【3分で理解】デジタルマーケティングとWebマーケティングの違いを徹底比較!自社に合う施策の選び方
この記事で分かること
- 対象範囲と活用データによる両者の決定的な違い
- SEOやMAツールなど3つの観点で比較する具体的な手法
- 自社の課題や予算に応じた最適な施策の選び方
オンライン完結で少額から集客したい場合はWebマーケティング、オフラインデータも統合しLTV向上を目指す場合はデジタルマーケティングが適しています。この記事を読むことで、両者の対象チャネルや目的の差が明確になり、自社の状況に合った無駄のない施策を選択できます。
【3分で理解】デジタルマーケティングとWebマーケティングの決定的な違い
デジタルマーケティングとWebマーケティングの決定的な違いは、施策の対象となる範囲がWeb上に限定されるか、オフラインも含めたデジタルデータ全体に及ぶかという点です。WebマーケティングがWebサイトを中心としたオンライン施策を指すのに対し、デジタルマーケティングは実店舗や営業活動などで得られるあらゆるデジタルデータを統合して活用します。
両者の概要の違いは、下表のとおりです。
| 比較項目 | Webマーケティング | デジタルマーケティング |
|---|---|---|
| 対象範囲 | Webサイトおよびインターネット上に限定 | オンラインに加え、実店舗やオフライン接点も含む |
| 主な活用データ | Webサイトのアクセス履歴、検索キーワード | Web行動履歴、アプリ利用履歴、実店舗のPOSデータ、位置情報 |
| 主な目的 | Webサイトへの集客とサイト内での成果獲得 | 顧客体験(CX)の向上と顧客生涯価値(LTV)の最大化 |
マーケティング全体における両者の位置づけと包含関係
マーケティング全体において、Webマーケティングはデジタルマーケティングの一部に含まれる包含関係にあります。商品の企画から販売促進までの仕組みを作るマーケティング全体のなかにデジタル技術を活用する「デジタルマーケティング」が存在し、そのなかでWeb領域に特化したものが「Webマーケティング」と位置づけられます。
それぞれの階層ごとの領域は、以下のとおりです。
- マーケティング全体:市場調査、商品開発、広報、実店舗での販売促進、看板広告やテレビCMなどのマス広告を含むすべての企業活動
- デジタルマーケティング:マーケティング活動のうち、オンライン・オフラインを問わずデジタルデータやIT技術を活用するすべての施策
- Webマーケティング:デジタルマーケティングのうち、Webサイトやインターネット上のメディアを主軸として展開する施策
スマートフォンやクラウドシステムが普及したことで、企業のマーケティング活動はWebブラウザの中だけでなく、スマートフォンアプリや実店舗の会員証システムなどへ広がりました。そのため、Web上の施策に留まらず、デジタル接点全体を統合して管理するデジタルマーケティングの重要性が高まっています。
Webマーケティングの定義(Webサイトを中心とした施策)
Webマーケティングとは、自社のWebサイトやECサイトを中心として、インターネット上で集客から販売・問い合わせ獲得までを行うマーケティング手法です。検索エンジンやSNS、Web広告などを経由してユーザーを自社のWebサイトへ誘導し、サイト内で商品購入や資料請求などのコンバージョン(最終的な成果)を達成することを目的としています。
Webマーケティングが選ばれる理由は、すべての行動がブラウザ上で完結するため、施策ごとの費用対効果を正確に計測できる点にあります。GA4(Google アナリティクス 4)などのアクセス解析ツールを導入することで、「どの広告から何人が訪問し、どのページを見て購入したか」を数値で把握し、改善を繰り返すことが可能です。
たとえば、BtoCのECサイト運営企業が検索結果の上位表示を目指してサイト構造を改善したり、BtoB企業がWeb広告を出稿して見込み客にホワイトペーパー(お役立ち資料)をダウンロードしてもらったりする活動が該当します。
デジタルマーケティングの定義(全デジタル接点とデータを活用する施策)
デジタルマーケティングとは、Webサイト上の行動履歴だけでなく、スマートフォンアプリ、実店舗の購買履歴、営業部門の商談記録など、あらゆる顧客接点(タッチポイント)で発生するデジタルデータを活用する手法です。オンラインとオフラインの垣根を越えてデータを一元管理し、顧客一人ひとりの状況に合わせたアプローチを行う点が特徴です。
顧客は現在、SNSで商品を知り、実店舗で実物を確認してからECサイトで購入するなど、複数のチャネルを横断して購買行動をとります。Webサイトのデータだけを分析していても顧客の全体像は把握できないため、オフラインの行動データも含めた統合的な分析とアプローチが欠かせません。
