企業の採用サイトに必要なコンテンツの種類とは?

採用サイトは、企業の採用活動において重要な役割を果たします。ここで記載されるコンテンツの内容に魅力がなければ、求職者に興味を持ってもらえません。この記事では、採用サイトにおいて優秀な人材を獲得するために必要なコンテンツについて、詳しく解説します。

採用サイトに必要なコンテンツの種類

採用サイトに必要なコンテンツの種類

採用サイトに必要なコンテンツには、大きく分けて2種類あります。「自分たちはどのような企業か」と、「どのような人に入社してほしいか」です。どちらかが欠けていても実のある採用には至りません。必要な情報をしっかりと掲載することを心がけましょう。

企業の基本情報

はじめに、「自分たちはどのような企業か」を求職者に分かりやすく提示する必要があります。「過去」「現在」「未来」を意識して情報を整理すると、訴求力のある内容になるでしょう。

「過去」は、これまで企業がどのように歩んできたかを示すものです。具体的には事業実績や沿革などです。歴史のある企業であれば豊富な内容が記載できるでしょう。創業して間もない企業の場合は、起業に至った経緯やコンセプトなど、理念的な内容を伝えます。

「現在」は、事業内容や組織体制などが当てはまります。また、CSR(社会的責任)活動の取り組みに関する情報も求職者にポジティブな印象を与える効果があります。

「未来」は、具体的な事業計画のほか、将来どのように自社を発展させていきたいかという理念的な内容が該当します。求職者が長く働ける企業であるかを判断するために必要となる情報です。

いずれも、「自分たちはどのような企業か」を冒頭でしっかりとアピールする上で重要な内容です。多様な企業情報を掲載することで求職者に興味を持ってもらうことを目指します。

オフィスの環境

次に、オフィスの環境を紹介します。写真や動画による視覚的なコンテンツを用意して、求職者が実際に入社して働くイメージがつきやすくなるようにしましょう。オフィススペースだけでなく社員食堂やラウンジといった場所も合わせて紹介すると、求職者がより具体的なイメージを喚起できるようになります。

また、実際に毎日働いている社員の紹介文を合わせて掲載することで、よりリアリティのある雰囲気が伝わります。「場所」だけでなく「人」についても伝わるように工夫しましょう。

制度の情報

各種休暇制度や社会保障などの福利厚生に関する情報は、これまであまり重視されていませんでした。近年では働き方改革やワーク・ライフ・バランスへの機運が高まったことを受け、求職者が特に知りたい項目となっています。これらの情報が不足していると、企業は社員を大事に扱っていないのではないかと不信感を抱かれるかもしれません。

同様に、社員の研修制度も重要な情報です。以前に多くの企業で採用されていた終身雇用制度下では、勤続年数の長いベテラン社員から順番に技術や業務のノウハウが受け継がれていました。しかし近年では終身雇用を見直す企業が増えており、それに伴い十分な社員教育を受けられない職場も増えているのです。そのため、企業が合理的な社員研修制度を整えているかという情報は、求職者にとって企業の働きやすさを測る重要なバロメーターとなっているのです。

他にも、社内クラブ活動や行事、独自に設けている福利厚生制度などがある場合は、詳しく紹介することで企業の強力なアピールになります。

募集の詳細

募集に関する詳細(募集要項)は、「どのような人に入社してほしいか」を具体的に示す項目です。主に以下のような情報を記載します。

・雇用区分:募集している雇用関係
・業務内容:募集している業務内容
・応募条件:応募するために必要な資格、スキルなどの条件
・給与  :支給される基本給
・昇給賞与:賞与の支給額や昇給額
・福利厚生:その他の優遇や社内制度
・諸手当 :賃金以外の手当(時間外手当、通勤手当など)
・勤務地 :採用後に勤務する場所(転勤の有無も記載)
・勤務時間:採用後の勤務時間帯
・休日休暇:年間休日数、夏季休暇など
・応募方法:採用の流れ、必要書類など

募集要項は採用サイトの核となる部分です。詳細な内容を記載することで、企業が入社してほしい人物像を明確にし、ミスマッチ事前に回避できるメリットがあります。例えば、「応募条件」では具体的な資格や使用できるアプリケーション等を示すことにより、求職者自身で企業の求める水準に達しているかを正確に判断できるようになります。また、必須スキルだけでなく「○○があればなお可」のように推奨スキルも記載することで、求職者の持つ強みを引き出すことに繋がるでしょう。

「業務内容」は、特に具体的な記載が求められる項目です。単に「○○業務」といった簡潔な記述で終えることなく、具体的な内容を記述するようにしましょう。複数の項目を箇条書きで並べる記述方法は、業務範囲を明確に示すのに有効です。

募集要項の内容が曖昧だったり不足していたりすると、求職者に「仕事のイメージが湧かない」「何をやらされるか分からない」といたネガティブな印象を与えてしまい、エントリーを避けられてしまうかもしれません。可能な限り具体的に記載しましょう。

