ユーザーテストとは
ユーザーテストとは、特定の製品・サービスのリリース前にターゲット層から意見をもらうためのテストのことです。開発者はターゲット層に製品を使ってもらい、操作性や欠点などを確かめてもらいます。そして、集まってきた意見を製品に反映させ、さらにクオリティを向上させてからリリースに踏み切ります。業界や業種にかかわらず、広く使われている言葉ですが、Web業界においてユーザーテストという言葉を使うとき、アプリやソフトの試運転を指すケースが一般的です。
ユーザーテストが重要なのは、「消費者心理」を明らかにできるからです。メーカーが製品やサービスを開発する際は、購入してほしいターゲット層を必ず設定します。しかし、肝心のターゲット層の意見なしに開発を進めても、需要から程遠い製品ができてしまうリスクが高まります。ユーザーテストによって開発者はターゲット層の本音を聞き出し、開発者の立場からは思いつかなかった意見を吸収することで、製品スペックの向上・改善に役立てることができます。
ユーザーテストのポイントは、1人の主観に頼るのではなく、複数のユーザーに製品を使用してもらい、ユーザーの共通認識に意識を向けることです。次に、ユーザーがリラックスしてテストを行える環境を作ることも重要です。大勢のスタッフに囲まれた場所など、ユーザーが極度に緊張する環境で実施しないようにします。余計な感情が強くなるほど、正確な感想は得られません。付き添うスタッフの数は最小限にして、できるだけ日常に近い状況でテストを実施します。
また、ユーザーを「否定しないこと」も肝心です。開発者からすれば、自分たちの作った製品が批判的に評されるのは耐え難いものです。しかし、ユーザーに反論して関係が悪くなってしまえばユーザーは正直な意見を返してくれなくなります。ユーザーの意見は素直に受け入れます。複数のユーザーが同じような批判をしているなら、製品の欠陥として認識するべきです。
ユーザーテストが有効なのは新商品をリリースするときだけに限りません。たとえば、既存の製品をアップグレードしたり、クレームに対処したりしたときもユーザーテストを実施するのが得策です。すでに製品を知り尽くしているスタッフだけの確認作業では、細かい欠点を見逃しがちです。ユーザーの感覚を知ってこそ、本当に製品が改善されたのかどうかが判明します。そのうえで、ユーザーテストの結果は一部のスタッフだけで共有するのではなく、関わるスタッフ全員で共有し、共通認識を持つことが重要です。