具体的には、実店舗のレジで提示されたスマートフォンアプリの会員証データ(POSデータ)と、自社のECサイトの閲覧履歴を連携させる施策が挙げられます。店舗で特定の商品を購入した顧客に対し、後日アプリやメールで関連商品のクーポンを配信したり、BtoBにおいて展示会での名刺交換データとWebサイトの閲覧履歴を結びつけて営業担当者が連絡したりする取り組みがデジタルマーケティングに該当します。
デジタルマーケティングとWebマーケティングの違いを3つの観点で徹底比較
デジタルマーケティングとWebマーケティングは、アプローチする顧客接点の広さ、分析するデータの深さ、そして達成すべき最終目標の3点において明確な違いがあります。Webマーケティングが自社のWebサイトを中心としたオンライン上の集客・獲得に注力するのに対し、デジタルマーケティングは実店舗や営業活動を含むあらゆる接点のデータを統合し、顧客体験全体の最適化を図ります。
両者の違いを3つの観点で整理すると、下表のとおりです。
| 比較の観点 | Webマーケティング | デジタルマーケティング |
|---|---|---|
| 対象とするチャネルや顧客接点 | Webサイト、検索エンジン、Web広告、SNSなどのオンライン領域に限定 | オンライン領域に加え、実店舗、スマートフォンアプリ、営業部門、IoT機器などのオフライン領域も包含 |
| 収集・分析するデータの種類 | ページ閲覧数、流入経路、クリック率などのWebサイト内行動履歴 | Web行動履歴に加え、店舗のPOS(販売時点情報管理)データ、位置情報、商談履歴、会員属性データなど |
| 最終的な目的 | Webサイトへの集客とコンバージョン(問い合わせ・購入など)の獲得 | CX(顧客体験)の向上とLTV(顧客生涯価値)の最大化 |
観点1 対象とするチャネルや顧客接点(オンラインとオフライン)
対象とするチャネル(集客経路や媒体)は、Webマーケティングがブラウザを中心とするオンライン上に限定されるのに対し、デジタルマーケティングはオフラインの顧客接点まで広く包含します。
消費者がスマートフォンや実店舗を自由に行き来して購買行動をとるようになり、企業のマーケティング活動もWebサイトの中だけでは完結しなくなったためです。Webサイトへの流入から離脱までを追うだけでは、その後に実店舗で購入したのか、あるいは営業担当者との商談に至ったのかという顧客の動きを正確に把握できません。
それぞれの領域で扱う具体的なチャネルは、以下のとおりです。
- Webマーケティングの主な接点:コーポレートサイト、ECサイト、LP(ランディングページ:広告などの飛び先となる縦長の専用ページ)、検索エンジン、Web広告、SNS
- デジタルマーケティングの主な接点:上記のWeb接点すべて、スマートフォンアプリ、実店舗のデジタルサイネージ(電子看板)、店頭のレジ(POSシステム)、展示会・セミナー、営業部門の対面・オンライン商談
例えば、BtoC(企業対消費者取引)のアパレル企業であれば、ECサイト内での接客はWebマーケティングの領域ですが、店舗で試着した商品のバーコードを専用アプリで読み取り、後からオンラインで購入できるようにする仕組みはデジタルマーケティングの領域となります。また、BtoB(企業間取引)においても、Webサイトでの資料請求だけでなく、展示会での名刺交換やインサイドセールス(内勤型営業)による架電といったオフライン・人的な接点を組み合わせて管理するのがデジタルマーケティングの特徴です。
観点2 収集・分析するデータの種類(行動履歴やAI・IoTデータ)
扱うデータの種類において、Webマーケティングは「Webサイト上の行動ログ」を主に分析しますが、デジタルマーケティングは「個人の属性やオフラインでの行動履歴、IoT(モノのインターネット)機器から得られるデータ」まで統合して分析します。
Webマーケティングでは、GA4(Google アナリティクス 4:Webサイトやアプリのアクセス解析ツール)などを用いて、匿名のユーザーがどの検索キーワードで流入し、どのページを何秒見たかという点に焦点を当てます。一方、デジタルマーケティングでは、会員IDや顧客番号を軸として、オンラインとオフラインのデータを一人ひとりの顧客単位で紐づけます。
両者が収集・分析する主なデータの違いは、下表のとおりです。
| データの分類 | Webマーケティングで扱うデータ | デジタルマーケティングで扱うデータ |
|---|---|---|
| 識別単位 | ブラウザやデバイス単位(Cookieなどの匿名データ中心) | 顧客IDや会員番号単位(氏名や連絡先と紐づいた個人データ中心) |
