのトラフィックシェアをまとめたものです。
これらワードを分類すると、
【分類1】リフォームの対象を指定して情報を探している(合計トラフィックシェア:3.61%)
【分類2】リフォーム、リノベーションを含むキーワードで情報を探している(同3.41%)
【分類3】シニア向け健康情報を探している(同0.69%)
【分類4】補助金や費用に関する情報を探している(同0.56%)
以上の4つに分けることができそうです。

【分類1】リフォームの対象を指定して情報を探している(合計トラフィックシェア:3.61%)
分類1はリフォームの対象を示すキーワードですが、マンション、古民家といった住居のタイプを示すものと、「カーポート」「物置」「キッチン」「ユニットバス」「上がり框」「風呂」などな具体的なリフォーム対象となる箇所を示すもの、そして「外装塗装」「内装」など工事の種類を示すものの3種類に大きく分けられます。
特に後者の2つの種類の情報を検索しているユーザーは、リフォームニーズが具体的で強いと思われるため検索エンジン対策の上ではターゲットとしたい領域です。上位50位での合計トラフィックシェアはわずか3.61%ですが、全体で見ると大きなボリュームになります。
果たしてどの程度の検索ボリュームがあるのか確認してみると、下記の通り、年間通じて一定の数があることがわかります。この単一ワードだけではなく、リフォームなど他のキーワードの組み合わせも含めてこの領域で検索エンジン対策を実施することは、事業者にとっては必須と思われます。

【分類2】リフォーム、リノベーションを含むキーワードで情報を探している(同3.41%)
分類2は、リフォーム、リノベーションを含むキーワード検索で、上位50位での合計トラフィックシェアは3.41%です。単一のキーワードだけでなく、他のキーワードとの組み合わせでの検索も多く、各単語を含む検索キーワード上位10個をピックアップしたのが下の画像です。

【分類3】シニア向け健康情報を探している(同0.69%)
分類3は、シニア向け健康情報に関する検索キーワードで、合計トラフィックシェアは0.69%です。リフォーム事業者サイトとシニア向け健康情報は結びつきにくいのですが、実はこれらの検索キーワードからのトラフィックは、すべて住友林業のリフォーム(sumirin-ht.co.jp)サイトの「暮らしのこれから -人生をより豊かに、より楽しくする-」(sumirin-ht.co.jp/oyakudachi/)というコンテンツに着地しています。
下の画面は、このコンテンツへのアクセスが発生したデスクトップにおける検索キーワードトップ10です。健康情報サイトへの検索キーワードかと勘違いしそうですが、上記コンテンツへの検索キーワードです。

このコンテンツは50代以上の男女をターゲットに、リフォームにこだわらず「夫婦・家族」「お金・資産」「美容」「健康」などの幅広いジャンルをカバーするライフスタイルマガジンで、比較的お金に余裕のあるユーザー層との接点をつくることを目的として作成されたものと思われます。
検索で訪れたユーザーは、コンテンツ内のあちこちに設置された導線を経由して、住友林業のリフォームに関するコンテンツにふれるように設計されています。
直近の1年間で、デスクトップで284,018、スマホで575,756の訪問数を獲得していますが、そこから他ページへの回遊を考えると、サイトとの接触数は非常に大きな数字となります。
【分類4】補助金や費用に関する情報を探している(同0.56%)
分類4は、補助金や費用に関連するキーワードで、トラフィックシェアは0.56%です。「費用」「補助金」のほか、国土交通省による補助金事業の「こどもみらい住宅支援」という具体的な名前での検索も含まれています。
「費用」と「補助金」を含むキーワードの上位10をピックアップしたのが下の画面ですが、費用を気にしているのはどちらかといえば費用がより多くリノベーションに関する情報を検索するユーザーのようです。
細かい修繕などにリフォームに関連する検索キーワードで費用を含むものは、数は多いのですが、検索トラフィックのボリュームとしてはそれほど多くない印象です。

