リッチコンテンツとは

リッチコンテンツとは、動画や音楽などを用いて表現されたWebサイト上のコンテンツのことで、リッチメディア広告と呼ばれることもあります。英語で「ぜいたく」や「豊か」を意味するリッチ(Rich)が示すとおり、文字や画像のみの表現ではなく、動画や音楽などを取り入れることで表現に幅が出る反面、膨大なデータ容量を通信できるコンピューター回線や通信速度などのスペックが要求されます。

2000年代初頭におけるリッチコンテンツは、アドビシステムズが開発したFlash規格に準じたものが一般的でしたが、2010年以降はYouTubeなどに投稿した動画をWebサイト上に埋め込んで表示させる形態に移行し始めました。背景には、通信量の大きい動画などを容易に表示させるだけの通信速度を実現したネットワーク技術の発達、動画投稿サイトの台頭、スマートフォンで動画を閲覧するユーザーの増加などが考えられます。

また、実写やCG、アニメーションといった様々な手法で情報を訴求するリッチコンテンツは、文字だけのWebサイトと比べてユーザーにインパクトを与えやすく、商品のイメージや使用感をより明確に伝えやすいといったメリットがあります。また、アイデア次第で非常に幅広い表現ができるので、手のかかったこだわりのコンテンツを用意し、企業など制作側のブランド力や技術力の高さを存分にアピールすることも可能にしました。現在は他社との差別化を図るコンテンツとして活用する企業も多く、リッチコンテンツは広告手法としての地位を確立しました。

一方で、Googleはモバイル検索において表示速度を重視する「スピードアップデート(Speed Update)」を打ち出しました。これはWebページが表示されるまでの時間がユーザーエクスペリエンスに影響することを基にしたアルゴリズムで、Webページの表示時間が3秒を越えると半分以上のユーザーが離脱してしまうという調査結果とも矛盾していません。そのため、自由度の高さからリッチコンテンツの表現に凝りすぎると回線の状況によっては動画の読み込みが遅くなり、コンテンツが表示される前にユーザーが離脱してしまうリスクが高くなるだけでなく、Googleのモバイル検索のランキングで不利になってしまう可能性もあります。また、リッチコンテンツは検索エンジンのインデックスに貢献するわけではありません。ただし静止画よりもユーザー体験の質が高く、アクセス数が増加した結果として検索順位が上がることが期待できます。