| 行動データ | PV(ページ閲覧数)、セッション数(訪問数)、直帰率、広告のクリック率 | アプリの起動履歴、位置情報、実店舗での入店・購買履歴、コールセンターへの通話履歴 |
| 属性・環境データ | 使用デバイス、ブラウザの種類、おおよそのアクセス地域 | 年齢、性別、役職、過去の商談記録、IoT家電やウェアラブル端末の稼働データ |
デジタルマーケティングでは、これらの膨大なデータをAI(人工知能)で解析することで、「過去に実店舗で特定の商品を購入し、直近1週間以内にアプリを3回開いた顧客は、特定のクーポンを配信すると再購入する確率が高い」といった予測が可能になります。単なるWebページの改善にとどまらず、個人の状況に合わせた情報提供を行える点が、データ活用における決定的な違いです。
観点3 最終的な目的(サイトへの集客・CVか、CX向上・LTV最大化か)
最終的な目的として、Webマーケティングは「Webサイト上でのCV(コンバージョン:会員登録や商品購入などの最終成果)の獲得」をゴールに据えるのに対し、デジタルマーケティングは「CX(カスタマーエクスペリエンス:顧客体験)の向上とLTV(ライフタイムバリュー:顧客生涯価値)の最大化」を目指します。
人口減少に伴う国内市場の成熟や、新規顧客の獲得コストが上昇している環境下では、1回の購入や問い合わせを獲得するだけでは事業の持続的な成長が難しいためです。獲得した顧客に自社のファンになってもらい、長期にわたって商品やサービスを継続利用してもらうことで、顧客1人または1社あたりが生み出す利益の総額(LTV)を高める必要があります。
この目的の違いにより、現場の担当者が追うべきKPI(重要業績評価指標:目標達成度を測る中間指標)や業務の範囲も大きく異なります。
- Webマーケティングのゴールと指標:新規トラフィック(流入数)の増加、CVR(コンバージョン率:訪問者のうち成果に至った割合)の改善、CPA(顧客獲得単価:1件の成果を得るのにかかった広告費)の抑制
- デジタルマーケティングのゴールと指標:リピート購入率の向上、解約率(チャーンレート)の低下、NPS(ネットプロモータースコア:顧客推奨度)、顧客単価の引き上げ(アップセル・クロスセル)
例えば、BtoBのシステム開発会社がWeb広告を出稿して資料請求を獲得するまではWebマーケティングの目的達成と言えます。しかし、その後のメール配信による情報提供や営業部門による課題解決の提案、さらには導入後のサポートを通じて契約を継続してもらう一連のプロセス全体で満足度を高めることが、デジタルマーケティングの最終目的です。つまり、単発の成果獲得を目指すのがWebマーケティングであり、顧客との中長期的な関係構築を通じて継続的な利益を生み出すのがデジタルマーケティングであると整理できます。
Webマーケティングの代表的な手法と特徴
Webマーケティングの代表的な手法は、外部のユーザーを自社のWebサイトへ集める「集客施策」と、訪問したユーザーを商品購入や問い合わせへ導く「接客・改善施策」の2つに大別されます。自社のWebサイトを中心として集客から成約までの導線を設計し、アクセス解析ツールで数値の変化を追いながら改善を繰り返すことがWebマーケティングの基本構造です。
各手法には、成果が出るまでの期間や必要な費用、アプローチできるユーザーの検討度合いに明確な違いがあります。企業が抱える課題や予算規模に応じて、下表のとおり適切な手法を選択・組み合わせることが重要です。
| 代表的な手法 | 主な役割 | 成果が出るまでの期間 | 費用発生の形態 |
|---|---|---|---|
| SEO(検索エンジン最適化) | 検索エンジンからの自然流入の増加 | 中長期(数か月〜1年程度) | コンテンツ制作費・サイト改修費 |
| Web広告 | ターゲット層への即効性のある集客 | 短期(出稿直後から) | クリック課金・表示課金などの広告費 |
| コンテンツマーケティング | 潜在層の教育・ファン化・信頼獲得 | 中長期(半年〜1年以上) | 記事・動画・資料などの制作費 |
| LPO・EFO(CVR改善) | サイト訪問者の離脱防止・成約率向上 | 短期〜中期(改修・検証後) | ツール利用料・ページ改修費 |
検索エンジンからの流入を増やすSEO(検索エンジン最適化)
SEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)は、Googleなどの検索結果で自社サイトを上位に表示させ、広告費をかけずに継続的なアクセスを集める手法です。ユーザーが自ら悩みや疑問を検索して訪れるため、課題意識が明確な見込み客を効率よく集客できる特徴があります。