4.トラフィック獲得の新たな機会
リフォームの対象箇所を含むキーワード
リフォーム事業者がトラフィックを拡大する上で、注目すべき検索キーワードの領域はどこでしょうか。前セクション【分類1】のリフォームの対象を指定して情報を探している検索キーワードが、リフォームやリノベーションに対するニーズが明確で、最も優先されるべきでしょう。
「カーポート」「物置」「キッチン」「ユニットバス」「上がり框」「風呂」などは、関連するキーワードとの組み合わせも考慮してコンテツを提供することで一定の検索トラフィックを獲得することが見込めます。
また、「太陽光」や「ev充電設備」など、ここ数年でトレンドキーワードとして注目されたものはしっかり押さえて、トラフィックが得られる機会を損失しないようにしておきたいところです。
下記は太陽光を含む検索キーワードの獲得トラフィックと検索回数トレンドを表示した画面ですが、現在でもリフォームの対象として一定の検索回数があることがわかります。

事例関連コンテンツ
検索トラフィック上位50位までの中には、「施工事例」というキーワードが一つだけランクインしていますが、リフォーム事業者の実績を見たいという消費者のニーズは高いのではないでしょうか。
そこで事例を含むキーワードを抽出してみると、一定のトラフィックが発生しいることがわかります。規模の小さな事業者でも事例コンテンツを丁寧につくることで、新規のトラフィックを獲得できる可能性があると思われます。

ライフスタイルに関連するコンテンツ
前セクションでご紹介した、住友林業のリフォーム(sumirin-ht.co.jp)サイトの「暮らしのこれから -人生をより豊かに、より楽しくする-」というコンテンツは、年間で80万以上の訪問を獲得しています。
こうしたライフスタイルコンテンツは、大きなトラフィックを獲得できる可能性を秘めていることから、この領域でのトラフィック獲得の可能性を探すというオプションも検討したいところです。
ただし、住友林業と同じターゲットである必要はありません。例えばもう少し若い年齢層にターゲットを絞って、例えば「安く簡単に自分たちでできる生活空間の快適化術」のようなコンテンツはどうでしょうか。
こういう領域で、ブランドと接触する機会をつくることで、リフォームニーズが発生したときにブランド指名してもらう、あるいは発注先の選択肢の一つに自社を含めてもらうことは可能です。
現状でも、下記の通りDIY系コンテンツを求める検索キーワードの流入は確実にありますから、これを一つの参考に企画を深堀りしていくと、面白いコンテンツがつくれるかもしれません。

まとめ
今回は、リフォーム業界の主要なプレーヤーのトラフィックを、マーケティングチャネルと検索キーワードを中心に多面的に分析しました。
この業界は、様々な分野から多数の事業者が参入していることが特徴で、非常に競争的な環境にあります。
例えば、ホームセンターを展開しているカインズのリフォーム事業サイトがわずか2年でトラフィック上位に食い込む一方で、大手ハウスメーカー系列のリフォーム事業者がトラフィックを大きく減らしたりといったことが起きています。
新規顧客の獲得という意味では、他の業界の例にもれずオーガニック検索が鍵を握っていますが、この業界の特徴はブランド指名の検索キーワードが多いことです。オーガニック検索の半数がブランド名を含むキーワードで、その点では規模が小さい事業者にとっては、いかに非ブランドの検索キーワードでパフォーマンスを高めるかが重要です。
しかし、キーワードを分析してみると、新規参入者あるいはトラフィック下位の事業者にも、検索トラフィックを大きく伸ばす余地が十分ありそうです。
リードプラス株式会社では、Webのトラフィック、キーワードなどのデータを様々なテクノロジーを活用し、広告運用代行のご提案を行っておりますので、お気軽にご相談ください。
※本記事はマーケットインテリジェンスツール「SimilarWeb(シミラーウェブ)」のデータを多く引用しております。SimilarWebはパネルデータを基にした統計・推計のデータであることを理解しており、傾向やトレンドを探る目的で利用しています。本記事および記事内に含まれるデータ、見解は特定の第三者を評価するものではございません。