採用の流れ

採用までの流れも、できるだけ詳細に記載する必要があります。選考プロセスが不透明な状態だと、内定に至る前に離脱してしまうことも珍しくありません。求職者にとって「内定までどのように選考が進むのか」「期間はどれくらいかかるのか」といった情報は非常に重要です。

就職活動においては1社のみにエントリーすることは少なく、ほとんどの求職者は求職活動を複数の企業に同時並行で行っています。また中途採用の場合、元の企業に在職した状態で求職活動をしていることも珍しくありません。そのため選考プロセスが不透明な状態だと応募まで到達せずに離脱してしまう恐れがあります。求職者がスケジュールを立てやすいように、採用ステップや期間の目安を示しておきましょう。

また、面接の回数や筆記試験の種類といった実施要項を示すことで、求職者が事前に準備を整えられるため、本来の実力を測ることが可能になります。採用フローの透明化は企業にとってもメリットがあるのです。

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採用サイトに入れておきたいコンテンツの種類

ここまで見てきた項目は、多くの企業の採用サイトで掲載されているものばかりです。他社との差別化を図るためには、「自分たちはどのような企業か」、つまり企業の魅力をアピールする情報を充実することが鍵となります。ここからは、企業が自社を深く知ってもらうために入れておきたいコンテンツを紹介します。

企業のメッセージ

ページのトップに企業のメッセージを載せることで、企業イメージや採用コンセプトを端的に伝えられます。事業内容や実績などの概要よりも先に、経営戦略や事業理念といったビジョンを伝えることで、求職者に「どんな会社か興味がある」「働いてみたい」というポジティブな感情を抱いてもらうことを目指します。

「代表からのメッセージ」の形式を取ることは非常に有効です。経営者みずからがビジョンを示すことで、求職者に「この企業なら安心して働ける」と思ってもらえるようになります。

実際の社員

実際に働いている社員を紹介するコンテンツも有効です。先輩社員に「入社を決めた理由」や「仕事のやりがい・面白さ」「将来の目標」といった内容を話してもらうことで、求職者が応募するかどうかを判断する際の重要な参考になります。また、どのようなタイプの人が働いているかも伝わるため、求職者に合った社風かどうかを判断する材料になるでしょう。

「社員の一日」のような形式で実際の仕事内容を伝えるコンテンツでは、具体的な就業イメージが伝わります。社員同士の座談会形式は、率直な「生の声」を掲載することができ、求職者に親近感を持ってもらえるかもしれません。

多くの人にとって、新しい会社に入ることは不安がつきまといます。一緒に働くことになる先輩社員からのメッセージを添えることで、少しでも安心して入社してもらうことを目指しましょう。

想定される疑問の回答

会社説明会や面接において多く寄せられた質問とその回答を「よくある質問」としてQ&A形式で掲載しておくことで、求職者の不安を事前に解消しておくことが可能です。また、面接時の質疑応答時間を削減できるため、採用活動の効率化が図れます。

採用サイトのコンテンツ制作において意識したいこと

ここまで見てきたように、採用サイトのコンテンツ制作においては、「どのような人に入社してほしいか」よりも「自分たちはどのような企業か」を意識することが重要です。

企業が人材を募集する際には、どうしても採用条件や必須スキルなどといった「求める人材」についての情報を重視してしまいがちです。しかし、自分たちのことをまず知ってもらわないと求職者に応募してもらえません。企業の特色や魅力を打ち出すことを重視するようにしましょう。

文章だけでなく、写真や動画を用いることで視覚的に情報を伝える工夫が有効です。近年では、情報やデータを視覚的に表現する「インフォグラフィックス」の手法を採用サイトに取り入れる事例が増加しています。従業員の年齢分布や男女比などの社内情報、売上高やユニークユーザー数などの業績といった項目をインフォグラフィックスで表現することで、求職者に訴求する情報を一目瞭然で伝えられるようになります。

社員の声や座談会といったコンテンツの作成には、社員の協力が必要不可欠です。採用活動は経営層や人事部だけでなく、全社を挙げて取り組む必要があります。また、普段からSNSの企業アカウントで商品やサービスをPRしたり企業の雰囲気や魅力を伝えたりする活動も、求人活動ではプラスに働きます。

少子高齢化による労働人口の減少で、従来型である求職者を選り好みするスタイルでの採用活動が難しくなっています。企業がみずからの魅力を積極的にアピールし、求職者に関心を持ってもらうことが、採用活動において重要な鍵となっているのです。

まとめ

採用サイトでは、求職者に基本情報を伝えるだけでなく、企業イメージや社内イメージ、福利厚生といった会社の魅力などを分かりやすく伝えることが重要です。事前にコンテンツを通して企業について理解を深めてもらうことで、求職者とのミスマッチを回避できます。具体的な働き方がイメージできる魅力的なコンテンツを記載して、採用活動を促進しましょう。

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