検索エンジンは、ユーザーの検索意図を満たす質の高いページや、スマートフォンで見やすく表示速度が速いページを高く評価します。BtoCの通信販売であれば商品の選び方を解説するページ、BtoBのシステム開発であれば導入事例や課題解決のノウハウをまとめた記事を作成し、サイト内部のリンク構造を整理することで検索順位の向上を図ります。
- コンテンツSEO:ユーザーの検索キーワードの意図に沿った有益な記事を作成・更新する施策
- 内部対策:検索エンジンのプログラムがサイト構造を正しく理解できるよう、HTMLタグや内部リンクを最適化する施策
- 外部対策:他の信頼性の高いWebサイトから自然な形でリンク(被リンク)を獲得し、サイトの権威性を高める施策
SEOは一度上位表示を実現すれば、広告のようにクリックごとの費用が発生せず、中長期にわたって安定した集客資産となります。一方で、検索エンジンの評価が定着するまでには数か月から1年程度の期間を要するため、即効性を求める場合には不向きです。
即効性の高い集客を実現するWeb広告(リスティング広告やSNS広告)
Web広告は、検索エンジンの検索結果画面や各種SNS、他社のWebサイト上に有料で広告枠を買い取り、出稿直後からターゲット層を自社サイトへ誘導する手法です。SEOとは対照的に、予算を投下した当日からWebサイトへの流入を確実に増やせる即効性が最大の利点です。
Web広告では、ユーザーの検索キーワードや年齢、性別、興味関心などのデータに基づき、配信対象を細かく指定できます。また、広告がクリックされた回数や表示された回数に応じて費用が発生する仕組みが一般的であり、少額の予算からテスト配信を行って効果検証を進めることが可能です。
- リスティング広告(検索連動型広告):ユーザーが検索したキーワードに連動して検索結果の上部に表示され、今すぐ商品やサービスを探している顕在層にアプローチできる広告
- ディスプレイ広告:Webサイトやアプリの広告枠に画像や動画形式で表示され、自社の商品やサービスをまだ知らない幅広い潜在層へ認知を広げる広告
- SNS広告:X(旧Twitter)、Instagram、Facebookなどのタイムライン上に配信し、登録されたプロフィール情報や行動履歴をもとに精度の高いターゲティングを行う広告
- リターゲティング広告:一度自社サイトを訪問したものの、購入や問い合わせに至らず離脱したユーザーを追跡し、他サイト閲覧中に再度広告を表示して再訪を促す広告
新商品の発売直後や期間限定のキャンペーンなど、短期間で集客を最大化したい場面で特に有効ですが、出稿を停止すると流入も途絶えるため、獲得単価(CPA)を計算しながら運用を最適化し続ける必要があります。
有益な情報でファンを育てるコンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングは、ユーザーにとって価値のある記事や動画、ホワイトペーパー(お役立ち資料)などを継続的に発信し、見込み客との信頼関係を構築して最終的に購買へつなげる手法です。今すぐ購入する意思がない潜在層に対しても、ノウハウの提供を通じて接点を持ち続け、将来的な顧客へと育成できる点が大きな特徴です。
インターネット上の情報量が増えた現代では、企業からの一方的な売り込み情報は敬遠される傾向にあります。そのため、まずはユーザーが抱える業務上の課題や生活上の悩みを解決する無料のコンテンツを提供し、「この企業の情報は信頼できる」という認識を形成することが購買行動の起点となります。
具体的な進め方として、BtoB企業であれば業界の最新動向や業務効率化の手法をまとめたオウンドメディア(自社運営する情報サイト)を立ち上げ、記事の末尾でより詳細な解説資料のダウンロードを促します。資料と引き換えに取得したメールアドレス宛てに、定期的に有益なメールマガジンを配信することで、商談の機会を創出します。SEOが「検索エンジンからの集客手段」であるのに対し、コンテンツマーケティングは「集客から顧客育成・ファン化までを含めた一連の戦略」を指します。
リピーター獲得とコンバージョン率改善(LPO・EFO)
コンバージョン率(CVR:サイト訪問者のうち購入や問い合わせに至った割合)の改善施策は、集客したユーザーを途中で離脱させず、確実に成果へと結びつけるための手法です。どれほどSEOやWeb広告で多くのユーザーをWebサイトへ集めても、受け皿となるページが使いにくければ顧客を取りこぼすため、集客施策とセットで実施することが不可欠です。
Webサイトを訪れたユーザーは、求めていた情報が見当たらなかったり、申し込みの手続きが煩雑であったりすると、数秒でページを閉じてしまいます。そのため、Googleアナリティクス(GA4)などのアクセス解析ツールや、ページ内のどこが熟読されているかを可視化するヒートマップツールを用い、ユーザーが離脱している箇所を特定して改善を行います。
- LPO(ランディングページ最適化):広告や検索結果から最初に訪問するページ(LP)において、配信元の広告文とページ冒頭のメッセージを一致させたり、導入事例や料金表の配置順序を入れ替えたりして、申し込み画面へ進む確率を高める施策
- EFO(入力フォーム最適化):会員登録や問い合わせの入力画面において、必須入力項目を最小限に減らし、郵便番号からの住所自動入力や入力エラーのリアルタイム表示などを実装することで、入力途中の離脱を防ぐ施策
特にEFOは、すでに購買や問い合わせの意思を固めたユーザーを対象とするため、Webマーケティングの施策のなかでも短期間で売上や反響数の増加に直結しやすい領域です。あわせて、一度購入した顧客に対してWebサイト上で関連商品を提案(レコメンド)したり、マイページの利便性を高めたりすることで、リピーターの獲得へとつなげます。
デジタルマーケティングの代表的な手法と特徴
デジタルマーケティングの代表的な手法は、Webサイト上の行動だけでなく実店舗や営業活動などのオフライン接点から得られるデータも統合し、顧客一人ひとりに合わせたアプローチを行う点に特徴があります。Webマーケティングがブラウザ上の施策に閉じるのに対し、デジタルマーケティングはスマートフォンアプリ、業務システム、店舗の決済端末など、あらゆるデジタル接点を横断して活用するためです。代表的な4つの手法と特徴は、下表のとおりです。
| 代表的な手法 | 主な特徴と活用データ | 主な対象領域 |
|---|---|---|
| OMO・オムニチャネル戦略 | ECサイトと実店舗の在庫・購買履歴・会員データを一元化し、チャネルの垣根をなくす | BtoC(小売・飲食・サービス業など) |
| アプリ・LINE公式アカウント活用 | プッシュ通知やデジタル会員証を通じ、来店促進や継続的な購買(リピート)を促す | BtoC(実店舗ビジネス・ECなど) |
| MA・CRM・SFAによるデータ統合 | Webの行動履歴と営業部門の商談記録を連携し、見込み客の育成から成約までを効率化する | BtoB・BtoC(単価の高い商材など) |
| AI・IoT・位置情報データの分析 | 店内のカメラ映像、機器の稼働状況、GPSデータを解析し、需要予測やリアルタイム配信を行う | BtoB・BtoC(製造・インフラ・商業施設など) |
オンラインとオフラインを融合するOMO・オムニチャネル戦略
OMO(Online Merges with Offline:オンラインとオフラインの融合)やオムニチャネル戦略は、実店舗とECサイトの境界をなくし、顧客がどの接点を利用しても一貫した購買体験を提供する手法です。スマートフォンの普及により、消費者は「SNSで口コミを調べ、実店舗で実物を確認し、後日ECサイトで購入する」といったように、オンラインとオフラインを行き来して購買を決定するため、接点ごとの分断をなくす仕組みが求められます。
企業がOMOやオムニチャネルを推進する際は、実店舗のPOS(販売時点情報管理)システムとECサイトのデータベースを連携させるのが一般的です。データ連携によって実現できる具体的な施策には、次のようなものがあります。
- 実店舗とECサイトで共通のポイントや会員ランクを付与・利用できる仕組みの構築
- ECサイトで注文・決済した商品を、顧客が指定した最寄りの実店舗やロッカーで受け取れるサービス(BOPIS:Buy Online Pick-up In Store)の提供
- 実店舗のスタッフによる接客履歴や試着データを記録し、後日ECサイト上で同じ商品のサイズ違いや関連アイテムを自動で提案する機能
これらの施策により、店舗とECサイトの間で顧客を奪い合うのではなく、企業全体での売上拡大につなげることが可能です。
スマートフォンアプリやLINE公式アカウントを活用した顧客アプローチ
自社専用のスマートフォンアプリやLINE公式アカウントは、企業のWebサイトを訪問していないタイミングでも顧客と直接つながり、継続的な関係を築くための手法です。検索エンジンやWeb広告は顧客が自ら情報を探しているときに有効ですが、日常的に開かれるスマートフォン上のツールを活用することで、企業側から能動的に情報を届けられるようになります。
実店舗を持つBtoC企業では、プラスチック製のポイントカードを廃止し、アプリやLINEのミニアプリ上でバーコードを表示する「デジタル会員証」への切り替えが進んでいます。会計時にデジタル会員証を提示してもらうことで、「誰が・いつ・どの店舗で・何を買ったか」というオフラインの購買データを正確に収集できます。
収集したデータに基づき、誕生月のクーポン配信や、購入商品の消耗時期に合わせたプッシュ通知を送ることで、休眠顧客の掘り起こしや再来店を促せます。メールマガジンと比較して通知が埋もれにくく、開封されやすい点も実務上の利点です。
MA(マーケティングオートメーション)やCRM・SFAによるデータ統合
MA(マーケティングオートメーション:マーケティング活動の自動化ツール)、CRM(顧客関係管理)、SFA(営業支援システム)の連携は、Web上の行動履歴と対面の営業データを統合し、見込み客の獲得から成約・継続利用までのプロセスを可視化する手法です。特に検討期間が長く複数人が購買に関与するBtoBビジネスや、不動産・自動車といった高単価なBtoC商材では、Webサイトだけで取引が完結せず、営業担当者による商談やカスタマーサポートの対応が不可欠となるためです。
各ツールは、マーケティングから営業、アフターフォローまでの流れにおいて、それぞれ次の役割を担います。
- MA:展示会で交換した名刺情報やWebサイトの資料請求者に対し、メール配信やWeb上の閲覧履歴の計測を自動で行い、購買意欲が高まったタイミングを検知する
- SFA:MAから引き継いだ見込み客に対する営業担当者の訪問記録、商談の進捗状況、提案内容、受注見込み額などを管理し、営業組織の活動を効率化する
- CRM:成約後の契約内容、購買履歴、問い合わせ対応の履歴などを一元管理し、解約防止や追加提案(アップセル・クロスセル)に活用する
これらのツールを連携させることで、「営業担当者が商談でヒアリングした課題を基に、MAで関連事例のメールを自動配信する」「Webサイトの料金ページを複数回閲覧した既存顧客を検知し、SFAを通じて営業担当者に架電を促す」といった、部門を超えた営業DX(デジタルトランスフォーメーション)が実現します。
AIやIoT、位置情報データを駆使した購買行動分析
AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット:様々な機器をインターネットに接続する技術)、スマートフォンの位置情報(GPSやWi-Fi、ビーコン)を駆使した分析は、Webサイトの外にある物理的な行動データを収集し、高度な予測や接客を行う手法です。これまで可視化が難しかった「店舗内での迷い」や「購入後の製品利用状況」をデータ化できるため、施策の精度を高める根拠として活用されます。
オンライン上のアクセス解析(GA4など)では測れない領域において、企業は次のような形でデータを収集・活用しています。
- 実店舗の天井に設置したAIカメラやセンサーにより、来店客の属性(年代・性別)、店内の回遊ルート、商品棚の前で立ち止まった時間を計測し、売場レイアウトや商品の陳列を改善する
- スマートフォンの位置情報データを活用し、店舗の半径数キロメートル以内にいるアプリ会員に対して、タイムセールの通知や限定クーポンをリアルタイムで配信する
- BtoBの製造業において、納入した工場の稼働機械にIoTセンサーを取り付け、稼働状況や部品の摩耗データを遠隔で監視し、故障する前にメンテナンスや部品交換を営業部門から提案する
このように、現実空間での行動や機器の状態をデジタルデータとして吸い上げ、次の施策へ即座に反映させる仕組みがデジタルマーケティングの特徴です。
自社に合うのはどっち?デジタルマーケティングとWebマーケティングの選び方
自社に合う手法を選ぶ際は、現在のビジネスモデルにおける顧客接点の広がりと、解決したい経営課題の優先度を基準に判断します。オンライン上の集客やWebサイト内でのコンバージョン(成果)獲得が最優先であればWebマーケティングから着手し、オフラインの行動データも含めた顧客体験の最適化やLTV(顧客生涯価値)の向上が求められる段階ではデジタルマーケティングへと領域を広げます。
判断基準の詳細は、下表のとおりです。
| 判断軸 | Webマーケティングが適している企業 | デジタルマーケティングへ拡大すべき企業 |
|---|---|---|
| 最優先の課題 | 新規リード(見込み客)の獲得、Webサイトの認知拡大 | 既存顧客の離脱防止、リピート率およびLTVの向上 |
| 主な顧客接点 | Webサイト、ECサイト、検索エンジン、SNS | Webサイトに加え、実店舗、展示会、訪問営業、アプリ |
| 活用する主なデータ | GA4(Google アナリティクス 4)のアクセス解析データ、広告のクリック・コンバージョン履歴 | Web行動履歴、CRM(顧客関係管理)の属性情報、POSレジの購買履歴、位置情報 |
| 初期予算と体制 | 少額からテスト運用が可能、少人数の担当者で完結しやすい | システム導入・連携コストが必要、営業や店舗など部門横断の体制が不可欠 |
Webマーケティングから始めるべき企業の特徴と課題
Webマーケティングから着手すべきなのは、ターゲット層の集客から購買・問い合わせまでの導線がオンライン上で完結し、早期に新規顧客を獲得したい企業です。導入のハードルが低く、投じた広告費や制作費に対する費用対効果(ROI)を短期間で測定・改善できるため、マーケティング施策の第一歩として適しています。
まずは少額予算で新規顧客の集客や認知拡大を行いたい場合
初期投資を抑えながら新規の見込み客を集めたい場合、Webマーケティングの施策が適しています。大規模な顧客データベースや統合システムを構築しなくても、検索連動型広告(リスティング広告)やSNS広告であれば、少額の予算からターゲットを絞った配信が可能です。
具体的な進め方は、以下のとおりです。
- 自社の商品・サービスと関連性の高い検索キーワードを選定し、リスティング広告を出稿して顕在層をランディングページ(LP)へ誘導する
- GA4などの無料解析ツールを用いて、流入したユーザーの直帰率やコンバージョン率(CVR)を計測する
- 獲得単価(CPA)の低い広告クリエイティブやキーワードへ予算を集中させ、LPの入力フォームや導線を改修する
このように、施策の実行からデータ計測、改善までのPDCAサイクルを小さな単位で素早く回せる点が、予算や人員が限られるフェーズにおいて有効に働きます。
Webサイト上ですべての取引や問い合わせが完結するビジネスの場合
実店舗や対面での営業プロセスを持たず、オンライン上で商取引や契約が完結するBtoCの単品通販(D2C)や、BtoBのセルフサーブ型SaaS(クラウドソフトウェア)などのビジネスモデルは、Webマーケティングへの集中投資で十分な成果を見込めます。
これらのビジネスでは、ユーザーの認知から比較検討、決済、利用開始までのすべての行動がブラウザや専用ページ上で記録されます。そのため、オフラインの店舗データや営業担当者の商談記録と連携させる仕組みを急いで構築する必要がありません。SEO(検索エンジン最適化)による自然検索流入の増加や、決済ページの離脱を防ぐEFO(入力フォーム最適化)など、Webサイト内の改善にリソースを集中させることで、売上や問い合わせ数を直接引き上げることができます。
デジタルマーケティングへ拡大すべき企業の特徴と課題
デジタルマーケティングへ領域を拡大すべきなのは、オンラインとオフラインの双方に顧客接点を持ち、分断されたデータを統合して中長期的な利益を最大化したい企業です。単発のWeb集客だけでは売上が頭打ちになっている場合や、部門間で顧客情報が共有されていない課題を解決するには、Webサイトの外側にあるデジタルデータまで活用範囲を広げる必要があります。
実店舗や営業部門などのオフライン接点とデータを連携させたい場合
BtoCにおける実店舗とECサイト、あるいはBtoBにおける展示会・インサイドセールス(内勤営業)・フィールドセールス(外勤営業)など、複数のチャネルを横断して顧客と接する企業には、デジタルマーケティングへの移行が求められます。
チャネルごとにデータが分断されていると、「実店舗で購入済みの顧客に同じ商品のWeb広告を出し続ける」「Webサイトで料金ページを何度も閲覧している見込み客に対し、営業担当者が温度感を知らずにアプローチを逃す」といった機会損失が発生します。
この課題を解決するための具体的な連携手順は、以下のとおりです。
- BtoCの場合:スマートフォンアプリの会員証機能やLINE公式アカウントを軸に、実店舗のPOSレジデータとECサイトの購買履歴を同一の顧客IDで統合する
- BtoBの場合:名刺管理ツールやSFA(営業支援システム)の商談データと、MA(マーケティングオートメーション)で計測したWebサイトの閲覧履歴を紐づける
- 統合したデータをもとに、店舗購入者へのオンライン限定クーポンの配信や、検討度が高まった見込み客への即時架電など、オンラインとオフラインを融合させたアプローチを実行する
部門やチャネルの垣根を越えてデータを一元管理することで、顧客一人ひとりの状況に合わせた継ぎ目のない購買体験を提供できます。
既存顧客の囲い込みやLTV(顧客生涯価値)の最大化を目指す場合
新規顧客の獲得単価(CPA)が高騰している市場や、継続利用が収益の柱となるサブスクリプション型ビジネス、商談から受注までのリードタイムが長い高単価商材を扱う企業では、既存顧客の維持とLTV(1人の顧客が取引期間全体でもたらす利益)の最大化が不可欠です。
新規集客に強みを持つWebマーケティングに対し、デジタルマーケティングは獲得した顧客との長期的な関係構築(リテンション)に強みを発揮します。たとえば、製品の利用状況データ(ログイン頻度や機能の使用履歴)やカスタマーサポートへの問い合わせ履歴をCRMに集約し、解約の兆候がある顧客を早期に検知してフォローを入れる施策が挙げられます。
また、過去の購買サイクルや行動パターンをAIで分析し、顧客が次の商品を必要とするタイミングでアプリのプッシュ通知やパーソナライズされたメールを自動配信することで、クロスセル(関連商品の購入)やアップセル(上位モデルへの移行)を促進できます。休眠顧客の掘り起こしや優良顧客化を仕組み化したい企業にとって、全接点のデータを活用するデジタルマーケティングは有効な手段となります。
まとめ
WebマーケティングとデジタルマーケティングはWebサイトを中心とした施策か、オフラインも含めた全デジタル接点のデータ活用かという対象範囲に違いがあり、Webマーケティングはデジタルマーケティングの一部に位置づけられます。「どちらを優先すべきか分からない」という悩みの多くは、両者の違いそのものよりも、自社の課題が新規集客なのか、既存顧客の育成やLTV向上なのかが整理されていないことに起因します。
オンライン完結で少額から新規集客を始めたい場合は、SEO、Web広告、コンテンツマーケティング、LPO・EFOといったWebマーケティングから着手するのが現実的です。そのうえで、実店舗や営業部門とのデータ連携、既存顧客の囲い込みが必要になった段階で、MA・CRM・SFAやアプリなどを活用したデジタルマーケティングへ領域を広げていく流れが失敗しにくい進め方です。どちらの場合も、施策を実行して終わりにせず、データを計測して改善を重ねることが成果につながります。
しかし、「SEOやコンテンツ施策に取り組みたいが、継続的に制作するリソースがない」「Web広告を出稿しているが、CVRやCPAの改善まで手が回らない」「MAツールを導入したものの、リード育成のシナリオ設計まで運用しきれていない」といった悩みを抱える企業様も少なくありません。
リードプラスでは、検索エンジンだけでなくAI検索にも対応したSEO/AIO対策・コンテンツ制作、成果を意識したWeb広告の運用、そしてHubSpotをはじめとしたMAツールの導入・運用支援を通じて、Web集客からデータを活用した顧客育成まで一貫してご支援しています。自社に合ったマーケティング施策の進め方にお悩みの際は、まずはお気軽にご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q1.小規模な事業者はどちらから着手できますか?
予算を抑えて効果検証ができるWebマーケティングから始めるのが一般的です。少額のリスティング広告やSEO記事の発信であれば、少人数の体制でも実行できます。GA4などの無料ツールで数値を計測しながら改善を重ね、顧客基盤が広がり、店舗や営業部門とのデータ連携が必要になった段階でデジタルマーケティングへ領域を拡大していくとよいでしょう。
Q2.オフラインの店舗がなくてもデジタルマーケティングは実践できますか?
はい、実践できます。デジタルマーケティングは実店舗の有無にかかわらず、アプリの利用履歴、購買データ、カスタマーサポートの応対履歴、営業部門の商談記録など、Web以外のデジタルデータも統合して活用する考え方です。たとえばBtoBのSaaSであれば、製品の利用ログとサポート履歴を分析して解約の兆候を早期に検知する、といった取り組みが可能です。
Q3.両者の施策を同時に進行することはできますか?
可能です。Webマーケティングはデジタルマーケティングの一部であるため、Web広告やSEOで集客しつつ、獲得した顧客データをMAやCRMで管理して育成に活用するという同時進行ができます。ただし、最初からすべてを整えようとするとリソースが分散しやすいため、優先度の高い課題から段階的に広げていくことをおすすめします。
Q4.施策の評価指標はどのように設定できますか?
Webマーケティングでは、サイトの訪問数、CVR、CPA、問い合わせ数など、集客と成果獲得に関する指標を中心に設定します。一方、デジタルマーケティングでは、リピート購入率、解約率、顧客単価、NPSなど、顧客との中長期的な関係を測る指標も加えます。いずれもKGIから逆算して指標を設定し、定期的に見直すことが重要です。
Q5.外部の専門家に業務を委託することはできますか?
できます。戦略の立案、コンテンツ制作、広告運用、MAなどのツール導入・運用まで、自社の課題や予算に応じて一部または全部を委託できます。戦略の方向性や専門知識の監修といったコア業務は自社で担い、制作や運用の実務を外部に任せるという役割分担にすると、社内にノウハウを残しながらリソースの負担も軽減できます。
